入国出来ない技能実習生。……これを機にこの制度無くしませんか?

政策

タイトルだけで話が終わってしまうな。

外国人技能実習生900人 来日の見通し立たず 感染拡大の影響で

2020年3月11日 17時21分

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、全国の農業や畜産の現場で受け入れることになっていた外国人技能実習生およそ900人が来日の見通しがたたなくなっていることがわかりました。

「NHKニュース」より

支那からの入国制限をとったことによって、外国人技能実習生が来日できなくなったというニュースだ。まあ、観光客も来ないのだから、技能実習生だって来ない。

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消える技能実習生

失踪するまで

そもそも、この「技能実習生」という制度は、制度設計に大きな欠陥がある。

技能実習生、6年で171人死亡 法務省が調査結果発表

2019年3月29日 10時07分

外国人の技能実習制度の運用実態を検証してきた法務省のプロジェクトチーム(PT)は29日、2012~17年の6年間に技能実習生171人が亡くなっていたなどとする調査結果を発表した。また17年1月~18年9月の間に、失踪して「不法残留」などで摘発された実習生5218人のうち、約15%の759人が最低賃金割れや不当な残業など不正な扱いを受けていた疑いがあるという。

「朝日新聞」より

日本の受け入れ先にとって、外国人技能実習生を受け入れるのは大きな負担になる。言語の壁や習慣の壁があるため、かなりの覚悟を持って受け入れる必要があるのだ。

しかしそうした負担に関しては、外国人技能実習生自身や受け入れ先の企業に負担させ、その一部を助成するという制度になっている。

一方で、外国人技能実習生の制度を使った場合に、実習生に支払われる「賃金」というのは、非常に低く抑えられている実態がある。

また17年1月~18年9月の間に、失踪して「不法残留」などで摘発された実習生5218人のうち、約15%の759人が最低賃金割れや不当な残業など不正な扱いを受けていた疑いがあるという。

「朝日新聞」より

これが原因で「失踪に繋がる」と、朝日新聞は報じている。僕としてもこの流れは起こっていると考えている。

単純に、何処か他の場所でアルバイトした方が金になるのであれば、別の場所でアルバイトした方が外国人技能実習生としてもお得だ。そもそも、彼らのうち大半は「金儲け」に来ているのであって、「技術を学びにきた」のではない疑いが強い。

或いは、初志はそうだったとしても、予想するよりもお金が手に入ることを知って心変わりした、なんてことも考えられる。

若者が消える街

さて、「実習生御殿」などという言葉がベトナムにはあるようだ。いや、ベトナムだけじゃ無いかも知れないけれど。

若者が消えたベトナムの村 「実習生御殿」に見る日本への「愛憎」

 「ベトナムの普通の農村とは思えぬ光景がある」。そう人づてに聞き、私は平日の昼間にある村を訪ねた。

 首都ハノイから車で2時間弱の場所にある、フートー省ビンライ村。木々の間に大きな家々が立ち並び、まるで別荘地のようだ。ぴかぴかの邸宅が、これでもかというほど並んでいた。

 車を降りて歩き出すと、私はまた驚いた。通りには人の姿が全くなく、しーんと静まりかえっている。朝から晩までカフェや居酒屋で人々がおしゃべりする、ベトナムのあの活気はどこにいったのだろう。「ゴーストタウン」という言葉が浮かんだ。

 やっと見つけた高齢の女性が近所の家々を指さして、こう説明してくれた。

 「うちは台湾、隣は韓国。あっちは日本だよ」

 それぞれの家族が家の建設費用を稼いだ国の名前だという。ビンライ村では、人口9094人の3分の1に当たる2900人が海外で働く。村が静まりかえっているのは、35歳以下の若者の多くが国外に出ているためだ。家々は、いわば「実習生御殿」といったところだろうか。

 村人に声をかければ、海外労働者の家族に出会う。雑貨店にいた女性は、子どもが1年前に日本での技能実習から帰ってきたという。「費用は60万円かかったけど、息子は250万円貯金して帰って来た。別の町で食堂をやっているよ」。

「Withnews」より

ベトナムのこの地域では、若者の大半が出稼ぎに外国に出て、稼いで帰って来た実習生達が御殿を建てるという構図になっているという記事である。

ベトナムの御殿

こうした傾向は、何もベトナムだけでは無いだろうし、外国人技能実習生の制度だけが問題というわけでも無い。フィリピンでは毎年180万人ほどがフィリピンから海外に労働に出ているそうで。正規ルートで180万人だとされているので、実数は200万人を越えていると予想されている。

フィリピンの場合は、フィリピン国内の政治情勢が不安定であるというような事情も関係しているようなので、出稼ぎが一概にダメとも言い難い。だが……、日本船籍の船舶に乗船して働いている人々の7割がフィリピン人だという実態がある事を考えると、日本としてその現状を甘受すべきか?という点は非常に疑問である。

技能実習生が来ないと事業が成り立たない日本

日本の場合、船舶だけの話ではない。

農業や畜産の現場ではおよそ3万2000人の技能実習生を受け入れています。

入国を制限する措置が長く続けば、来日できない実習生はさらに増える見込みで、実習生を多く受け入れている北海道や茨城県、長野県などから懸念の声があがっているということです。

「NHKニュース」より

農業や畜産業など、割と多くの分野で既に「人手不足」は深刻な状況だ。

そしてそれは年々悪化しつつある。

中国からの技能実習生500人来県できず 長期化なら農家人手不足も

2020年2月28日

県は27日、県会一般質問の答弁で、中国からの農業分野の外国人技能実習生約500人が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で県内の研修先に派遣できない状況になっていると明らかにした。ビザの発給遅れや航空券が取れないことなどが理由。高原野菜の収穫の繁忙期に入る5月中旬までに実習生が入国できれば影響はないが、入国が遅れる場合には生産農家が人手不足に陥る可能性がある。

県農政部によると、昨年9月時点で県内にいる農業分野の実習生は2324人。このうち中国人は847人で、国別で最多。多くが南佐久郡内で高原レタスの栽培、収穫に従事しているという。県が実習生を受け入れている管理団体に聞き取ったところ、2月中旬までは中国から順調に入国し、既に事前研修に入っている実習生もいるが、今後の入国は難しくなっているという。

「信毎web」より

そもそも「実習生ありき」で事業を展開していることそのことこそが問題なのだ。もちろん、当事者達もその事は重々承知の上で、「でも、人がいないから仕方がないじゃないか」と開き直っているところも多いのだろう。

特定技能半年 農業31人 伸び悩み 許認可の遅さ影響

2019年11月14日

法務省出入国在留管理庁は13日、4月から始まった新しい在留資格、特定技能1号の9月末までの在留外国人数を公表した。11分野で219人が特定技能で雇用され、このうち農業は14%の31人。政府は農業で初年度、最大7300人が特定技能で雇用される可能性があるとしている中、伸び悩んでいることが分かった。農家からは、許認可が遅いなどとの指摘があり、スピード感のある対応を求めている。

「日本農業新聞」より

ついでにいうと、こんな記事まで出ている。

この「特定技能1号」の話は、事実上の外国人労働者受け入れ拡大措置であり、更にいえば移民受け入れ制度である。

日本の産業はそこまで追い詰められていると言っても良いだろう。

歪な制度設計

失踪したら賠償金を

更にヒドイ話がこちら。

技能実習生、失踪したら賠償金 日本の監理団体が裏契約

2019年10月8日 7時30分

外国人の技能実習制度をめぐり、受け入れを担う日本側の監理団体がベトナムの送り出し機関との間で、実習生が失踪したら賠償金を支払わせるなどの裏契約を交わしていたことが法務省関係者への取材でわかった。出入国在留管理庁と厚生労働省は、不適切な報酬の受け取りを禁じる技能実習適正化法に違反したとして、千葉、埼玉両県の二つの監理団体の運営許可を近く取り消す。

「朝日新聞」より

これだと「失踪ありき」で契約をしていたって事だよね。

そして、こうした契約をしなければ成り立たない「実態」であることを理解したならば、そもそも制度が破綻しているのだろうということにいい加減気が付かねばならないと思うのだ。

そりゃ、こうした事例はほんの一部である可能性は否定しないが、氷山の一角でもある。

入管庁は、賠償金などの原資は実習生が応募する際に送り出し機関に支払う費用に上乗せされる仕組みだったとみている。監理団体は9月末時点で全国に2700ある。今回の不正は実習生の入国前に発覚したが、同庁はこうした不正が横行している可能性があるとみて調査する。

「朝日新聞」より

入管でも「氷山の一角だ」という風に見ているようだね。

構図

そして失踪者数は年々増えているのだとか。

もうダメだよね?この制度。

特定技能の制度に切り替えて……

もちろんそんな僕の指摘は、当然、頭の良い官僚の方々は重々承知で、制度切り替えの方向に舵を切ったのだと、そう思う。

ただ、未だ技能実習生制度は続いている。

外国人技能実習制度について
外国人技能実習制度についてについて紹介しています。

未だ続ける積もりらしいのだけれど、続ける必要がある、事情があるにしても人数は徐々に絞っていくべきだろう。

特定技能、突貫のひずみ 「実習生の方がもうかる」声も

2019年12月17日 5時00分

昨年の臨時国会で「労働力不足に対応するため」として、急ピッチの議論の末に創設された在留資格「特定技能」。制度スタートから8カ月たった今も低空飛行が続く。特定技能への移行が進むとみられていた技能実習生は増加の一途だ。ただ待遇の劣悪さを訴える声は後を絶たない。

「朝日新聞」より

なかなかふざけた記事ではあるが、新たに制度設計した特定技能の制度が人気のない理由は、幾つかあるようだ。

 都内に住むネパール人男性(24)は、専門学校に留学していた昨年七月に特定技能の試験に合格したが、特定技能ではなく「技術・人文知識・国際業務」(技人国)の就労ビザを取得し、ホテルに就職した。理由について「特定技能は五年働いたら帰らないといけないし、家族を連れてくることもできない」と説明する。

 一方、技能実習生としてパン工場で働くインドネシア人女性(19)=茨城県常総市=は「月十五万円の収入があり、満足している」としながらも、特定技能について「もっと給料がいいから」と興味を示した。

「中日新聞」より

こちらの記事は悪名高い中日新聞(実質は東京新聞)でもこんな生々しいコメントが。

特定技能の制度に関してはもちろん問題はあるし、見切り発車の側面は否めないのだが、制度運用をしながら見直していくという方針出あることもココに記しておきたい。

少なくとも、「人さらい制度」になってしまってはいけないのである。その辺りを踏まえて行くべきだろう。そして、「現時点で使いにくい制度」であることは、悪いことばかりではあるまい。ただ、技能実習生制度を併存させていることは大きな問題だと言える。

江藤大臣は「大規模な農家であればあるほど実習生に頼る比率が高く、非常に重い問題だ。できるかぎり生産現場に影響がでないよう人員確保に努力していきたい」と述べました。

「NHKニュース」より

この農林水産大臣を務める江藤拓なる人物、保守系の議員らしいのだが、この発言はどうかと思う。調べて見ると生粋の農林族議員であるらしく、そうした立場を踏まえてのポジショントークなのだろう。

だが、本当に日本の未来を見据えるのであれば、おかしな制度設計の上に成り立っている日本の産業構造そのものを見直す機会にするくらいの気概は見せて欲しい。

もちろん、日本の農業や生産業に大きな影響が出る以上は、日本人の生活にも大きな影響が出かねないとは思う。そういう意味でも迂闊なことを言うべきでは無いのかも知れない。

それでも、「ある日、外国人が日本から居なくなったら、日本の産業は消滅します」なんて状況は、何としても改善して行かねばならない。

コメント

  1. 日本が豊かになり、さらに若者が減少しているために、
    なり手が少ない業種でこの制度を使っているのだと思いますが、
    実習生のほとんどはアジア人ですよね。
    で、アジアの国々でも少子高齢化は問題になっているはず。
    中国韓国はもちろん、アセアンでも。
    そんな国々から、
    札束をちらつかせて若い働き手を奪ってくるのはいかがなものかと常々思っていました。
    背に腹はかえられない、なんでしょうけど、日本の働き手不足は日本の中で克服すべき問題と思うので。
    短期間だけ働いて帰国してね(年老いた両親を呼び寄せて定住なんてしないでね)、なんて都合良くいくわけがない。

    実習生制度廃止に賛成です。

    • 国の将来を考えるべき政治家が判断して、「外国人労働者歓迎」「外国からの観光客誘致」なのですから、困ったものです。
      もちろん、外貨を獲得すると言うことは歓迎すべき話なのでしょうが……。

      アジアの国々にしても、若者が海外に行くということはご指摘の様に歓迎すべき事では無いのでしょう。
      もちろん技術交流は必要な事なのでしょうから、本来、狙っていた技能実習生制度というものは「悪いモノ」ではなかったハズなんですが。
      何に付けても私利私欲を肥やす為に本来の運用とは異なる利用の仕方をする方はいらっしゃるのでしょう。そういう方につけ狙われないような制度に変えていかねばならないと思いますよ。

  2. 仕事で国内管理団体とも送り出し機関ともかかわったことがありますが、この仕組みは即時やめるべきです。
    技術移転の皮をかぶった単純労働者受け入れです。
    ストレートに、単純労働者を一定数受け入れるという事でしたら反対はしません。
    余計な建前があるために、実習生と雇用企業が余計なコストを支払っています。
    儲かるのは管理団体と送り出し機関です。管理団体がすでに3000近くもあるって、おかしくないですか?
    特に若者を集めてきて、送り出し機関に紹介するブローカーどもは濡れ手に粟のぼろ儲けです。

    もちろん3年5年と働いて満足して帰る子も少なくありません。
    国で事業を始めたり、日本に留学しに来たり、両親に家を買ってあげたり。
    私の知る限り、会社でひどい目に遭ったり最賃以下で働かされたりという事例はありませんでした。ですが、ひどい目に遭った子が少なからずいるのも事実です。

    「今、実習制度をやめると中小の事業者や農家・漁師などがつぶれてしまう」という声があります。
    確かにそうです。でもそれは何十年もかけて外国人を最賃で雇わないとやっていけない経済環境にしてきたからです。
    弱い企業は潰れます。いや潰れるべきです。
    そうやって業界や企業が強く磨かれます。 ゾンビ企業を延命させて、景気が悪いのに人手不足、その不足分を外国人でまかなうという歪な社会にしてしまったのです。

    今後、どうなるか?
    残念ながら、日本の人気は落ち続けています。ベトナムではすでに韓国の方が人気です。
    日本の悪評は、結構よく知られています。
    今回のコロナ騒動で、ひょっとしたら受け入れが困難な状況が長く続いてしまうかもしれません。
    また国内の失業率が急激に悪化して、人手不足も解消に向かうかもしれません。
    そうなればよいのに、と思っています。

    しばらくベトナムに住んでいましたが、あの国はダメですね。人的資源が乏しすぎます。
    アジアビジネスの本や記事を読むと「ベトナム人は手先が器用で勤勉」と判で押したように書いてありますが、確かにそういう面もありますが、しょせんはマニュアルに従って作業することくらいしかできません。いまだにバイクさえも作れる企業が無いのを見てもわかるでしょう。世界の下請け止まりです。

    • この件で、記事には書きませんでしたが若干現場に触れたことがあります。
      ご指摘の件は、事実、「単純労働者受け入れ」という側面が強い印象でしたから、日本のあちらこちらでそうしたことが起こっているのでしょう。
      しかし、管理団体が3000以上ですか。思っている上にコントロール出来ない状況にあるようですね。

      ご指摘の内容、強い言葉を使ってはおられますが同感であります。
      確約労働者を使わなければ維持できないゾンビ企業をいつまでも存続する意義はありません。淘汰されていくべきでしょうね。

      ベトナムに関するお話は実感としてもデータとしても判断しかねることですが、ベトナムで工業が発展しない理由はそういう背景によるのかも知れませんね。