イタリアがとうとう北部都市を封鎖、そしてEU危機へ

欧州ニュース

やっちまった感が強いな。

イタリア、ミラノなど北部の大部分封鎖 新型ウイルス拡大阻止へ

2020年3月9日 / 07:37

イタリアは、新型コロナウイルスの感染拡大阻止に向け、金融の中心地ミラノを含む北部の大部分を事実上封鎖する措置に踏み切った。4月3日まで、集会や人の移動を制限し、ウイルスの封じ込めを目指す。

「ロイター」より

イタリアで武漢肺炎が猛威を振るっている話は前回、ちらっと触れた。その原因となっているのは、クルーズ船では無いか?という疑いもある。詳しい事は分かっていないのだけれど。

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イタリアは欧州の武漢?

初動体制が間違っていたのだろうか

イタリアは支那からの渡航客をシャットアウトした最も早い国のうちの1つであった。

イタリアへの中国からのフライト乗り入れ禁止 香港や台湾からも

2020年2月2日 日曜日 9:22 AM

イタリアの航空当局は、中国本土・香港・マカオ・台湾からのフライトの乗り入れを禁止した。

キャセイパシフィック航空では、2月1日から9日まで、香港〜ローマ・ミラノ線の欠航を決めた。チャイナエアラインも、2月2日から4月28日まで、台北/桃園〜ローマ線を運休する。両社は予約客に対し、代替便を手配する。

「traicy」より

しかし、この航空便の欠航は殆ど意味がなかった。これはイタリアが欧州と陸続きであり、シェンゲン協定によって国境検査無しで国境を越えることができる。

さらに、海路に関してもクルーズ船の対応からも分かるように殆ど規制無しだった。

ところが、そんなイタリアに支那人旅行者の感染者が。

イタリア国民は、自国がなぜ「欧州の武漢」になってしまったのか、理由を知りたがっている。イタリアで最初の症例が発見されたのは1月末である。死に至る場合もある感染症の震源地となった武漢からの中国人観光客2人がイタリア旅行中に発症したのだ。

この夫妻は直ちに隔離され、接触のあった人は全員ウイルス検査を受けた。イタリア政府はさらなる感染を防止するため、他の欧州諸国に先駆けて、中国との直行便を発着ともすべて禁止した。上述の2人の中国人が他の誰かにウイルスを感染させたとは考えられていない。

「朝日GLOBE+」より

この記事の信用性が如何ほどのものであるかは、なかなか難しいところである。

2月21日、ロンバルディア州は、ミラノ南東60キロにあるコドニョ出身の38歳のイタリア人男性が新型ウイルス陽性と診断されたと発表した(「マッティア」という名だけが発表されている)。それから1週間以内に888人の感染が確認され、そのうち21人が死亡した。

複数の新型ウイルス肺炎患者の治療に当たっているミラノのサッコ病院で感染症担当部門を率いるマッシモ・ガッリ氏は、「我が国は、最も思い切った迅速な予防措置を採った国だと考えられていた」と話す。だが同氏は、「国内感染者1号」とされるコドニョ出身の「マッティア」氏が発症するよりだいぶ前から始まっていたのではないか、と言う。

「朝日GLOBE+」より

結果からいえば2月末頃には900人近くの感染者が確認されてしまう事態になる。当然、観光で喰っている地域の多いイタリアにとって支那との渡航を制限する事は、大きなダメージを受ける事になる。

そこを分かった上でフライト乗り入れ禁止だったのだろうが、

死者急増の背景に何が?

さて、イタリアの現在の武漢肺炎による死者数は366人。何故こんな事になってしまったのだろうか?

新型肺炎、イタリアで6人死亡 観光名所も次々閉鎖

2020年2月25日 0時57分

イタリアで新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、24日までに感染者は200人を超え、死者も6人に増えた。アジア以外で初めての大規模な感染地域となり、大半の国で域内の移動が自由な欧州にとって国境管理をめぐる大きな問題になりかねない状況だ。

「朝日新聞」より

2月25日の時点で、感染者は200人、死者は6人であった。この時既に問題視されていたのがシェンゲン協定である。

同州など北部5州ですべての学校が休校となり、博物館なども休館となった。世界的に有名なベネチアのカーニバルも25日までの予定を前倒しして閉幕。ミラノのオペラ劇場「スカラ座」は公演を取りやめ、大聖堂(ドゥオーモ)も閉鎖された。

「朝日新聞」より

2月末の時点で様々な施設の休館や、学校の休校措置などが取られていたのだけれど、結果的には戦力の逐次投入のような形となってしまった。感染の拡大を抑制できなかったのである。

感染者推移

イタリアでの感染拡大はこんな状況になっているのだが、特に北部に感染者が多い状況である。早期に対策したにも関わらず、対策に穴があったのでこんな感じの状況になってしまっている。

今や7000人を越えて世界第2位となった。韓国もビックリの勢いである。

イタリアの首都はローマ

さて、皆さんご存じの通りイタリアの首都はローマにある。

イタリア

どの辺りにあるかというと、イタリア中部にある。

実はイタリアは南北で経済格差が大きい。実はイタリア北部のヴェネチア、ミラノ、トリノ辺りはイタリアの中でも裕福な人が多く住む地域である。一方、南部のナポリやシチリア島あたりの都市はかなり貧困率が高いといわれている。

じゃあ、ローマはどちらに属するか?というと北部に属するという分類になるようだ。つまりローマも裕福な側に属するのである。

イタリア北部2州で住民投票 自治拡大狙う 独立は求めず

2017.10.22 14:52  イタリア北部のロンバルディア州とベネト州で22日、自治権拡大の賛否を問う住民投票が実施された。賛成多数となる見通し。スペイン北東部カタルーニャ自治州の独立問題の混乱を受け注目が集まるが、2州はいずれも独立は求めていない。

 ロンバルディア州の州都は商業都市ミラノ、ベネト州は世界的な観光都市ベネチアで、2州はイタリア経済の中心的役割を果たしている。北部を基盤とする右派の地域政党、北部同盟は「北部の税金が貧しい南部で無駄遣いされている」と主張。税制などで州の裁量権を拡大するよう中央政府に要求していく考えだ。

「産経新聞」より

で、この結果何が起きるかというと、南北対立という構造が産まれてしまっているのである。

イタリア北部は重工業が発達したお陰で経済的に発展しているのに対し、イタリア南部は一次産業を中心としていて、南部の失業率は北部の3倍とも4倍ともいわれているようだ。

尤も、イタリアの場合は分離独立というところにまで至っているワケでは無く、かつてはそういった動きもあったようだが、現在はそのなりを潜めているようだ。

検査態勢は徹底的に

ところで、こうした裕福な北部での発症によって、武漢肺炎の検査は比較的力が入れられたようである。相変わらずPCR検査に依存するのだが。

「イタリアのジュゼッペ・コンテ首相とウイルス学者イラリア・カプア博士と疫学者ピア・ルイージ・ロパルコ博士はPCR検査で多くの人を検査したため多くの症例が見つかったと説明しました。しかし欧州の他の国が検査数を公表していないため、はっきりしたことは分かりません」

「3月4日時点で2万5000件以上のPCR検査を行い、それらの大半は陰性でした。最も重要なことはうち2万1000件以上が北部のロンバルディア州、ベネト州、エミリア・ロマーニャ州で実施されたことです」

(筆者注)日本は5日時点で6647件のPCR検査を実施、333人が陽性(陽性率5%)。イタリアは2万5856件実施して陽性は2423人(陽性率9.4%)。

「より多くの症例が見つかったのは、より広範囲の人口に対して検査が行われたからです。発熱や咳、くしゃみという症状のない人も検査されました。一部の人は感染しても症状が現れません。だからこの地域で最初に感染した患者(患者ゼロ)を見つけることはできないでしょう」

「yahooニュース」より

そして、「大半の検査は陰性だった」とされている。

この記述からも分かるように、実はイタリアの検査はスクリーニング検査という位置づけでPCR検査が行われてしまった。

しかし、以前の記事で言及したかどうかちょっと記憶が怪しいのだが、PCR検査自身はそれほど精度の高い検査手法では無く、検査の閾値を上げてしまえば偽陽性を増やしてしまい、閾値を下げてしまえば偽陰性を増やしてしまう。

イタリアの場合にどちらの対応が採られたかハッキリしないのだけれど、検査をしても感染者が発見できなかったことは、「安心材料」に繋がったものの、結果的には感染拡大を防ぐ事ができなかった。

日本での事例を考えてもPCR検査によって陰性判定が出た人でも、後に陽性判定になってしまった人は少なからずいる。当然、イタリアでも同様のケースはあったはずだ。

そして、漏れ聞くところによると、程度の軽い武漢肺炎感染者の隔離を病院内で行った結果、重症者が病院に収容できなくなった。その結果、死者数を増やしてしまったという、負のスパイラルを作り出してしまった可能性が高いのである。

北部封鎖は南北対立を助長しかねない

燻る南北問題

こうした対応は南北問題に再び火を付けかねない様に思う。

イタリア地方選、北部州では中道左派、南部州は右派が勝利 経済格差が反映か

2020年1月27日(月)13時00分

イタリア北部のエミリア・ロマーニャ州で26日実施された州知事選は、中道左派の民主党(PD)の現職が、極右「同盟」の候補を抑えて再選する見通しとなった。

世論調査会社の予測によると、PDの現職ステファノ・ボナッチーニ知事が49─51%を獲得し、同盟を中心とした右派連合が推す候補(43─45%)に勝利する見通し。

「Newsweek」より

1月末に行われた選挙でも経済格差を反映するような結果が得られたというニュースがあったが、イタリア北部は未だに左派の強い地域である。イタリア現政権のトップ、ジュセッペ・コンテ氏はポピュリストを自任しており、何れの政党にも属していない。

イタリアで根強い支持を誇る「五つ星運動」という政党はいわゆる左派ポピュリズム政党で、イタリア経済の停滞によって大躍進を果たした政党である。一方でこれに対抗する右派ポピュリズム政党の同名もそれなりの勢力を持っていて、この2つの政党が連立政権を作って、コンテ氏はその間に立って政権運営を行っている状況にある。

左派と右派で連立政権になっているという状態は、政府としては決して良い状況とは言えない。

実際に、コンテ政権は1度崩壊している。

イタリアに政治空白 コンテ首相、サルビーニ内相批判し辞任表明

2019年8月21日 6:59

イタリアのジュセッペ・コンテ首相が20日、辞表を提出した。コンテ氏は辞任表明に伴い、極右のマッテオ・サルビーニ副首相兼内相が連立政権を解消させることにより自利を追求したとの批判を展開した。

「AFP」より

イタリア国内で人気の高いサルビーニ内相が、政策の進まない状況に業を煮やして連立政権解消を目指したことで、政権維持が難しくなったのである。

コンテイタリア新連立内閣が発足 コンテ首相再任、混迷収束

2019/9/5 17:57

イタリア首相に再指名されたジュセッペ・コンテ氏(55)は5日、大統領府で宣誓式に臨み就任した。新興組織「五つ星運動」と中道左派「民主党」の連立合意に基づく第2次コンテ内閣が発足。早期総選挙は回避され、先進7カ国(G7)の一角を占める大国で約1カ月続いた政局混迷はひとまず収束した。

「日本経済新聞」より

コンテ氏は再選し、結局左派同士が組んで第2次コンテ内閣が発足した。つまり、現在のイタリアの舵取りをしているのは左派政権なのである。

イタリアは今回の舵取り失敗のツケをどこかで支払う必要が

さて、上のNewsweekの記事ではこんなことが書かれている。

同盟はエミリア・ロマーニャ州知事選での勝利は逃したもようだが、同日行われた南部カラブリア州の知事選では、右派の候補が勝利した。

五つ星の候補の得票率はエミリア・ロマーニャ州で5%、カラブリア州で6%程度にとどまる見通しだ。

アナリストは、26日の地方選を受けて国政での連立における五つ星の立場が弱くなり、PDの発言権が強まるとの見方を示した。

「Newsweek」より

左派政権がイタリア国家の運営を続けている状況で武漢肺炎騒ぎがあり、1月の選挙では右派が勢力を伸ばしている状況が示された。

そうなると、この騒ぎが収束した結果、更に勢力を伸ばし南北対立が深まるリスクがある。イタリア経済の低迷がこの状況に更に拍車をかける可能性があり、その結果どうなるか?というと、感染を広げたシェンゲン協定からの離脱、或いはもっと踏み込んでEU離脱というような事に繋がりかねない。

ドイツの状況もかなり苦しくなってきていることを考えると、いよいよEUは存続が危うくなっていくのかも知れない。

追記

凄い勢いだな。

イタリアでは、死者が100人増えて463人になってしまったようだ。

イタリア、移動制限を全土へ拡大

3/10(火) 5:58配信

イタリアのコンテ首相は9日の記者会見で、10日から全土で個人の移動制限を実施すると述べた。北部ロンバルディア州などに限定していた措置を全土に拡大するとした。

「共同通信」より

その結果、全土で移動制限をかけるような事態になったのだが、不味い展開だね、これ。

コメント

  1. 木霊さん、おはようございます。

    ニューヨークが2000$以上の大幅下落とかで、いよいよ世界経済に深刻な影響が出てきた様です。

    >イタリアは支那からの渡航客をシャットアウトした最も早い国のうちの1つであった。
    >さらに、海路に関してもクルーズ船の対応からも分かるように殆ど規制無しだった。

    世界有数の観光大国である国なんでどこに行っても人混みで濃厚接触は必然ですし、結果的に観光資源優先が今の状況を引き起こしたんじゃないかなァ~。
    観光客はTGVでどこにでも行けちゃいますから、特に人気の高いフランス・スペインはもちろんドイツにまで拡がっているのは当然でしょう。
    逆にイタリア・フランス・ドイツと国境を接しているスイスの感染数がどうなのか、僕は興味がありますね。

    >今や7000人を越えて世界第2位となった。韓国もビックリの勢いである。

    もう武漢ウィルスと言うより「支那ウィルス」と呼ぶべき状況なのに、最大の戦犯であるWHOのオッサンは「パンデミックではない、制御可能であり支那は拡大終息に成功してる」とか呑気そのもの...。
    アメリカはもちろんですがEU諸国から、この支那忖度オッサンの責任追及・更迭論が出てこないのが不思議です。

    成田・関空に制限された支那・南朝鮮の航空便ですが、各県の国際線ターミナルは閑散状態...、インパウンドがどうのこうのと騒いでいますが如何にこの2国頼りだったかをさらけ出してしまいました。
    2月の海外入国者が100万人を切ったそうで、安倍氏がぶち上げた4000万人は夢のまた夢となりそうです。
    これを機会に安易で経済効果が薄い支那・南朝鮮人に頼らない、良質な観光客誘致へ舵を切る時じゃないかな。

    • 株式市場は大混乱ですね。
      どの段階で日本が「対策」を打ち出すのかは見物ですが、今のところ第2弾までのショボイ話を出しているだけのようです。

      ヨーロッパは、早い遅いはあっても、武漢肺炎で混乱必至です。
      もはや「なかったこと」には出来ないレベルの話になっていますので、騒ぎが収まってからも色々とあるのでしょうけれど……。
      取り敢えずは、騒ぎをおさめるのが先なんでしょう。その、収束が一体何時になるのかは……。

      観光立国日本というのは、そもそも反対する立場にいますので、誘致してもせいぜい金持ちを呼ぶ程度かな、という気はしていますよ。「良質な観光客誘致」という事になるとは思いますけど。