クルーズ船対応を迫られた各国の対応

北米ニュース

さて、日本でのクルーズ船騒ぎ、ダイヤモンド・プリンセス号の対応はなんとか収束し、多数の感染者を出してしまったものの、その後の経過はそれほど悪く無かったようにも思える。

反省点はもちろんあったと思う。だが、できることをやった事は間違いなかった。

では、アメリカはどうなのだろう?

新型コロナ 米クルーズ船乗客収容には限度 米高官が懸念

2020.3.6 11:24

米西部カリフォルニア州沖で乗員・乗客に新型コロナウイルスの感染症状が出ていることが明らかになったクルーズ船「グランド・プリンセス」への対応をめぐり、米国土安全保障省の高官は5日、上院委員会の公聴会で、すべての乗員を隔離収容する施設がないことを明らかにした。

「産経新聞」より

日本の対応と対象的だったのはイタリアの対応で、そちらは酷いことになってしまった。では、アメリカはどのような手段を講じるのか。

なかなか興味深い展開になってきた。

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前提として、クルーズ船の船内は外国である

日本にダイヤモンド・プリンセス号が寄港した理由は、日本人乗客が多かったから

まず、ダイヤモンド・プリンセス号の騒ぎを振り返ってみよう。

幾つか記事を書いたが、日本に寄港したダイヤモンド・プリンセス号は、横浜港に2月6日に接岸、その後、乗客と乗員3711人中700人以上が新型コロナウイルスに感染し、6人の死者が報告されている。

このダイヤモンド・プリンセス号は船籍がイギリスであり、船長もイギリス人であったため、基本的には船長と船会社の意向を尊重しながらの行動が求められる。

そうした中、日本政府はクルーズ船内から感染者を下ろして病院に搬送し、感染したかどうかがハッキリしない乗員・乗客多数をクルーズ船内で隔離するという選択肢をとった。

感染者が増えていく毎に批判の声は高まり、国際的にも「最悪の対応だ」と言われるにいたる。だが、本当に他に選択肢があり得たのだろうか?

僕は当時の記事で「病院船」の提案をしていたが、改めて考えて見るとその対応が果たして現実的かどうかは判断に困る。何しろ、「病院船」の収容人数は限界があり、アメリカ軍の保有する巨大病院船マーシー級でも、1000床の病床を備えているに過ぎない。

一方で、ダイヤモンド・プリンセス号には、その三倍を超える乗客乗員がいた。仮にマーシー級が3隻あったとしても、収容はできなかったのだ。現実問題として、そのような船は日本に存在しなかったのだから、その仮定自体意味のない話だが。

したがって、感染拡大を防ぐ事ができたかと言われれば、難しいと言わざるを得ない。

厚労省は5日以降は、乗客に客室内で待機するよう指示して感染防止対策をとったことから、多くの乗客の感染は5日より前に出たと考えていた。国立感染症研究所も乗客の感染の拡大は5日より前に起き、7日をピークに発症者は減少していると説明。鈴木基・感染症疫学センター長は「隔離で感染拡大が抑えられた」としていた。

「朝日新聞」より

朝日新聞は批判的に報じているが、厚生労働省が検査した限り、ダイヤモンド・プリンセス号内での感染ピークは2月5日より前に起きていると考えられ、そうだとすると横浜港に寄港した2月6日以降の対応では「間に合わなかった」可能性は高い。

そもそもダイヤモンド・プリンセス号が日本に寄港した理由は、クルーズ船の航行日程上、最後に寄港するのが横浜湊であり、かつ、乗客に多数の日本人客が乗船していたからというものであった。しかし、クルーズ船内での出来事に関して責任を持つのは船の旗国であり、最終寄港地である横浜でも、それを擁する国でもない。

人道的見地から日本が対応した、という事を言えば聞こえが良いかも知れないが、実際は旗国でなかったその事実が問題をより複雑にした。

頼られれば助けるお人好しな部分が足を引っ張った結果とも言える。

イタリアのクルーズ船対応

さて、日本は批判されたが、対称的な対応をとったのがイタリアである。

豪華客船に新型コロナウイルス感染者?イタリアの港で約7000人が閉じ込め―仏メディア

2020年2月1日 07:00

30日、イタリア・ローマ近郊の港に停泊した豪華客船に新型コロナウイルスに感染した疑いのある乗客がいるとして、船内の約7000人が長時間外に出られなくなる事態が起こった。同日、仏AFP通信の報道を基に台湾メディア・聯合報が伝えた。

~~略~~

AFP通信の続報によると、ローマの病院で検体を検査した結果、2人は陰性と確認され、乗客らの下船が可能となった。それまでには停泊から約12時間を要したという。

「レコードチャイナ」より

イタリアに寄港したのはコスタ・スメラルダ号で、イタリア船籍の船であったようだ。

乗船していた乗客のうち1人に感染が確認されたが、12時間後に他の乗客・乗員は下船できたようなのだ。だが、その後、イタリアでは感染爆発が起きる。

イタリア、新型コロナウイルス死者41人増 感染者は4000人に迫る

2020年3月6日(金)11時59分

イタリア当局は5日、新型コロナウイルス感染の死者が過去24時間で41人増えて148人に達したと発表した。感染者も3858人と、前日の3089人から増加した。

1日当たりの死者・感染者数はともに、2週間前にイタリア北部で初の感染が確認されてから最多となる。

当局によると、致死率は3.8%と前日の3.5%から悪化した。

「Newsweek」より

コスタ・スメラルダ号から、乗客を速やかに下船させたイタリアは、当時、称賛されていた。その後感染拡大してしまったが、この記事では感染拡大とクルーズ船との因果関係については言及されていない。他にもその事に言及する記事は見かけなかった。

 そして経験に乏しい日本は、従来と同じ方法で検疫を強行してしまった。その結果が、歴史に残る集団船内感染だ。一方、イタリアは柔軟に対応し、旅行客の健康を守った。2月12日現在、イタリアでの新型コロナウイルスの流行は確認されていない。

「Niftyニュース」より

この記事では、日本のことをくそみそに批判しているのだが、ライターを見たらデマを振りまくことで有名になってしまった上昌広氏によるものだったようだ。

日本国内内では特にこのようなバイアスが働いたようだ。

さて、コスタ・スメラルダ号がどのような経路を辿ったかハッキリ言及している記事は見つけられなかったが、どうやらローマ北西のチビタベッキアに停泊して、女性を隔離し、最終的にはイタリア北部のラ・スペツィアに向かったようだ。

船はイタリア北部のラ・スペツィアに向かうところだった。乗員1000人、乗客6000人で、このうち750人が中国からだと、港の広報担当者が明らかにした。

「Bloomberg」より

この記事の通りだとしたら、イタリア北部で多数の支那人を下船させたことになる。イタリアでの感染は北部に集中していることを考えると、関連性があったものと疑わざるを得ない。

コスタ・スメラルダ号

最新鋭の豪華客船だったのだけれど、最悪の感染源を運んでいってしまったようだね。

アメリカはどのような対応をするのが正解なのか?

この2つの事例からも分かるように、対応を間違えると大変なことになってしまうのがクルーズ船事案のようだ。

グランド・プリンセスは横浜港で集団感染が発覚した「ダイヤモンド・プリンセス」と同じ米船会社「プリンセス・クルーズ」が保有している。米紙ワシントン・ポスト(電子版)などによると、グランド・プリンセスの乗客は約2500人で、乗員・乗客約20人が感染が疑われる症状を訴えている。

「産経新聞」より

既に、集団感染が確認され、死者が1名出ていることが確認されているグランド・プリンセス号をアメリカはどうするのか?

死者一人と言うことは確率的には、30〜50人程度の感染者がすでにいる可能性が高い。

しかし、冒頭に示すように、収容施設は無いということのようで、下船させて隔離ということは難しそうだ。

日本のオペレーションを考えて見ると、拠点を船外において船内隔離をするというのがスマートなやり方のようにも思えるが、既に感染が広まってしまっていることを考えると、船に軟禁するようなやり方が正しいかどうかは悩ましいところ。

ただし、少なくともイタリアのように全員下船させてその行方を追えない状況にするという対応は、宜しく無いと考えられる。

今のところは「接岸させない」という対応を採っているようだね。

お手並みを拝見しよう。少なくとも、日本やイタリアよりは優れた対応をしてくれるものと期待できる。

アメリカでも感染拡大

初の死者はワシントン州で

さて、アメリカも「他人事」という印象が強かったものの、当事者として対応を迫られる事態になっている。

米新型コロナで初の死者 介護施設でも感染爆発か 市中感染も続々「隔離や都市封鎖に効果なし」専門家

3/1(日) 8:38

アメリカで、新型コロナウイルス感染による初の死者が確認された。

亡くなったのはワシントン州に住む50代の男性で、持病があった。保健当局によると、旅行を通じて感染した証拠はない。ワシントン州は「非常事態宣言」を発令、感染爆発に備えて、州のリソースを必要な新型コロナ対策に注ぐ予定だ。

「yahooニュース」より

サンフランシスコも非常事態宣言を出した様だ。

米サンフランシスコ市、コロナ感染者ゼロでも「非常事態宣言」ハーバード大教授「世界の70%が感染する」

2/26(水) 13:31

米サンフランシスコ市が、米国時間25日、新型コロナウイルスの感染拡大に備えて「非常事態宣言」を発令した。

明記しておきたいのは、同市に在住する人々の間からは、感染者がまだ1人も確認されていないということ。

しかし、それでも「非常事態宣言」を出したのだ。この意味は大きい。

「yahooニュース」より

割と早いタイミングでアメリカが対応する事を決断したようなのだけれど、結果的に感染者の増加傾向にある様だ。

アメリカ 東海岸でも感染者増加 全米で対策急務に

2020年3月6日 14時41分

アメリカでは、首都ワシントンに隣接する東部メリーランド州で新型コロナウイルスの感染者が新たに確認され、州内に非常事態宣言が出されました。感染者は西海岸にとどまらず、大都市が連なる東海岸でも増え始めており、全米で感染拡大の防止が急務となっています。

「NHKニュース」より

アメリカの感染者も200人を超えており、水際対策という点では結果から見ると上手く機能しなかったようだ。アメリカも支那からの渡航者を禁ずる対応を早々に打ちだしただけに、この「増加傾向」はショックだろう。

ただし、支那人がアメリカに多数渡っている現状を考えると、渡航禁止政策を選択したことで、蔓延がスタートするタイミングを遅らせることには成功したのかも知れない。

未だに経済の動き出さない支那

さて、支那の感染拡大は収束して、工場を稼働させようという段階に入っているとはいわれている。

しかし……、本当にそれが成功したのだろうか。

衛星画像で明らかに 感染拡大 世界各地の街の様子に大きな変化

2020年3月6日 13時51分

新型コロナウイルスの感染が80余りの国や地域に広がり、移動を制限したり、外出を控えたりする動きが広がる中、感染拡大の前とあとでは世界各地の街の様子に大きな変化があることが、上空から撮影された衛星画像で明らかになりました。

「NHKニュース」より

少なくとも2月の状況は、空から見ても分かるように「息を潜めるように、過ぎ去るのを待っている」という状況だったようだ。

鴻海精密、中国工場で3月末までの通常操業再開を見込む

2020年3月3日 20:09 JST

台湾の鴻海精密工業は、中国の工場で3月末までに新型コロナウイルスの影響で生じている深刻な労働力不足を解決し、通常操業を再開できると見込んでいる。

鴻海は米アップルから受託する「iPhone(アイフォーン)」生産の半分以上を中国で行っている。同社は3日、現時点で工場のこの時期としての稼働率は約5割程度にとどまっているものの、今月中には労働者が工場勤務に復帰し、稼働率も上昇するとの見通しを示した。

「Bloomberg」より

鴻海など、割と支那の共産党に近い筋の製造業も、工場の稼働は現在5割程度であるとしている。

今後、月末に向けて生産を活発化させていく予定のようだが、未だに不透明な状況であるようだ。支那当局は「収束したのだ」と胸をはっているようだが、そうであったとしても多くの都市の封鎖を解いて、人が動き出すまでにはもう少し時間を要するのだろう。

支那経済が停滞すると、アメリカとしても経済的なダメージが避けられない。クルーズ船への対応も頭の痛いことではあろうが、経済の停滞にも手を打たねばならないだろうから、選挙対策という意味においても策を講じてくるだろうと思われる。

その辺りも日本としては注視していかねばならないだろう。

追記

あー、下船させる事をチョイスですか。

米 カリフォルニア沖のクルーズ船 乗客の下船開始を決定

2020年3月8日 20時28分

新型コロナウイルスへの対応でアメリカ、カリフォルニアの沖にとどまっているクルーズ船の運航会社が乗客の下船を始めることを決めました。乗客は下船後に一定期間、隔離され、健康状態を確認する措置が取られるということです。

このクルーズ船はアメリカの会社が運航する「グランド・プリンセス」で、乗客乗員およそ3500人のうち21人から新型コロナウイルスの陽性反応が出て、アメリカ政府と運航会社が対応を検討していました。

これを受けて運航会社は声明を出し、「グランド・プリンセス」の乗客の下船を始めることを決め、9日にカリフォルニア州オークランドの港に接岸させると明らかにしました。

「NHKニュース」より

何故、オークランドなのか?という点も疑問ではあるが、下船させた乗客は隔離施設に移すとされている。

隔離施設の詳細については不明だが、そんな都合の良い建物があるのだろうか?

さて、オークランドに下船させる事に決定されたことで、話題になっているのがこちらだ。

人種構成:白人31.29%、アフリカン・アメリカン35.66%、先住民0.66%、アジア15.23%、太平洋諸島系0.50%、その他の人種11.66%、及び混血4.98%である。人口の21.89%はヒスパニックまたはラテン系である。

「Wikipedhia「オークランド」」より

この地は、アフリカン・アメリカン、いわゆる黒人の人口比率がかなり高いのである。アメリカでも際だって人種の混成率が高い場所であるとのこと。

更に、有名なチャイナタウンがあるなどの特色があり、治安もかなり悪い地域である。また、貧富の差が激しく人口の2割が貧困層なのだとか。

……実に人道的な配慮だな。

追記2

アメリカの感染者も順調に増えているな。

米の感染者500人超 首都と34州で確認

3/9(月) 10:39配信

 米主要メディアは8日、米国内の新型コロナウイルス感染者が500人を超えたと報じた。ニューヨーク・タイムズ紙電子版によると、米首都ワシントンと34州で感染者が確認され、死者は計22人に上っている。


「共同通信」より

あっという間に日本の感染者も死者も越えてしまった。

尤も、日本の感染者数が正しいのか?死者数が正しいのか?という点については疑念もあるが。

追加

おかわりキマシタ!

米「グランド・プリンセス」乗客下船へ

3月9日 13時06分

~~略~~

また、同じ運航会社の「リーガル・プリンセス」が、乗員2人に感染の疑いがあるとして入港が許可されず、検査結果が出るまで南部フロリダ沖で停泊しています。この乗員2人は、「グランド・プリンセス」で乗務していたということです。

「TBSニュース」より

3,560人乗せられる船らしいのだけれど、何故、グランド・プリンセス号で乗務していた乗員を他の船に移すのか……。

コメント

  1. 木霊さん、おはようございます。

    >コスタ・スメラルダ号から、乗客を速やかに下船させたイタリアは、当時、称賛されていた。
    >この記事の通りだとしたら、イタリア北部で多数の支那人を下船させたことになる。イタリアでの感染は北部に集中していることを考えると、関連性があったものと疑わざるを得ない。

    鷹揚なイタリア人気質ゆえと言いますか...、支那人750人を解放したツケは大きい様です。
    北部で1600万人隔離とか大事になってますから。

    日本のクルーズ船対策については、太郎ちゃん(麻生)が「そもそもイギリスの責任じゃねェ~!!」と正論をブチ上げましたが、マスメディアのほとんどがこの日本が発すべき重要なコメントにはスルーです。
    普段は重箱の隅を楊枝でほじくる様に太郎ちゃんの揚げ足を取るクセに汚らしいたらありゃしませんね。

    >既に、集団感染が確認され、死者が1名出ていることが確認されているグランド・プリンセス号をアメリカはどうするのか?

    さて、トランプ大統領はどういう決断を下すんでしょう?
    大統領選を見据えて相当強硬な策を発動するんじゃないかな?

    >支那経済が停滞すると、アメリカとしても経済的なダメージが避けられない。クルーズ船への対応も頭の痛いことではあろうが、経済の停滞にも手を打たねばならないだろうから、選挙対策という意味においても策を講じてくるだろうと思われる。

    ドップリの日本経済界はもちろん支那脱却のチャンスと僕は考えています。
    スクラップ&ビルドは歴史の常ですから...。

    • 新しい記事にも書きましたが、イタリアの惨状はクルーズ船だけが問題という風に断言は出来ません。
      イタリア観光の状況を知らないので、どういう人の動きをしているのかはよく分からないのですが、しかし空の便を封鎖したところで余り意味が無かったという事は言えるのかと思います。
      そして、イタリアの敗因は、やはりPCR検査を一生懸命やっちゃったことの様な感じなのです。

      まあ、もうちょっと追いかけてはみますが、イタリア発EU崩壊なんてシナリオも考えられるのかな、と。

  2. 普通軍艦の病院船は感染症に対応していません。

    • そうですか。
      あくまで素人考えのアイデアなんで、現実的には難しいという事もあるでしょう。確かに、軍の船を感染症対策に使うというアイデアは産まれにくいというか非効率なのかも知れませんね。
      詳しい事は分からないのですが。

      • 「病院船」の任務を何処までの範囲とするかという問題だと考えます。

        例えば、米国の「マーシー級病院船」の任務は、
        >マーシーの主な任務はアメリカ軍の陸上展開部隊、上陸作戦部隊を迅速かつ柔軟に支援し、
        >傷病兵に対する医療支援を主なうことである。 また、平時においてはアメリカの
        >政府系機関からの要請に基づき災害被災者や人道支援対象者に対して医療支援を行う。
        (ソース:Wikipediaの記事)
        なので、感染症に対応する必要はないし、「建物」じゃなく医療設備ごと移動する「病院船」なのだと考えます。

        感染症被疑者の隔離だけなら、(感染病にも依りますが)通常の船舶(客船)でも可能だと考えます。

        感染症患者の治療を含めた「総合病院」的な「病院船」も考えられます。
        逆に(急性期治療のみと割り切り)「マーシー級病院船」が備える、歯科治療区画、検眼・眼鏡加工室、理学療法室などは、省略することも考えられます。