このニュース、「今さら」という感じのニュースではあるが、支那から出てきた数字という意味ではインパクトがある。
単稿にて紹介しておこう。
Coronavirus live updates: China’s Hubei reports 14,840 new cases, 242 additional deaths
PUBLISHED WED, FEB 12 20206:59 PM ESTUPDATED 13 MIN AGO
~~略~~
China’s Hubei province reported an additional 242 deaths and 14,840 new cases as of Feb. 12 — a sharp increase from the previous day. The province said it is starting to include “clinically diagnosed” cases in its figures and that 13,332 of the new cases fall under that classification.
「CNBC」より
このニュースによれば、新たな症例は14,840人で、242人が死亡したとのこと。
数字の齟齬の理由
2月12日時点の報道では、支那全体で感染者は2,027人増加し、死者は97人増加ということだった。公式に発表された数字ではあるが、冒頭のニュースでは感染者14,840人増加、死者242人増加となっている。死者は倍以上の差の開きがあり、感染者数は7倍程度の開きがある。
その大幅に増えた理由として「臨床的に診断された症例を含めた」からだという事になっている。この意味がどう捉えて良いのかは後で言及していくとして、確定的に言えることは、カウントする基準を変えたということだ。
検査手法とその信頼性
さて、ここで気になるのが、支那が行っている武漢肺炎の検査がどのようなものか?という点である。
人海戦術で検査を行っているとは言え、今回の武漢肺炎について簡易検査キットが開発されたという話は、アメリカ以外からは聞こえてこない。
日本ではどうか?というと、国立感染症研究所からこんなレポートが開示されている。
検査体制:当初、中国から開示されたゲノム情報に基づき、感染研においてコンベンショナル PCR 検査を実施する準備を整え、検査に対応した。また、地方衛生研究所において、コンベンショナ ル PCR 検査が可能となるよう、1 月 23 日に国立感染症研究所から試薬が配布された。1 月 24 日 に、国立感染症研究所にて開発を進めていたリアルタイム PCR 法による検査系が完成し、所内で 実施する検査はリアルタイム PCR 法に変更された。また、それに合わせて 1 月 30〜31 日に地方 衛生研究所、検疫所へリアルタイム PCR 用の試薬が配布された。行政検査を実施する場合の検体 採取と輸送の手引きは 1 月 21 日に国立感染症研究所のウエブサイト上で公開された。検体採取 と輸送の手引きは適宜アップデートされる(最新 2 月 6 日更新)。
「国立感染症研究所」より
日本で感染が確認されているのは、1月14日頃から。
冒頭の「支那から開示されたゲノム情報に基づき検査」というのは、1例目の患者に適用された話らしく、感染者は1月3日頃から発熱があり、1月6日に武漢市から帰国したとのこと。感染者との濃厚接触の可能性があるとか。
支那が1月23日に武漢肺炎の存在を公式に認めているが、実際には1月14日頃から日本当局は支那とのやり取りをしていた事が伺える。
そして、リアルタイムPCRという手法によって検査されているようだ。
検査にかかる時間と処理可能数
では、検査にどの程度の時間が必要かというと、こちら。
新型コロナウイルス検査確定は何時間
2020年2月11日 午後5時00分
新型コロナウイルスによる肺炎の収束が見通せない中、福井県内で感染が疑われる事例があった場合に、感染の有無を調べる遺伝子(PCR)検査を担うのが県衛生環境研究センター(福井市原目町)だ。特殊な薬品や装置を使い、確定までに要する時間は8時間前後。現在確保している試薬の量で検査できるのは最大で約60検体だが、保健所からの検査要請が増える事態への準備も進める。24時間態勢で検査に備えている。
「福井新聞」より
武漢にもP4研究所があると言う話なので、似たようなレベルの検査が出来るものと考えられる。同じレベルの検査に要する時間は8時間。同時に検査できるのは機械にもよるが100サンプル程度のようだ。
記事にあるように試薬の量にも限りがある。支那がどんな手を使って検査しているのかは是非知りたいところだね。
リアルタイムPCR法について。
ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)はDNAを増幅させて検査をする手法で、色々な病気の診断に利用ができる。リアルタイムPCR法はこの手順をリアルタイムに測定する方法で、DNA増幅の手順と並行して定量が行える為に、時間短縮が可能となるという技術のようだ。
簡単に言うと、患者から採取したサンプルからDNAを採取し、増幅しないと検査できないという検査手法なので、増幅に時間がかかるのは避けられない。
24時間体制で検査したとして、1つの機械で300サンプル程度を処理出来る程度だと見積もると、幾ら多数の機械が並んでいたとしても、この病気を想定して用意していた、なんてことは考えにくいのでたかが知れているだろう。
支那で感染者数の増加がMAX4,000人弱という事を考えると、実は検査能力の上限がその辺りになんだろうと思う。
検査手法の転換
どうやら国内メディアでもこれを報じたようで、日本経済新聞が詳しく検査手法の転換について触れていた。
湖北省は新型コロナウイルスが発生したとされ、中国本土全体の感染者のうち8割が集中している最も深刻な地域だ。これまでは鼻やのどの粘膜を成分分析して、新型コロナウイルスの有無を確定していた。この診断では前日から感染者数は1508人増えた。中国メディアによると、臨床診断では肺のコンピューター断層撮影装置(CT)による画像検査の結果などで新型肺炎の感染を認めるとみられる。
粘膜の成分分析は時間がかかる欠点があり、発熱やせきで診察を待つ人からは不満が出ていた。また粘膜の成分分析で陰性反応だったとしても、その後の病状の進行によって陽性となるケースがあることが医療関係者から指摘されていた。
「日本経済新聞」より
日本でもそうなっているのだが、リアルタイムPCRという手法では検査の結果が閾値の設定(正しい表現ではない)の仕方によっては擬陽性、擬陰性という状況が発生し得るので、閾値を高く設定しているようだ。つまり、擬陰性が出るより擬陽性が出る側、つまり安全側に設定する。
すると、後から陽性が出ちゃうと言うこともありうるわけだ。
で、CTで画像検査をやって武漢肺炎だということを認定する方針に切り替えたというのが、今回の話。しかしそれだって時間はかかるだろう。僕もCT検査を受けたことがあるのだが、まあ、一人あたり20分程度の検査で病気が確定できる事になるんだろうね。
ただ……、明らかに肺炎の様相を呈していなければ検査には引っかからないし、武漢肺炎だけが他の肺炎とは異なる特殊な状況を示すという事実が無ければ、通常の肺炎でも引っかかってしまう可能性はある。これが吉と出るか凶と出るか。
それにCTを24時間稼働させ続けるのは無理があると思うんだけど。
ああ、いつものグラフを貼っておこう。


いきなり数字は伸びたのは一目瞭然だね。
今後の展開
さて、そんな訳で支那は方針転換をしてきた。
少なくとも湖北省はその様な決定をしたのだけれど……、ただ、気になるのは死者の数も相当数増えた理由が欲分からない。「これって武漢肺炎による死者だよね」という風に見積もった犠牲者をピックアップしたからいきなり増えた、という風に見れば良いのか。
正直、明日の数字も見ないと判断は難しいかな。
え?「数字が信用出来ない」といっているのに、何故拘るか?って?そりゃ、報道の意思を汲み取る必要があるからなんだ。何を意図してこの報道がなされているか?は、判断材料としては貴重なんだと感じている。
そんなわけで、方針転換した日だけの報道だけで判断するのは難しいのだけれど、後からこの方針転換の意味が分かってくる可能性があるので、記事にしておくことにした。
予想だけなら、WHOの方針転換に加えてこのニュースとなると、日本が大きな判断する可能性も高まってくるという事は言えるのだけれど、どうかな。
まあ、流し読みしてください。
あ、日本国内の方には、こちらを。

まずは電話相談を!
コメント
木霊さん、おはようございます。
>その大幅に増えた理由として「臨床的に診断された症例を含めた」からだという事になっている。この意味がどう捉えて良いのかは後で言及していくとして、確定的に言えることは、カウントする基準を変えたということだ。
支那発表数字がアテにできないとは言え、今回の数字に過去の死者数が含まれているのか、13日だけの死者数そして感染者数なのかよく判りませんね。
>ただ、気になるのは死者の数も相当数増えた理由が欲分からない。「これって武漢肺炎による死者だよね」という風に見積もった犠牲者をピックアップしたからいきなり増えた、という風に見れば良いのか。
想像ですが12日以前は武漢肺炎とは認定されず(今更確認のしようがない)、火葬場送りとなった死者は相当いるんじゃないかな?
コンテナ病院のまるで死亡待ち収容施設かと思うような画像や、武漢周辺の二酸化硫黄レベルが上昇している記事なんか読んでいると(火葬が主因?)、木霊さんの予想はかなりの確率で当たっている様な気がしますね。
隔離期間も2週間から1ヵ月説が出てきたりしていますし、陰性と診断された人が陽性となったり、未知のウィルスだけに非常に厄介なのは間違いありません。
寒さが去る3月中旬まで感染拡大をしっかり防げればいいのですが、政治家がしっかりと仕事しなきゃなりません。
P.S.
ついに日本初の犠牲者が出たようです。
第一次帰国者が全員陰性で帰宅許可が出て喜んだ直後...、とはいえ致死率からいずれ犠牲者がでるのではと予想はしていましたが残念でなりません。
コメントが遅くなってしまったので、そのままお返事するのは難しい状況です。
ステージが変わってしまったので、今後は医療体制の強化というところを見ていく必要があるでしょう。
先ずは簡易検査キットの開発が必須でしょう。
支那の感染拡大はそろそろ収束する気がしますよ、表向きは。