海上自衛隊の中東派遣、閣議決定に反対する!

防衛政策

僕としては、海上自衛隊を中東に派遣することそれ自体は必要な事だと、そう理解している。

ただ、閣議決定による「調査・研究」による派遣では足りない。

多分、あちら側、つまりイラクとも政治的に話が付いていて、自衛隊の派遣そのものは批判の対象に鳴らないのだと思う。だが、話はそう言うことではないのだ。

海上自衛隊の中東派遣を閣議決定 護衛艦と哨戒機、260人規模

12/27(金) 9:23配信

政府は27日の閣議で、海上自衛隊の中東派遣を決定した。護衛艦1隻を送り、アフリカ・ソマリア沖での海賊対処活動に当たるP3C哨戒機を活用。規模は260人程度となる。防衛相の命令だけで実施できる防衛省設置法の「調査・研究」が根拠。

「共同通信」より

閣議決定でお手軽に決められる、そのこと自体を批判しているのは共同通信のアホだが、僕はそんなことを問題にしたいのでは無い。

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武器の使えない自衛隊

過去にも似たような事例はあった

さて、では何故反対なのかと言えば、こちら。

日本政府、中東への自衛隊独自派遣を閣議決定 「調査・研究目的」で武器使用せず

2019年12月27日(金)11時15分

政府は27日、自衛隊の中東派遣を閣議決定した。防衛省設置法に基づく「調査・研究」目的で海上自衛隊の護衛艦とP-3C哨戒機が活動する。活動範囲はオマーン湾、アラビア海北部、バベルマンデブ海峡東側のアデン湾の3海域でいずれも公海上。

防衛省設置法第4条に基づく調査・研究目的の派遣では武器使用が認められない。このため、日本関係の船舶が攻撃されるなど不測の事態が起きた場合は、自衛隊法第82条の規定に基づき、海上警備行動を発令することとなる。

「Newsweek」より

そう、基本的に「調査・研究」の目的での派遣では武器を使う事ができない。

一発食らってから、海上警備行動の発令を待っての反撃という事になる。

バカじゃ無いのか?バカだろう。

有志連合に参加できない自衛隊

ペルシャ湾では、アメリカ主催の有志連合による海上警備行動が行われている。

乗船取材 ペルシャ湾 有志連合のタンカー護衛活動

12/23(月) 10:36配信

政府が海上自衛隊の中東派遣を近く閣議決定する方針のなか、ペルシャ湾ではアメリカ軍主導の有志連合によるタンカーの護衛活動が続いています。

イランとアメリカやイギリスなど有志連合の参加国の間で緊張が続くペルシャ湾では、各国の艦船や沿岸警備隊の巡視艇が24時間態勢でタンカーの護衛活動を続けています。

「yahoo!ニュース」より

こうした警備行動は、ペルシャ湾付近で商船が拿捕されたり、タンカーが爆破されたり、無人機が撃墜されたりしている。

そもそもこの手の行動を起こさねばならないほど、中東情勢は悪化している。イラン国内でデモが発生しているというニュースはこのブログでも取り扱ったが、かなり荒れている。

あまりこの手のニュースは取り扱われないので、僕自身もしっかりと調べているわけでは無いのだが、騒ぎは収束せずに続いているようだ。

イラン、ネットアクセス制限 新たな抗議デモ警戒=現地メディア

2019年12月26日 / 11:57

イラン労働通信(ILNA)が25日に報じたところによると、イラン当局は複数の州で携帯端末からのインターネットアクセスを制限している。

イランでは、先月のデモの混乱で死亡した人を追悼する集会や新たなデモが26日に計画されており、ソーシャルメディアで参加を呼びかける動きが広がっている。

「ロイター」より

そもそも、僕も理解していなかったのだが、このデモは昨日今日始まった話では無い。

分析:イラン反政府デモはなぜ起きたのか? 

Jan 22 2018

イランでは何日にもわたり抗議行動が続き、政府の不正に反対の声が挙がり公正な政治が要求されていた。

「NewsSphere」より

こちらの記事でも説明されているが、政治に対する不正疑惑でデモが起きた2009年より大きな騒ぎになったのは去年始めの話。

イラン各地で異例の反政府デモ 物価上昇などに抗議

2017年12月30日

イランの第2都市マシュハドで28日に異例の反政府デモが起きたのを皮切りに、29日には複数の都市で物価上昇やハッサン・ロウハニ大統領に抗議するデモが相次いだ。

「BBC」より

この記事にもあるが、イラン大統領のロウハニ氏の失策でイランの経済は悪化している。

デモ鎮圧に軍隊投入

そうした流れが今回のデモも汲んでいるのだが、既に死者は1500人を越す勢いになってきているようだ。下手すると革命防衛隊が動くような事態にも……。

イラン革命防衛隊、デモ参加者への取り締まり警告

2019 年 11 月 19 日 08:40 JST

イランでガソリン価格の値上げに端を発する抗議デモが続く中、イスラム革命防衛隊は18日、デモ参加者に対して厳しい取り締まりを行う可能性を警告した。同国政府は、国内経済に打撃を与えている米制裁への対応に苦慮している。

「WSJ」より

ああ、既に出ていたよ。

前回も紹介したけれども、イランの失業率はかなりヤバイ感じになっている。流石に産油国であっても、仕事が無ければ鬱憤が溜まるというものである。

イラン失業率

失業率が12%で、若者の失業率が27%というから、若者の4人に1人は失業していると言う事になる。……ろくなことにならないな。

端にでデモが発生しているだけであれば、イラン国内の問題なのだけれども、どちらかというと革命防衛隊が野放しになってグリップが効いていないという疑いがあり、これが日本船籍のタンカーを爆破する騒ぎを起こしたとも言われている。

アノ事件、どうなっちゃったんだろうね。

海外派遣には特別措置法が必要

で、今回そうした地域に派遣されることが閣議決定された自衛隊だが、基本的に自衛隊は反撃という形でしか交戦を認められていない。

更に、基本的には国内での活動が前提として法律の整備がなされている為に、海外活動をする場合には特別措置法が制定されてからの派遣という事になることが多い。

まあ、この特措法の中身に関しても色々言いたい事はあるのだが、特措法すら無い状態で出かけるとどう言うことになるのか?というと……。実績としては過去何度も海外派遣された自衛隊ではあるが、直接の戦闘経験は幸いなことに皆無だ。だから、多分問題は無いとも言えるのだが、何があってからでは遅い。

そもそも自衛隊が派遣される理由は、戦闘のリスクがあると判断される場所で、民間人を派遣したのでは有事に対処出来ないから、という理由である。であれば、有事の時に戦闘が出来ない状態で派遣するというのは基本的にあり得ない。

調査研究のために派遣し、その報告をベースに特措法を作るという流れがあってもおかしくは無い。だが、そのために自衛官の命を危険に晒すのは違う。法律1つ出来るだけでも、リスクは大きく軽減出来る可能性があるのだから、さっさと法律を作れよ。過去の特措法をベースに作れば直ぐじゃ無いか。

だからこそ、閣議決定での自衛隊派遣に僕は反対する。

菅義偉官房長官は27日の会見で、中東地域の平和と安定は日本を含む国際社会の平和と繁栄にとって極めて重要だと指摘。現在、日本関係船舶の防護を直ちに要する状況ではないものの、中東地域で緊張が高まっている状況を踏まえ、情報収集体制を強化することが必要だと述べた。

「Newsweek」より

緊張が高まっているのが分かっているんだったら、アブナイ状態で自衛隊を海外に送ってはならない。

不透明さを増すイラン情勢

イランは歓迎する

さて、これは22日の記事だが。

イラン大統領「日本が有志連合に合流しないことを歓迎」

12月22日8時12分

安倍総理との首脳会談を終え、イランに帰国したロウハニ大統領は、「日本がアメリカ主導の有志連合に合流しないと発表したことを歓迎する」と述べ、日本との友好関係を強調しました。

2日間の日程で日本を訪れたロウハニ大統領は、安倍総理と首脳会談を行い、中東地域の緊張緩和に向けた課題や核合意の維持について話し合いました。

「TBS NEWS」より

イラン大統領のロウハニ氏は、日本の決定について「歓迎」の意を示した。

そもそも日本がアメリカと組まないことについて、何故、イランは喜ぶのだろうか?それは、全世界がイランの方針に反対しているわけでは無い、日本もそれなりの大国であり世界に影響力がある。そんな日本がイラン政府に対して有効的であると言うことは、反政府デモを行っている人に対しても訴求力がある。

そういう風に考えて見ると、イランが歓迎する事に理由も付けられる。ニュースでも「国際的な孤立を防ぐ狙い」と言っているけれど、イランにとっては国内向けのアピールなんだろうと思うよ。

ちょうど、訪日中のロウハニ氏に手土産を持たせた形になるんだろうね。

日本の船舶に対する安全性確保?

そもそも先日こんな事件が起きたばかりだ。

オマーン湾での事件
イラン学生通信(ISNA)が13日、AFP通信に提供した、オマーン湾で黒煙を上げるタンカーの画像。

安倍氏が中東訪問中に起きたこの事件、ブログでも取り上げた。

これを切っ掛けに、日本国内でもどのような事ができるのかが検討されたようで、一時期は有志連合に参加するという話もあったのである。だが、アメリカ主導の有志連合に参加すれば、アメリカとイランが直接的に対決するような状態になった時点で、当事者として対応する事が求められる可能性が否定できない。

そういう意味でもロウハニ氏との会談で、安倍氏がどの程度の「政治手腕」を発揮できたかは、自衛官の安全のためにも非常に重要な点ではある。

……なのだが、特措法の早期成立を急ぐべきだろう。

国会閉会中に派遣の決定

とはいえ、今後、「このままではダメだ」と言うことで、特措法を早期に作り、派遣に間に合わせるという可能性もある。

とにかく先に派遣ありきで決定してやらなければ、話が前に進まないなんてことは、国会では往々にしてある。国内では未だにサクラで大騒ぎする構えでいるし、秋元氏逮捕でIR関連で再び揉めるなんて事も視野に入ってきた。

つまり、年明けで国会招集後直ぐに特措法を提出しても、それを人質にサクラやIRで国会手痛いが続く可能性が高いので、政治的判断で特措法を後回しにして、調査・研究のために派遣という決定をしたとも理解出来る。

だけど……、大丈夫なのか?それで。実際に特措法が間に合わずに犠牲者が出てしまったら、責任がとれるのだろうか。だからこそ反対の声を上げ、直ぐにでも特措法が成立するように声を上げるべきだと、僕はそう思う。

追記

そうそう、今回はイラクだけを引き合いに出したけれども、中東の話は一国を出して説明できるような構造ではないので、「ちょっと違うよ」ということになりかねないんだけれど……、ご指摘お待ちしております。ちょっと纏めきれなかったんだよね。一つの記事では。

コメント

  1. 木霊さん、おはようございます。

    危険度は他の職業とは比較しようもないくらい高いのですが、現場の自衛隊員そしてそのご家族も国民です。
    その人達を無用なリスクに晒しかねない憂慮は、全国民が「自分&自分の家族だったら?」と思いをはせるべき...、木霊さんのリスクご指摘に全文同意です。

    >だけど……、大丈夫なのか?それで。実際に特措法が間に合わずに犠牲者が出てしまったら、責任がとれるのだろうか。だからこそ反対の声を上げ、直ぐにでも特措法が成立するように声を上げるべきだと、僕はそう思う。

    安倍総理は憲法改正でも肝心なところで逃げている印象なんですが、これも同じ脈略ではないかなと非常に危惧しています。
    やるなら正々堂々と「日本の国益を守る・中東情勢緩和に貢献する」でいいじゃないですか。
    本気で特措法を通過させるべき事案でしょう。(国会で防戦優先なんでしょうが、それが安倍総理の一番の欠点ですね)

    基本は海上警備行動とし→万一攻撃を受けたら自衛権発動→場合によっては防衛出動まで想定するくらい真剣になって欲しいのですが、残念です!!

    P.S.
    木霊さん・参加者の皆さんへ。
    これが今年最後の投稿となります。
    令和の時代が安寧である事を心から祈念しつつ、平穏な年の瀬と年始を迎れるようと願うと共に、来年の皆様のご多幸を!!

    良いお年を!!

    • 年が明けてからのお返事になってしまいました。

      安倍氏がどのような判断をするのか?と言う話も、何というかIR絡みの騒ぎできな臭くなってきたように感じています。
      菅氏がかなりがっちりこれに関与していたようで、流石に金を貰っていたと言う訳では無いとは思いますが、被弾する可能性はあるでしょう。
      後継者と目されていただけに、そうでは無いと言う事になると、安倍氏も戦略の見直し必至となります。政局絡みで政策が左右されるのは嘆かわしい事ですね。

      今年もよろしくお願いいたします。