このネタは色々なところで扱われる話ではあると思うが……。
フィリピンの電力網、中国が「いつでも遮断可能」 内部報告書が警告
2019.11.26 Tue posted at 17:58 JST
フィリピンの電力供給網は中国政府の支配下にあり、紛争の際には遮断される可能性があるという議員向けの内部報告書の存在が明らかになった。
中国の送電会社の国家電網は、フィリピンの送電企業NGCPの株式の40%を保有している。民間の合弁企業のNGCPは2009年からフィリピンで送電事業を行っている。中国がフィリピンの電力システムに介入する可能性については10年前の合意時から懸念が出ていた。
「CNN」より
このネタ自身はフィリピンの議員向け内部文書に記載されたものであるとされる。
残念な事に荒唐無稽な話では無いという点が問題である。
基幹インフラを外国に握られる
フィリピンで電力事業を行う支那企業
このニュースで一番驚くべきところはここだ。
議員からは今月、取り決めについて再検討を求める声があがった。内部報告書によれば、システムの主要素にアクセスできるのは中国人技術者のみで、理論上は中国政府の指示によって遠隔で動作を停止させることも可能だという。
中国によってこうした攻撃が電力網に行われたという前歴はない。また、喫緊にこうしたことが行われるという証拠が提示されているわけでもなく、あくまで将来的な理論上の可能性としている。
情報筋によれば、内部報告書は電力網が現在、中国政府の「完全な支配下」にあり、中国政府はフィリピンの電力網に混乱を引き起こす能力を保持していると警告している。
「CNN」より
なるほど、「杞憂」で終わる可能性もあるが、しかし、フィリピン政府が支那に命運を握られている点は事実である。
支那共産党の意思で、フィリピンの電力網を麻痺させることができる。フィリピンをブラックアウトさせることができるのが支那共産党だ、という事実を考えると、これ程恐ろしい事はない。
支那は「重要なパートナー」だと言うが
そして、これに絡んで支那は何を言っているのかというと、……脅しか?
中国外務省は、国家電網が、NGCPのプロジェクトについて現地のパートナーとして関与していると述べた。中国外務省はまた、「フィリピンは中国にとって隣人であり重要なパートナーだ」と指摘。相互の利益の拡大とウィンウィンな関係の拡大に向けて、法と規則にのっとって、フィリピンで事業を行う中国企業を支援すると述べた。
「CNN」より
まさか、支那外務省がシラフでこんな事を言ったとしたら、完全にフィリピンを脅しているとしか思えない。そもそも「法と規則に則って」って、支那が守る法はその上に位置する支那共産党の意思で如何様にも曲げられる。
支那の法は支那共産党がシロと言えばシロになる程度のものなのだから。
そして、支那の法に則ってフィリピンの事業を行う支那企業を支援するって……。
上院議員の1人は、「スイッチひとつで」電力が停止する可能性に懸念を示した。復旧には24時間から48時間かかる見通しだという。別の上院議員も中国がNGCPの株を保有していることについて、「中国の最近の行動や覇権主義的な願望を考えると、国家安全保障に対する深刻な懸念だ」と述べた。
「CNN」より
フィリピンは、国家が金を使ってでもこの状態を解消すべきだと、そう思うけれどね。
ロシアは欧州のガスを握る
パイプラインは簡単に遮断可能
さて、似たような話で支配に力を入れているのがロシアだ。
欧州覆う、ロシアのガス網 独ルート「ノルド2」完成へ
2019年11月11日06時30分
ロシアが進める欧州向けの天然ガスのパイプライン「ノルドストリーム2」が、来年早々完成する見通しとなった。しかし、欧州内にはエネルギーのロシア依存が進むことへの懸念も強く、そこにガス輸出拡大を狙う米国や、ガス輸送ルートの変更で経済的打撃を受けるウクライナとの駆け引きもあって、議論が過熱している。
「朝日新聞」より
このノルド2はガスパイプラインなのだが、ロシアが敷いたパイプラインは幾つもある。

ロシア主導で安価な天然ガスがパイプラインで供給されるのは、エネルギーインフラがロシア主導で創り上げられることを意味する。そして、これ、止められると大変なことになってしまう。
まさか止めないだろう?と思う人はいるかも知れない、が、実際にロシア・ウクライナガス戦争(2004年~2014年)では、実際にガス供給の停止が行われた(2009年)。
まあ、流石にこの話はウクライナがやらかしたことに起因しているので、他国に容易に適用される話だとは言い難いが……、ロシアはそれを「停止できる」というアドバンテージを得たことになる。
当然ながら、ロシアを相手に戦争すれば、即座にパイプラインが閉じられるなんて事態を招く。故に、どうしても強く出られない、そういう事になる。
アジアスーパーグリッド構想という愚
ソフトバンクの孫氏が推進していたアジアスーパーグリッド構想だが、こうした話と全く同じことである。
「アジアスーパーグリッド構想」が始動 モンゴルから日本へ送電
2017/1/4 05:00
東京から3000キロメートル離れた、モンゴルの砂漠。この地から、風力発電で作った電力を日本へ送るプロジェクトが動きだしている。ソフトバンクグループの孫正義社長が提唱する「アジアスーパーグリッド構想」だ。アジア各国のグリッド(送電網)を結び、再生可能エネルギーを巨大な送電網で共有するという壮大な事業に、海外の電力事業者が賛同した。“夢物語”と思えたが、おぼろげながら送電網がつながったアジアの未来図が見え始めた。
「日刊工業新聞」より
前のブログでこの構想に関してもケチョンケチョンに貶したのだが、これを推進しようとしている人々が未だに存在することに恐怖を覚える。
技術的に可能なことと、政治的に不可能なことは共存可能であるので、技術的に実現出来ても政治的にはやってはならない類の判断である。
日本国憲法の前文にもこんな趣旨のことが書かれているんだけどさ。
コメント
エネルギーを握られる怖さですね。
その意味では以前取りあがれていた水道問題に当てはめると他人ごとではない話ですね。
不幸中の幸いは上下分離式というか、運用のみの業務委託方式なのでこうしたリスクがいくらか減じてることですが。
今後、設備更新でそうした部分を握られてしまわないことを祈るばかり。
日本の電力に関して、いらんことしいのソフトバンクは、今季、投資で大コケしましたから、しばらく大人しくなりそうなのが幸いかな?
これは結構深刻な話だと思っています。
ただでさえ日本はエネルギーをほぼ100%外国に頼っていますから。
行政機関が上下水道を握っていることは、あまり良い事では無いのですけれど、民間に完全に任せるとまた別の問題が出ますから、何が良いか、ということなんですよね。
どっかの国にも、金融とか郵政事業とかを外国に売っぱらおうとした首相がいましたっけ。当人はどんどんキ印キッドまっしぐらなのに、未だにシンパが多いのが、ああ、この国の有権者の程度はその程度かと悲しくなりますが。
国の根幹は、よそに渡しては絶対にダメですよね。通信インフラとか水源地とかも。
ライフラインを民間に、という流れにはなっています。
世界的にも、国内においてもそうなんですよね。
ただ、それを外資に任せ、自国でコントロールできなくなってしまうようでは、外国にやられてしまうリスクが非常に高いのですよね。握られれば国家の体をなすかどうか……。