今朝、NHKニュースをラジオで聞いていてビックリした。
この香港での学生の追悼式に関するニュースが報じられていたのだが、死因に一切触れなかったのである。何故、この学生は死んだのか?それを報じないのが「皆さまのNHK」とは。
香港で数千人が追悼集会 デモでの学生死亡に怒り
2019年11月9日 6:24
香港で起きた警官とデモ隊との衝突現場で学生が転落死したことを受け、同市で8日夜、追悼集会が行われ、数千人が参加した。学生の死を受け、民主化運動側からは怒りの声が上がり、市内では新たな騒乱が起きた。
「AFP」より
学生達が追悼したというニュースから、多分、デモに関連した「死」なんだろうな、という風には想像したが。え?ちゃんと報じていた?本当に?
僕は気がつかなかったな。
抗議デモは過激化し
追悼集会も監視される
さて、NHKのニュースから引用していこう。
香港 大学生死亡で追悼集会 市民の反発激化 各地で衝突
2019年11月11日 5時51分
香港では、抗議活動に参加していたと見られる男子大学生が死亡したことを受けて10日夜も追悼集会が開かれました。一方、市民の警察に対する反発は激しさを増しており、各地で衝突も相次ぎました。
香港では、抗議活動に参加していたと見られる男子大学生が今月8日に死亡したことを受けて10日夜も追悼集会が開かれました。
「NHKニュース」より
これはWEBニュースなので、ラジオの原稿とは違うとは思うんだけど、こちらは「抗議活動に参加していたと見られる男子大学生」が「死亡」と報じている。
この表現でも、抗議活動中に死亡したかどうかはハッキリしない。
香港 大学生死亡で数万人が追悼集会
2019年11月9日 23時25分
香港では、抗議活動に参加していたとみられる大学生が8日、死亡したことを受けて、9日夜、香港の中心部で数万人が参加して追悼集会が開かれました。
香港では、今月4日に行われた抗議活動に参加していたとみられる大学生、周梓楽さん(22)が、警察の強制排除の最中に建物から転落したあと、治療を受けていた病院で8日、死亡しました。
「NHKニュース」より
こちらのニュースでは、その死因について「警察の強制排除の最中に建物から転落した」と言及している。
「初」の死者なのか?
ところで、この様な事件性のある死亡事故、或いは故意に行われた警官による殺人(いずれかはハッキリしない)は、ハッキリしないのだが、状況的には警官側に大きな過失があるものと推測できる。
香港デモで初の死者-警察との衝突現場付近で負傷した学生
2019年11月8日 17:03 JST
香港の警察とデモ隊が4日に衝突した際、現場近くの駐車場から転落した学生が8日死亡した。週末に計画されている抗議活動が激化する可能性がある。
この学生が転落して脳に損傷を負う前に、付近では警察が催涙ガスを用いてデモ隊を強制排除していた。医院管理局の報道官は8日、学生が香港時間同日午前8時9分(日本時間同9時9分)に死亡したことを確認した。
「Bloomberg」より
催涙ガス弾を撃ち込んだために、周囲が見えなくなって誤って足を踏み外した……、なんて事ももしかしたらあるかも知れない。
伝えられている情報によると、催涙弾攻撃を避けようとして駐車場の3階から転落して頭を強く打ち、病院に搬送されたが帰らぬ人になったという事らしい。
しかし、死因が直接的で無ければ、この他にもデモ参加者の死は、少なく無かったようで、今回のニュースは警官の行為が直接的に若者の死に結びついたことで、怒りに火を付けてしまったということらしい。
警官にピストルで撃たれた学生は、一命を取り留めているので、今回のニュースはデモ側にとってもかなり大きな意味を持つ事になった。
沸き起こる暴動
そして、この事件に抗議した破壊活動が行われたと言うニュースが。
香港 抗議活動の大学生死亡 市民が反発 若者らが駅や店舗破壊
2019年11月10日 19時10分
香港では8日、抗議活動に参加していたと見られる男子大学生が死亡し、警察などに対する市民の反発が激しさを増す中、10日も若者らが地下鉄の駅や店舗を壊すなどの過激な行為に及んでいます。
香港では今月4日の抗議活動に参加していたと見られる男子大学生が8日に死亡したことを受けて、10日午後から6つの商業施設などでの抗議活動がSNS上で呼びかけられました。
「NHKニュース」より
こうした破壊を伴う抗議活動が行われた結果、再びとんでもない事件が発生する。
香港 警察がデモ参加者に発砲 21歳男性が重体 各地で混乱
2019年11月11日 12時40分
抗議活動が続く香港で11日朝、抗議活動に参加していた若者に警察官が発砲し、男性1人がけがをして病院に搬送され、現在治療が続いていますが重体だということです。香港では11日、交通を妨害して警察や政府に抗議しようという呼びかけが行われていて各地で混乱が続いています。
香港の警察によりますと、日本時間の11日午前8時半ごろ、香港島東側の住宅地で抗議活動に参加していた若者に警察官が発砲し、男性1人がけがをして病院に搬送されました。
「NHKニュース」より
今のところ「ケガ」と報じられているが、警官の発砲によって死亡するような事件が起きてしまうと、更にこの事態は悪化する可能性が高い。
何しろ、今回は確実に殺しに来ているからだ。
香港政府によりますと、けがをしたのは21歳の男性で現在治療が続いていますが重体だということです。
現場の映像では、警察官が抗議活動に参加していた男性を取り押さえようとした際に、正面から近づいてきた黒い服と黒いマスク姿の若者に1発発砲し、その直後、背後から近づいてきた黒い服と黒いマスク姿の別の若者に2発発砲する様子が確認できます。
「NHKニュース」より
NHKではかなり表現に気を遣っているのだが、動画を見たらどう考えても「取り押さえようと」という表現では伝えられない。
【20191111|人殺し #香港警察 】7時頃、デモ隊が西湾河の道路に雑物を置いた。警察がデモ参加者を捕まえ、仲間を助けようとしたデモ隊に実弾3発を発射し、1人は心臓付近、1人は腕が撃たれた。当時デモ隊は一切武器を持たず、攻撃しようともしなかったが、警察はデモ隊である香港市民を殺そうとしてた pic.twitter.com/2ClURWduBK— 香港反政府デモ情報館 (@HKnewsJP) November 11, 2019
警官は白い服のデモ隊員に対して、ピストル片手に羽交い締めにした状況で、付近を通りかかる黒服のデモ隊員を至近距離から腹部を射撃。
続いて背後から近づく黒服に対して相次いで鉛玉を撃ち込む。外しようが無い距離で発砲するという、恐ろしい動画なのだけれど、これが正当な警官の公務であるとはとても思えない。
支那は手を拱く
香港の行政長官を不自然に持ち上げる習近平氏
香港の行政長官が無能であることは世界に広まってしまったが、先日、習近平氏は「高度の信頼を置く」と、その様に表現した。
習主席と香港行政長官、予告なしに会談 上海
2019.11.05 Tue posted at 13:40 JST
香港(CNN) 中国の習近平(シーチンピン)国家主席と香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が4日、予告なしに会談した。
習氏と林鄭氏は今年の「中国国際輸入博覧会」に出席するため、ともに上海を訪れていた。両氏とも事前に会談の予定は発表していなかった。
中国の国営新華社通信によると、習氏はこの日の会談で、中国政府は林鄭氏に厚い信頼を置いていると明言し、同氏の指導力や努力を称賛した。
「CNN」より
なかなか凄い話だが、電撃的に会談をしておいて、「高度な信頼」というのは、鼻で嗤ってしまう話。
安全な香港の地で凄い事を言い始めた習近平氏だが、こんな発言をするくらいしか支那共産党にはカードが無いとも言える。
「この5カ月間、逃亡犯条例修正案から発端した香港の波風は持続的な暴力活動に変化して、香港社会の全体利益と市民の利益を損なった。中央政府は林鄭行政長官・行政府及び香港警察の仕事ぶりを十分に評価している。暴力と動乱を制止し、秩序を回復させることは依然として香港の当面の最重要任務であり、香港の行政・立法・司法機関の共同責任である」
「Newsweek」より
よくもまあ、「暴力と動乱を抑止し、秩序を回復させる」ということを言ったものだが、暴力と動乱を力で抑えようというのが、支那共産党の願いなのだが、ここに人民解放軍を投入するのは筋が違うわけで。一国二制度を口にしている限りは、あくまでも香港の行政長官が事を納めねばならない。
そういう釘を刺したわけだ。
プレッシャーに弱い香港行政長官
そして、そのプレッシャーを受けて、さらに「高圧的」にデモを押さえ込もうとして失敗したというのが、今回の話であろう。

プレッシャーに弱い林鄭月娥氏はやらかしちゃったんだな。
中国に忠実な人物だけが香港行政長官に就任可能-中国政府が見解
2019年11月11日 7:55 JST
抗議活動が続く香港で緊張が高まる中、中国政府は同国に忠実な人物だけが香港行政長官に就任可能との方針を示し、香港民主派の希望を打ち砕いた。
「Bloomberg」より
継続的に支那共産党からはプレッシャーがあり、「辞めたい」と漏らしながら辞めさせて貰えないのが、今の行政長官の立場なのだが、……精神病みそうだな。
今後の展望
さて、これからの香港はどうなっていってしまうのか?というと、もはやデモ側がすり潰されるしかないだろう。
その点に関してはいつも指摘しているが、状況の変化は無い。西側諸国が矢面に立ってこの問題を解決するとはとても思えないしね。
米下院、香港人権法案を可決 中国への非難鮮明
2019.10.16 Wed posted at 13:05 JST
米下院は15日、民主化を求める香港での大規模デモを擁護する「香港人権・民主主義法案」を可決した。警察がデモの鎮圧強化に動くなか、中国政府に対する非難を明確に打ち出した形だ。
香港では今週初めにデモ隊が街路へ繰り出し、米議会に向けて上記の法案を通過させるよう要求していた。米議会で党派を超えた支持を集める同法案は、発声投票で可決した。
「CNN」より
アメリカは支那に圧力をかけつつあるが、コレが功を奏すには時間がかかる話になる。支那国内で内乱が起こってしまえば、デモ側にワンチャンあるのだが、そこに至るまでには時間が必要だろう。
そして、持久戦に持ち込んで、デモ側が持ちこたえられるとも思えない。
この状況で口を出す権利があるのはイギリスだけなのだけれど、イギリスは自国のことで手一杯である。
西側のメディアが香港のデモ側に力を貸してくれれば、状況も違っては来るだろうが、今は寧ろNHKを筆頭に支那を擁護する論調である。デモ隊の暴力を公権力が押さえ込んでいる、と。
何ともやりきれないな。
追記
産経新聞が似たような内容の記事を書いていたようだ。
香港当局、圧力一気に強化 習の指示受け成果急ぐ
11/11(月) 19:55配信
【香港=藤本欣也】香港当局が反政府活動を続ける民主派や若者らへの圧力を一気に強めてきた。政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官が今月4日、中国の習近平国家主席から、「暴力の制止と秩序回復が香港の最重要任務だ」として、一層厳しい対応を命じられたためだ。林鄭氏は12月中に習氏と再び会談する可能性が高く、それまでに一定の成果を挙げる必要に迫られている。
「産経新聞」より
議論の流れは似ているのだが、しかし、改めてこうやって説明されると、不可解に思う部分もある。
林鄭月娥氏は習近平氏の傀儡の立場であるとはいえ、しかし、ここでそんなやる気出しちゃう理由がよくわからない。
林鄭氏にはあまり時間が残されていない。林鄭氏は毎年12月に北京に赴いて、習氏ら最高指導部に対し施政報告をしている。また、習氏は今年12月20日のマカオ返還20周年記念式典に出席するためマカオを訪問するとみられており、その際に林鄭氏と再会談する可能性も取り沙汰されている。
「産経新聞」より
確かに報告義務があるとすれば、長官にとってはなかなか厄介な感じの話にはなるだろう。だが、どのような成果を持って行ったにせよ、共産党幹部は彼女を辞めさせることができないのである。
だとすれば開き直ってしまう道もありそうなものだ。
自分の保身の為ならば、人民の命は安い、と、そういう事なんだろうか?
コメント
警官隊が、デモ隊に向けリーンバック弾を撃ち込み、デモ参加人員の顔面に命中し重症との話もチラホラ聞きますね。
グリーンバックはかなり悲惨なダメージを与えるようですね。
何処かで血まみれになった写真を見た気がします。
木霊さん、おはようございます。
>今のところ「ケガ」と報じられているが、警官の発砲によって死亡するような事件が起きてしまうと、更にこの事態は悪化する可能性が高い。
>何しろ、今回は確実に殺しに来ているからだ。
事態は悪化の一途をたどり危険な状況に近づいていますね、...残念です。
>安全な香港の地で凄い事を言い始めた習近平氏だが、こんな発言をするくらいしか支那共産党にはカードが無いとも言える。
さらにエスカレートし流血沙汰が続き、警察側にも死亡者が出たりすると支那が軍を派遣する口実を与えかねないのが心配です。
>アメリカは支那に圧力をかけつつあるが、コレが功を奏すには時間がかかる話になる。支那国内で内乱が起こってしまえば、デモ側にワンチャンあるのだが、そこに至るまでには時間が必要だろう。
>そして、持久戦に持ち込んで、デモ側が持ちこたえられるとも思えない。
支那の内乱待ちですかァ~、僕も望みを捨ててはいませんが、なんか僅かな希望の光すら見えてこないのが悔しい。
>さて、これからの香港はどうなっていってしまうのか?というと、もはやデモ側がすり潰されるしかないだろう。
>その点に関してはいつも指摘しているが、状況の変化は無い。西側諸国が矢面に立ってこの問題を解決するとはとても思えないしね。
>西側のメディアが香港のデモ側に力を貸してくれれば、状況も違っては来るだろうが、今は寧ろNHKを筆頭に支那を擁護する論調である。デモ隊の暴力を公権力が押さえ込んでいる、と。
>何ともやりきれないな。
NHKや左派メディアそして口をつぐんでいる日本の政治家連中は、「自由=自由主義」を名乗り語る資格はないと、僕は厳しい目で見ています。
そして、支那との関係改善に前のめりな安倍政権の姿勢が問われると思いますよ。
返り血覚悟で「キンペーの国賓来日を白紙に戻し、単なる首脳訪問に格下げ」するとか、「一帯一路」が発展途上国に及ぼすリスクを俎上に上げ、「日本の協力」が欲しいなら厳しい制約事項を突きつけるとか、島嶼に於ける領海侵犯行為に具体的な自衛隊が対処する作戦をぶち上げ実際に実行に移すとか。
面子に拘るキンペーの弱みを突き揺さぶる戦略が必要じゃないでしょうか。
香港の自由を守る事は、すなわち日本の安保に直結し国民&その財産、そして領土を守る強い意志を示すべき意味と同じであると考えます。
日本が行動を起こす事で台湾を筆頭に東アジア諸国に勇気を与え、各国が支那の邪な野望とそのリスクに対し、毅然と決起する機会となるよう導く気概が欲しいもんです。
最近思うのですが、割と綺麗事を言って、平和が守られると勘違いしている人が多いのでは無いかと。
戦後一貫してそういう教育を受けてきていますから仕方が無いのかも知れませんが。
しかし、支那共産党は流血など厭わぬでしょうし、人権の概念も希薄ですから、口先だけでどうにかなるという問題ではないのですよけ、きっと。
実際、アメリカは経済で戦争を仕掛けている状態ですから、少なからず血を伴う惨事になりそうな気がしていますよ。香港はそうした情勢が表に出てきただけの話なんじゃないのかと。そして、つがいは台湾、沖縄なのでしょう。
>最近思うのですが、割と綺麗事を言って、平和が守られると勘違いしている人が多いのでは無いかと。
>しかし、支那共産党は流血など厭わぬでしょうし、人権の概念も希薄ですから、口先だけでどうにかなるという問題ではないのですよけ、きっと。
「戦争とはすなわち外交戦の敗北」なわけで、常にその最悪の危機に備える事は独立国家としては当然の責務だと考えています。
大切なのは「外交」で最後はギリギリ和平を維持できる国を相手しているのか、もしくは「隙あらば攻め込むつもり満々の国」を、冷徹に区別する断能力を維持し対処方を準備できるかじゃないかな?
最悪なのが「そんなつもりじゃなかった、相手の行動は想定外だ。」って事態に陥って、それからアタフタしても遅いって事。
つまりトップの「備え&覚悟」だと思います。
今は世界で最も危険で大国化した支那が相手なんですから、生半可な戦略では亡国に繋がると危機意識を持ってしかるべき!!
安倍首相&自民党には右手で握手しながら、いつでも左手でぶん殴る警戒心を忘れないで欲しいもんです。
子供の時から平和の対義語は争乱と書いてバツをもらってきているけど、やっぱりそうじゃん。
戦争の対義語は同盟とか停戦とかだと思っているし。平和ってそんなにハードル低く無い。
今の香港は戦争どことも戦争していないけど、あれが平和だと思うのはNHKとかのマスコミだけだろ。
戦争していないなら平和なんだから現地からもっとレポートすればいいじゃん。
今の香港をそのまま報道して、それでも中国の側に立ちたいならそうすればいい。
非武装の民間人には無双する中国当局はさすがだ、頭がいい。沖縄も基地に反対して武装解除まで狙っているけど、正にこれをしたいんですよね。中国は自国の兵士の命を大事にする素晴らしい国ですねって報道すればいいと思うんだ。
俺は怖いと思うけど、それは受け取る側の問題なんだからさ。