オーストラリア、新型潜水艦は原子力推進?

オセアニアニュース

最近、記事が長くなりがちなので、本日は短めで行きたいと思う。

【オーストラリア】豪の新型潜水艦、原子力潜に変更か

10/10(木) 11:30配信

 オーストラリアの次期潜水艦「アタック級」12隻の建造を請け負うフランス政府系造船会社ネイバル・グループはこのほど、オーストラリア政府に対して、12隻の一部について、原子力潜水艦を採用できると伝えていたことが分かった。動力を原子力へ変更するにはデザインの一新が必要でコスト増につながるほか、日本を含めた入札段階のディーゼルエンジン想定を根底から覆すことになり、問題化しそうだ。

「yahooニュース」より

取り上げたニュースはこれ。

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オーストラリアは原子力アレルギー

原子力発電所ゼロ

オーストラリアは、どういう訳か原子力アレルギーがあるようで、未だに原子力発電所を1機も保有していない(注:実は1基だけ、シドニーに研究目的で建造されたものが存在する)。

しかし、ウランの埋蔵量は世界一というのだから、なかなか矛盾した話だな。

何故そんな話になったかというとこちら。

New law bans nuclear power in Qld

May 2, 2007 — 9.34pm

Nuclear power stations, nuclear facilities and radioactive waste dumps are now banned in Queensland.

Queensland Mines and Energy Minister Geoff Wilson said the Nuclear Facilities Prohibition Act 2006 came into effect on Monday.

“The Act bans nuclear facilities in Queensland in order to protect the health, safety and wellbeing of each and every one of us,” Mr Wilson said.

「The AGE」より

住民の反対によって、クイーンズランド州に「原子力発電及び核施設、放射性廃棄物を阻止する州法」が出来上がり、原発反対の機運が国内で高まって、政府方針として原発を作ろうという方向に舵を切っていたにもかかわらず、原発を作る事は出来なかった。

[オーストラリア] 豪州の鉱業評議会、政府に原子力の禁止条項撤廃を改めて勧告

2018年1月30日

オーストラリア(豪州)で鉱物資源の探鉱・採掘、製錬関係企業を代表する鉱業評議会(MCA)は1月10日、連邦政府による2018~2019年の予算編成に先立ち、同国の原子力発電開発に対する禁止条項の撤廃を改めて勧告する文書を提出した。

豪州はウラン資源の埋蔵量が世界最大であるにもかかわらず、連邦法の禁止条項により商業用原子力発電所が存在しない。

MCAは2017年9月、「原子力発電の禁止条項撤廃」と題する分析報告書のなかで、「約20年前の時代錯誤な法律により原子力発電開発が禁じられ、新たな原子力技術の開発に対する国際的な協力や投資で大きな損害を被っている」と連邦政府に提言していた。

「電気事業連合会」より

オーストラリアの選択が正しかったかどうかは分からないが、根強い原発反対派がオーストラリアに生息していることは事実なのだ。

流石に鉱業評議会などは、ウランを売る側なので「原発作ってよ」とおねだりしているのだが、なかなか前には進まないようだ。

2032年には電力は全て再エネに

それどころか、こんな妄言まで出る始末である。

豪州、2032年に電力を全て再エネに コストは「ゼロ」

2019/2/14 16:15

オーストラリア国立大学(ANU)は、同国における再生可能エネルギー発電設備の1人当たり年間導入量が世界最多という調査結果と、パリ協定での合意による温室効果ガス排出量の抑制目標を5年前倒しで2025年に達成可能とする見通しなどを19年2月7日に発表した。

「日本経済新聞」より

何を言っているのやら。

オーストラリアでは、再生可能エネルギー発電設備の一人当たり年間導入量が世界最多というグラフがこれなのだが、こうしたグラフを見て喜んじゃうのがパヨクである。

もちろん、再エネ発電で電力が確保できればそれに越した事は無いのだが、日本とオーストラリアでは事情が随分と異なる。

https://www.asiabiomass.jp/topics/1510_04.html

オーストラリアで推進されているのは、太陽熱発電施設なのである。

こんな感じのプラントらしいが、太陽光発電と決定的に違うのは、太陽光のエネルギーを蓄積できる点だ。

SolarReserve – The Future is Here

詳しくはこちらの動画を見て頂きたい。

設備的な問題は存在するが、割と有効な発電手法だと言われており、特にオーストラリアは条件が良いので、効率良く発電が出来る模様。

日本ではこのタイプの発電施設は作れない(気象条件的に望ましくない)ので、真似は出来ない。

何はともあれ、色々な条件が重なって、オーストラリアは原発を作らずに済んでいる事実があり、放射性廃棄物の問題を抱えていない国でもある。

ただ……、オーストラリアは条件的に放射性廃棄物の保管についても有利だと言われており、食わず嫌いは勿体ないと、個人的には思う。もちろん、国民の選択としてはアリだ。

原子力潜水艦の方針は、国民的にNG

そんなお国柄なので、オーストラリアの次期潜水艦も「通常動力」つまりディーゼルエンジンで動く潜水艦が最初のオーダーだった。

そこで手を挙げたのが、世界で唯一といっていい通常動力潜水艦の技術実績を誇っている日本だったのだが、後から手を挙げたフランスが受注するに至った。

が、そもそもフランスがこのオーストラリアの次期潜水艦を受注するにあたり、「原子力潜水艦」のオプションがあったことは当初から言われたことではある。

「豪潜水艦事業に異議あり」 R・パトリック上院議員インタビュー

2018/10/09(火)

新型潜水艦の設計・建造事業を勝ち取ったフランス政府系ネイバル・グループ(Naval)と、オーストラリア政府の建造前契約交渉が難航している。その中で、入札の透明性や潜水艦設計に依然として強く異議を唱えているのが、センター・アライアンス党のレックス・パトリック上院議員だ。潜水艦建造が行われる南オーストラリア(SA)州選出の同議員は、ネイバルへの委託をやめ、海軍向けに改良した潜水艦を購入するよう求めている。同議員はこのほど、キャンベラでNNA豪州との単独インタビューに応じた。

「NNA ASIAN」より

しかし、次期潜水艦が原子力推進になると言う事が明らかになってきたのは、入札が終わった後の話であり、オーストラリアで9割建造する、というような条件すら付いていたにもかかわらず、実際に建造する場合には、その殆どはフランスで作られる事になると予想されている。

何しろ、オーストラリアには原子力関連の技術者がほぼいないからだ。

日本がアホだった、ということかも知れないが、オーストラリア国民もまたバカを見る結果になりそうだね。強硬な反対運動が巻き起こる可能性もあるけれど、どうなることやら。

コメント

  1. 最近フランスはかなりえげつないことをやってますね。インドのMMRCAもラファールが選定された時の条件は100機以上インド国内で生産することになっていたのに、結局国内生産はナシ、36機に減らした上で1機当たり200億円以上全機輸入という結果になりましたし。
     逆に日本もこれくらいやらないと武器輸出なんてのは難しいのでしょう。正直にやっていたら、技術だけ移転されて大赤字だった、ということになりかねません。逆にそうした心構えがない以上、輸出は考えない方がいいと思いますね。

    • その手のあくどい商売をやって問題にならないのが武器の売買ということかもしれませんね。
      日本はその手の商売をした事がないので、なかなかハードルは高いのかも知れません。

      ……でも兵器ではありませんがMRJは、納期も価格もけっこう変動している感じですね。