ちょっと意味不明なタイトルになっているが、香港で発生した列車脱線事故について、触れておきたいと思っている。
ただ、予め、「今のところ結論が出せない話」であることはご了解頂きたい。この記事は、後で追記することになるかも知れないけれど。
デモ開始から100日が経過した香港で謎の脱線事故が
2019年9月25日(水)18時00分
香港では9月に入り、鉄道の施設が破壊活動などの標的になるケースが増えている。駅構内での反政府デモの取り締まりに協力したと、鉄道会社に批判が向いているためだ。そんな香港で17日に脱線事故が発生し、8人が負傷。原因は不明だが抗議活動との関連を疑う声も聞かれる。デモ発生から100日が過ぎた今も、沈静化の兆しは見えない。
「Newsweek」より
記事では、香港での列車脱線事故について触れられているのだが、「謎の脱線事故」などと煽っている。
通勤ラッシュの時間帯に発生
破壊活動の標的だったのか?
何故謎なのか?
香港、朝のラッシュ時に列車脱線 8人負傷
2019年9月17日 15:10
【9月17日 AFP】(写真追加)香港中心部で17日、朝のラッシュの時間帯に通勤列車が脱線し、8人が負傷した。
現場は香港鉄路公司(MTR Corporation)の東鉄線(East Rail)ホンハム(Hung Hom)駅近く。九龍(Kowloon)地区に位置する同駅は中国本土へ向かう路線の乗り換え駅で、混雑することで知られている。
「AFP」より
割と大きな事故だったようで、AFPは淡々と事故について報じている。

ただし、記事の途中で「デモとの関連」について臭わせているのが気になるところ。
香港鉄路公司は先月、警察がデモの参加者や乗客を殴打している様子を撮影したとされる監視カメラ映像の提供を求められたものの、これを拒否。この対応に怒ったデモ参加者は数か所の駅で改札や券売機、窓などを標的とした破壊行為に及んでいる。
「AFP」より
どうやらAFPはデモとの関係を否定しており、Newsweekは関連を示唆する論調となっていて、その理由とされているのが、デモの参加者が市内の交通輸送網を攻撃対象としていたという話らしい。
しかし、根拠とするにはちょっと弱い気がする。
香港MTRの列車脱線、8人負傷-事故か断定できず
2019年9月17日 10:44 JST 更新日時 2019年9月17日 15:40 JST
香港で地下鉄を運営する香港鉄路(MTR)の列車が17日午前に脱線し、8人が負傷した。MTRは北京の中央政府に対する抗議活動の標的となっており、この数週間で施設の多くが破壊されたり、参加者が付近で火を放ったりしていた。
「Bloomberg」より
ちょっと偏った印象のあるブルームバーグの記事では、「この数週間で施設の多くが破棄された」ことや「デモ参加者が付近で火を放った」ことを根拠として、より疑わしさを臭わせる記事になっている。
で、事故発生が17日で、25日になってもその原因が特定できないから「謎」とされているらしいのだけれど、列車事故は原因を特定しやすい事故だと思うので、これは単に報道されないだけだと僕は思う。
案外、デモ側のせいにしようとして調査したら、システム的な問題で脱線したので、それを公表したくないだけという風な理解もできる。或いは、民主化運動をしている一部の人間を既に逮捕して、取り調べをしているが証拠・証言が出てこないとか、そんなところかも知れない。
ともあれ、初動の報道に比べて、随分とトーンダウンしている印象があるので、デモをしている民主化運動家の仕業である可能性は薄そうだ。
逃げ出す善良な市民
そうした話と、関係あるのか無関係なのか。
香港市民、いざとなったら海外脱出-「善良な」住民の証明申請が急増
2019年8月28日 13:56 JST
香港で善良な市民であることを示すカードの交付を受ける申請が8月の最初の2週間に、前年の同時期のほぼ1.5倍となった。「善良な市民権」文書は、前科がないことを証明し海外渡航ビザや海外居住を申請するために必要。デモに揺れる香港からの脱出を市民が真剣に考え始めていることが示唆される。
「Bloomberg」より
戦う人もいれば逃げ出す人もいるという話。
香港から「脱出」の市民、移住先はマレーシアや台湾 割安な住宅に注目
2019.9.4 13:40
香港政府に対する抗議活動が長期化し、これを嫌気し移住を探る香港市民のための住宅市場として、割高感の強いシンガポールはそれほど注目されていない。むしろマレーシアやタイ、台湾など相対的に物件が安い市場に投資家は目を向けている。
「SankeiBiz」より
特に富裕層から逃げ出す傾向にある様だ。
逃げ出せる資金のある人々は、さっさとケツをまくったと言うことなのかも知れない。だが、多くの市民はそうではないのだ。だからこそ戦っているということなのだろう。
香港最高裁・裁判官17人中15人が外国人──逃亡犯条例改正案最大の原因
2019年9月24日(火)16時15分
香港の最高裁判所の裁判官のほとんどは外国人だ。従って「民主主義的価値観」に基づく判決が出される。このままでは「香港が民主化してしまう!」。北京政府の焦りが「逃亡犯条例改正案」の根本原因だ。香港デモの真相を解明する。
~~略~~
つまり、一般の香港人が香港において政府転覆的な動きをすれば、「引き渡し手続きを簡略化して、すばやく大陸に送り込み大陸の司法で裁くことができる」というのが改正案の神髄だ。
もし改正案が通ったら、民主活動家たちはこれまでのように「西側的価値観」を持った外国の裁判官によって民主活動が見逃される軽微な刑で済まされなくなるのである。これをあらゆる側面から未然に防ぎたい。
だからデモが長引いているのだ。
「Newsweek」より
興味深い記事がこちら。
逃亡犯条例改正の原因になったのが、比較的構成に裁かれる司法だというのだから、驚きである。立法と行政は牛耳ることが出来ても、司法はなかなか思い通りにならない。そして、その司法はイギリスのコモン・ローの精神を受け継いでいる。
容易にここに手を付けられないからこそ、支那に容疑者を引き渡して裁いちゃおうというお話になっているというから、何とも。
出口の見えないデモ
列車事故を含めて、どんな結果になるのかは興味深く見守っていく必要がありそうだが、これがデモ側の犯行と決めつけられてしまうと、いろいろと恐ろしい話も出てくるかも知れない。
そして、相変わらずデモ側の勝利条件が見えてこない状況で、デモ側の体力が徐々に削られていくのが、なんともやるせない。
多分、西側諸国からの資金注入もあるだろうから、デモを続けると金が入ってくるなんていうおかしな構図になると、例え勝ったとしてもそれは不幸なんじゃ無いかと。そんな事も考えたりする。
多分、民主化、或いは独立するというのが一番幸せなのだろうけれど、その先が続かないのが辛いところ。すると、次善の策で50年間は民主主義を守る形に「戻る」というのが、マシな結果なのかも知れない。
コメント
いつも、記事投下を
有難うございます。
逃亡犯条例改正の撤回を、
動議する事を立法府に提案
します!という事みたいね。
オバハン役者ですよ。
役者で十分に機能するのが香港の行政長官と言うことかも知れません。
この手の記事はあまり皆さんに読んで貰えないのですが、ここがどう転ぶかで支那の命運にも大きく影響してくるハズなんですよね。重要なニュースだと思いますよ。
「分岐器の鎖錠が異常(またはされて無かった?)」感じではないかと思います。
と書くと、鉄オタ(&本職)以外の方は「なんのこっちゃ???」という感じだと思います。
「線路の『ポイント』のロックが外れて、列車の通過中に切り替わってしまった」と書くほうが、まだマシでしょうか。
鉄道の「分岐器」は、信号と連動しており、正常時は以下の流れです(ザックリと)。
1.分岐器の進行方向を切り替える
2.勝手に切り替わらないようにロックをかける←「鎖錠」
3.信号を「赤」から「青」などに切り替える
4.列車が通過→信号が「赤」になる
5.分岐器のロックが解除される
この事故は、分岐器のロックが外れて、列車が通過中に分岐方向が変わってしまったのではないかと考えます。
根拠としては、列車の中間車両が先頭車両とは違う方向を向いた形で止まっていることです。
この分岐器のロックは(現在は)外部から解除できないようになっているはずです。
なので、テロの可能性は低いと考えています。
なるほど、分岐器の異常ですか。
そういう考え方もあるのですねぇ。
分岐器のロックが外部から解除できない仕様だったかどうかは分かりませんが、そうであるのであればさっさと報道すべきでしょう。
にもかかわらず報道されないところに、きな臭さを感じますね。
あるけむ様、木霊様、今晩は
記事を見て「ポイントの異常」と書こうかと思ったら、あるけむ様が書いて下さいました。写真から見る限り、他の原因は考えにくそうに思います。香港のポイントのシステムがどのような物かは知りませんが、ハッキングして節妙なタイミングで誤動作させるのは至難だと思います。・・・まさか手動ではないよね、もしそうならば「決死隊」を送り込んで切替えればいい・・・だけど、すぐに捕まりますよね。
それよりも、デモと関連づけようとしたのが怖い。昔々には、お上の威信を保つために下手人を捕える事が重要だった時代があったようで(真犯人かどうかはどうでもよい)・・・こっちの方が怖い。もしそうならば、自作自演で事件を起こして犯人をでっちあげるとか、やりかねません。
なるほど、見る人が見れば分かると(苦笑
本日もデモは行われた様で、習近平氏としては苦々しい思いでデモの様子を見ているでしょうな。