ドイツが情熱を燃やす環境問題

欧州ニュース

大丈夫か?ドイツは。

独 6兆円規模の温暖化対策 電気自動車買い替え助成など

2019年9月21日 9時28分

温暖化対策を求めるデモが世界各国で行われる中、ドイツのメルケル首相は日本円でおよそ6兆円規模の温暖化対策の計画を発表し、2030年までの温室効果ガスの削減目標を達成することに意欲を示しました。

メルケル首相は20日、2023年までに540億ユーロ(およそ6兆4000億円)に上る温暖化対策の計画を発表しました。

「NHK」より

最近、身体の震えが止まらないドイツの首相、メルケル氏だが、この人の「環境にかける情熱」は一体どこから産まれるのか。

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環境対策に見えて、実は経済政策

ドイツ銀行の危機

メルケル氏の話はさておき、先ずはドイツ経済についてスポットを当てていきたい。

「ドイツ銀行」という名前を耳にしたことはあると思うが、ご存じの通り、ドイツの中央銀行というわけではなく、民間の銀行である。

ドイツの中央銀行は「ドイツ連邦銀行」で、日本の日銀に相当する銀行なのだが、その役割はEU加盟している関係で日本とは若干異なる。ドイツは丸くを使っていたが、今はユーロを使っているからね。ともあれ、ドイツの中央銀行は「ドイツ連邦銀行」だ。

では、ドイツ銀行は?というと、創業1876年という老舗で、かつドイツ最大の銀行としてドイツに君臨する銀行なのだ。

ニュースにドイツ銀行の名前が良く出てくる理由は、その規模と影響力に起因する。けれど、最近は少々経営が危ういらしい。

中国企業が大手投資銀の筆頭株主に 海航集団 米メディア報道 共産党幹部らの関与あるのか

2017.5.24 08:00

 中国の民間企業グループ、海航集団が欧州金融大手のドイツ銀行の筆頭株主となったことが、米証券取引委員会(SEC)に提出された報告書などで明らかになった。中国民間航空大手の海南航空などを傘下にもつ海航は年間売上高300億ドル(約3兆4000億円)を誇り、これまでも海外のホテルチェーンなどへの積極投資で知られてきた。今回は企業の経営戦略に大きな影響力を持つ投資銀行大手にも触手を伸ばした形だ。

「産経新聞」より

一つはこれ。一昨年の話だが、支那の企業に株が買われ、筆頭株主が支那企業になった。

支那云々というよりは、ドイツ銀行の経営が思わしくなかった、ということが問題で、金を持っている支那の国策企業に株を大量に買われてしまったのだね。2018年には大規模なリストラを行わねばならないほど、経営状態は悪い。

転落ドイツ銀、再建へ難路

2019年7月9日 2:00

【ベルリン=石川潤】ドイツ銀行は7日、株式売買業務からの撤退や全行員の2割にあたる1.8万人の削減を柱とする再建計画を発表した。戦後ドイツの経済成長の原動力となり、「欧州最強」ともいわれた同行は1990年代末から世界のトップバンクを目指して投資銀行業務を急拡大させた。しかし膨らむリスクに翻弄され、約20年を経て大幅な縮小を余儀なくされた。

「日本経済新聞」より

経営悪化の理由は色々あるのだろうが、世界的に銀行業が立ちゆかなくなりつつある風潮なので、まあ仕方が無いと言えば仕方が無い。

そしてドイツ銀行は、ここ数年経営が危ない状態にあるとよく言われるようになった。経営危機に陥っている理由はいくつもあるが、まずは過去にLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)を不正に操作する事件を起こしていたことがある。この事件によってドイツ銀行は英米の金融当局に25億ドル(約2700億円)もの制裁金を課され、さらに世界各国の企業から損害賠償を求めて訴えられた。

また日本と同じで、銀行業界の長期的な衰退もある。最近では欧州も日本のように超低金利政策が長期化し、銀行業界は収益が圧迫されている。それに加えてインターネット銀行の発達などにより、既存の銀行は業務を縮小せざるを得なくなっている。

「iFOREX」より

一般的に、金融ビジネスは、ともすれば数字だけを扱うだけに厳しいコンプライアンスが求められるわけだが、それが徹底できなくて、不祥事を引き起こすことも少なくない。銀行もその例に漏れず、ドイツ銀行もやっちまったと。

超低金利政策を世界中の政府が打ち出している影響もあって、そもそも銀行業の収益を悪化させている。

ドイツ銀行の経営に対する舵取りを誤ったせいで、かなりの経営危機に陥って今に至るんだな。

ドイツ銀行が倒れればドイツに深刻な影響が出るといわれているので、メルケル氏としても気が気ではないだろう。だけど多分、ドイツ銀行は早晩行き詰まり、破綻する。

ドイツ経済の失速

そして、もう一つ問題なのがドイツ経済の不安要素である。もちろん、その事はドイツ銀行の不調と無関係では無いのだが、別の要因もあるのだ。

ドイツ失速、欧州経済に影 財政出動求める声も

2019/8/14 20:28

ドイツ連邦統計庁は14日、2019年4~6月の実質国内総生産(GDP、速報値)が前期比0.1%減ったと発表した。マイナス成長は3四半期ぶり。米中貿易戦争を受け製造業の生産・輸出が落ち込んだ。英国の欧州連合(EU)離脱、イタリアの政局不安も重なり、欧州経済は不透明感を強める。独政府は財政出動で景気を下支えすべきだとの声も高まっている。

「日本経済新聞」より

ドイツ経済は、かなりの部分を支那経済に頼っているのだが、しかしその支那が景気がかなりヤバイ。ドイツの主力産業である自動車輸出先の支那経済が悪化すれば、ドイツ経済に大打撃というのは分かり易い構図だ。

「造りすぎるよりは、造らないほうがいい」。自動車世界最大手、独フォルクスワーゲン(VW)のフランク・ウィッター最高財務責任者(CFO)は7月25日、決算電話会見でこぼした。稼ぎどころの中国新車市場などの冷え込みで、同社の1~6月の国内生産台数は前年同期に比べ15%減った。ドイツ自動車工業会によると、独国内の4~6月の輸出台数は前年同期比19%減少した。

「日本経済新聞」より

フォルクスワーゲンですら、生産調整を行っているのだが……、起死回生の策は無い。そもそも、「売れない」以外にもドイツ自動車業界を苦しめる理由はあるのだ。

環境問題に苦しむ自動車業界

それが環境問題である。

アングル:欧州自動車メーカー、排ガス規制対応は「待ったなし」

2019年9月15日 / 06:37

[パリ/フランクフルト 10日 ロイター] – 欧州の自動車メーカーは欧州連合(EU)の排ガス規制の達成期限が間近に迫り、二酸化炭素(CO2)排出量削減への取り組みが「待ったなし」となっている。

基準を満たせなければ罰金が科せられるが、新技術の適用はコストがかかり、そのコストを消費者に納得させるのも難しい。コストがまかなえるだけの規模まで電気自動車(EV)の販売を一気に増やすのは困難だ。メーカーが仕方なく、新基準に適合しないモデルの販売を取りやめたりもするだろう。ただでさえ販売が低迷している業界で、業績が悪化したり、人員整理を余儀なくされる恐れもある。
EUの排ガス規制は乗用車の95%分に対し、1キロ走行当たりのCO2排出量を2020年までに現行の120.5グラムから95グラムに削減するよう定めている。21年には全ての新しい乗用車が基準への適合を義務付けられる。

「ロイター」より

狂気の沙汰としか思えないのだが、欧州では排ガス規制の強化に歯止めがかからない。何が一体そこまで環境に拘らせるのか?ということが僕には理解出来ないのだが、とにかく欧州社会は「二酸化炭素」を敵視している。

またメーカーは排ガス排出量を25年までにさらに15%、30年までに37.5%削減しなければならない。
規制をクリアできなければ、メーカーは基準を1グラム超えるごとに1台当たり95ユーロの罰金が科せられることになっており、罰金額はあっという間に膨大になる。

「ロイター」より

この話はもちろん日本の自動車産業にも大きな影響を与えると予想される。当然、EVを売りたい支那が国内で壮大な社会実験をやりつつ、実証性を高めていることを考えれば、EVが世界を席巻する時代は近いのだろう。そうなってくると、これまでの自動車産業は死滅するかも知れない。

EV開発は自動車業界にとっての自殺に等しいのだが、それでもEVを選択せざるを得ないような社会環境が構築され、その影響が強いのがEUなのである。

ドイツの内需は比較的堅調なだけに、経済減速の主因は米中貿易戦争に伴う世界の貿易の伸びが鈍化したことだ。ドイツは製造業を柱にGDPの47%を輸出に依存し、フランスの31%、日本の18%より高い。独製品への人気を武器に輸出を増やし、欧州で一人勝ちともいわれてきた。
だが米中対立で貿易が細り、中国景気が減速したのを受け、外需依存度の高い独経済の下振れが鮮明になった。ドイツはEU域内GDPの2割超を占めるだけに欧州全体への影響が懸念される。

「ロイター」より

そんな訳で、ドイツの政策そのものが自動車業界の首を絞めているのである。

電気自動車の普及推進

そういう状況だからこそ、ドイツ政府は自動車会社の窮状を救う為に、今回の助成を考えついた、ということだろう。何しろ、「環境対策だ」と言えば、世界に対しても聞こえが良く、優遇し易い。「非関税障壁だ」と騒がれにくいからね。

具体的には、
▽電気自動車や環境に優しい暖房器具への買い替えを助成することや、
▽鉄道で長距離を移動する場合、切符にかかる付加価値税を引き下げること、などが盛り込まれています。

「NHK」より

ただし、その内容が有効に作用するかはちょっと怪しい。

割と堅調な国内消費に支えられているドイツだが、貿易依存度が5割近くを占めているので、アメリカと支那が景気悪化の状況を迎えていれば、それなりに影響を受ける。そこで国内消費を高める為に、こうした大掛かりな対策を講じることにしたのだろうけれど、国内消費を幾ら刺激してもそう簡単に輸出で凹んだ分は取り返せない。

まあ、輸出依存度を下げるという方向に舵を切ったという風に見れば、良い政策かも知れないけれど。

世界で不自然に盛り上げられる環境対策

そうしたドイツを尻目に、世界では何故か温暖化に対する騒ぎが大きくなってきている。

世界で400万人以上参加 温暖化対策訴えるデモ

2019年9月21日 11時59分

国連の温暖化対策サミットを前に若者が中心になって温暖化対策を訴えるデモが世界各国で一斉に行われました。ニューヨークやベルリンなどでは参加者が数十万人規模となり、主催者側は世界全体で合わせて400万人以上が参加したとしていて、温暖化対策を求める機運はかつてなく高まっています。

「NHKニュース」より

環境テロリスト達の工作としか思えない勢いで、温暖化対策を訴えるデモが行われている。

ドイツはこれを受けての政策を実施した様に見せかけている。案外、この環境問題の騒ぎのバックにいるのは、ドイツを始めとした欧州勢力かもしれないな。憶測なのだけれど。

とまあ、今回の話だけみると「経済対策の側面が強い」という風に見えるのだけれど、ドイツは前々から環境に対してはかなりヒステリックに反応している。

脱原発を決めたのも、東日本大震災(平成23年(2011年)3月11日)の発生を見てという事だった。

脱原発を進めるドイツがさらに脱石炭にも踏み切る理由

2019年5月9日

 ドイツ連邦政府の諮問委員会は2019年1月26日、最終報告書の中で遅くとも2038年末までに褐炭・石炭による火力発電所を全廃すべきだと提言した。この国の褐炭・石炭火力発電所の設備容量は2017年末の時点で42.7ギガワット(GW)だった。これを、2022年までに12.7GW減らして30GWにする。これは褐炭・石炭発電施設24基の停止に相当する。その後15年間をかけて、容量をゼロにする。

「日経ビジネス」より

そして、脱原発に加えて、更にカーボンオフセットも進めている。だが、ドイツはかなり褐炭を利用した火力発電に依存していて、安易にこれを止めてしまうと、ただでさえ窮状にあるドイツ経済にトドメを刺してしまいかねない。

温暖化詐欺と見当違いな政策

しかし、環境問題というのは実に厄介なのである。

猛暑、温暖化なければ起きなかった 世界の損失25兆円

2019年9月15日10時00分

異常気象が日常になりつつある。洪水、台風、熱波――。その影響が人々の暮らしを脅かす。人間が引き起こした「気候危機」を回避するために何をすべきか、問われている。

~~略~~

欧州の研究機関は、西ヨーロッパ各地で40度を超えた7月の熱波について、温暖化がどの程度影響したか、スーパーコンピューターを使った最新の確率的な手法を用いて調べた。
 フランスやオランダでは、現在の気候でも50~150年に1度、熱波が起こるが、温暖化がないと千年に1度以下しか起こらず、ほぼあり得ないという結果になった。英国やドイツでは、10~30年に1度起きているのが、数十年から300年に1度になるという。

「朝日新聞」より

世界の科学者が警鐘を鳴らしている「地球温暖化」だが、これ、二酸化炭素を減らしたら確実に止められるという確証がない。僕は未だに地球温暖化懐疑派ではあるが、そのことを脇に置いておいたとしても、データとして、温暖化対策の成果が見られ無いのは何故なのだろう?

気候変動が「加速」、過去5年で世界気温は最も暑く=世界気象機関

2019/9/23

世界気象機関(WMO)は22日、温室効果ガスの影響で、世界の平均気温が過去5年間で観測史上最も暑くなるなど、地球温暖化の兆候やその影響が加速していると発表した。

「BBC」より

ここ数年、日本も環境対策に何兆円と投じてきた。だが、その成果が現れたという話はついぞ聞かない。

メディアも相変わらず二酸化炭素排出量の話をして煽っているが、しかし、二酸化炭素排出量の最も多い国はどこだろう?その事に、しっかり言及しているだろうか?

何とも皮肉なことに、上位3カ国は「支那」「アメリカ」「インド」なのである。

この3つで全二酸化炭素排出量の5割を占め、その何れの国も二酸化炭素排出量削減には極めて消極的だ。4位もロシアもそうなんだけど。

果たして、日本やヨーロッパが頑張ったところで何の意味があるのだろうか?日本で温暖化対策をやるべきでは無いとまではいわないが、やっても意味がないのは事実なのだ。もちろん、6位のドイツだって、二酸化炭素排出量の削減にしゃかりきになったところで、影響は極めて低い。

ドイツだってそんな事は百も承知だろうし、だからこそ、お題目はどうであれ、巨大な費用を国内産業の梃子入れに使おうとしているのだと思う。

……日本は環境大臣が「セクシー」とか言いつつ、肝心の「二酸化炭素排出量削減の方法は?」と聞かれたら「それは官僚に相談を」と、目を泳がしちゃう始末なんだけどさ。

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