千葉、台風災害の時に災害用の発電機を活用できず

政策

本日は、軽めの記事で。

県が備蓄の発電機 半数以上活用されず 千葉

2019年9月21日 12時52分

台風15号による停電が続く千葉県で、県が災害用に備蓄している非常用の発電機のうち半数以上が倉庫などに置かれたまま活用されていないことが分かりました。

千葉県では災害に備え館山市や市原市などにある県内10か所の防災倉庫などに非常用の発電機を468台備蓄しています。

「NHKニュース」より

このニュースを見て思い出したのがこちら。

信号機から発電機盗む 容疑で男逮捕 千葉県停電で設置

2019.9.20 21

 台風15号による停電の影響で消えた信号機に取り付けられた発電機を盗んだとして、千葉県警捜査3課は20日、窃盗の疑いで同県成田市大竹の自称農業、吉岡晃容疑者(38)を逮捕した。調べに対し、「コレクションするために盗んだ」と容疑を認めている。

~~略~~

 吉岡容疑者は盗んだ発電機を軽トラックで運んだという。吉岡容疑者の自宅からは他に9台の発電機が押収された。同県内では停電で消えた信号機に設置された発電機が十数台盗まれており、同課が関連を調べている。

「産経新聞」より

コレクションねぇ……。

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災害時に発電機が使えるか?

そもそも日本はそんなに停電しない

ニュースによると、合計10台の発電機が押収されたことになっているのだが、軽トラを用意して発電機を盗んで回ったと。その時に使われていたであろう発電機は、同じ型であったと推測されるので、コレクションに向いているのかも含めて疑わしい話。

実際に別のメディアでは「転売」を目的にしていたのでは?と、している。

逮捕された男 売却目的か 千葉・発電機窃盗

2019年9月21日 土曜 午後0:13

千葉県の停電している信号機に設置された発電機が相次いで盗まれた事件で、逮捕された男は、発電機を売る目的で盗んだとみられている。

「FNN PRIME」より

常識的に考えれば転売が目的だったんだろうけれども、ネットで転売するにしても停電していたからそれも難しい話。そりゃ、「コレクションでした」と答えたくもなるのかも知れない。

盗まれた発電機

確かに似たようなタイプはAmazonでも売られているな。

型番が違うが、定価は168,480円となっていて、EB23はもうちょっと安い価格設定だね。

EM23 - サイクロコンバーター搭載発電機|Honda
Honda発電機「EM23」の公式情報ページです。定格出力:2.3kVA。50/60Hzが切り替えられるサイクロコンバーターを搭載。12Vバッテリーの充電に役立つ交直両用発電機です。

ともあれ、それなりに需要はあったということだろう。とはいえ、この手の発電機を使おうという発想になった方がどれだけいたのかは気になるところ。

通常、発電機を常備する人は早々いない。このタイプの発電機は室内で使わないように説明書に明記されているからね。まあ、エンジンをかけるのだから、屋外で使うしかないのは事実である。排気ガスで大変なことになるからね。

それはそれとして、数字を見ると日本で停電は結構珍しい。

1軒あたりの停電時間|数表でみる東京電力|東京電力ホールディングス株式会社

これは東京電力のサイトで説明する、年間で1件あたり停電する時間ということなのだけれど、2017年は6分と言う事になっている。

ただいまデータの更新作業中です|関西電力
関西電力の会社概要、企業理念、主要事業、お近くの支社・支店・営業所についてご案内しております。

関西電力がこちら。年間18分となっている。

数字で注して欲しいのは、電力を供給できなかった時間を件数で割っているというモノなので、例えば10軒の家で10時間停電したとしても、全体で見ると、東京電力の契約がが2945万口であるので、これが母数になる。だから、1秒に満たない停電時間だという事になってしまう。

つまり、大規模停電でもない限り、この数字に殆ど影響しないという事を意味する。だから、6分というのはそれなりの停電時間があった可能性があるのだけれど、日本全国で見るとこれが25分になり、東京電力はそれなりに優秀だという風にも解釈できるし、災害が比較的少ないのだという風にも理解出来る。

停電時間の国際比較|数表でみる東京電力|東京電力ホールディングス株式会社

こちらは世界の状況と比較したモノで、ドイツは比較的低いが、それでも13分である。イギリスは47分弱、フランスは52分弱となっていて、日本が比較的優秀であるという風に理解して良いと思う。比較的災害の多い国だからね。

発電機の存在の周知が出来ていたか

そんな訳で、長期間の停電が殆ど無い日本だが、防災という観点で発電機を用意していながら周知していなかったことが、今回の不便な状況に拍車をかけた。

発電機は1回の燃料の補充でおよそ4時間稼働するもので、避難所などでの活用を想定して備蓄されていて、千葉県によりますと今回の停電では消えた信号機などを動かすために警察に191台を貸し出したほか、県の出先機関で19台を使用したということです。

しかし、停電した自治体に対しては鋸南町と神崎町に合わせて6台しか貸し出されておらず、備蓄している発電機の半数以上にあたるおよそ250台は倉庫などに置かれたまま活用されていないということです。

県の防災計画では災害用に備蓄された非常用の発電機は、市町村で不足した際に補うために貸し出すとされていて、県は今回、2つの町以外からは貸し出しの要請がなかったと説明しています。

「NHKニュース」より

この運用にそもそも問題があったのだ、という風に理解すべきだろう。

特に、「鋸南町と神崎町に合わせて6台しか貸し出されておらず」と書かれているが、何故もっと貸し出さなかったんですかねぇ。

【台風15号】千葉の大規模停電、きょう25万軒以上復旧見込み 11日にずれ込む地域も 市原は大半解消か

 千葉日報社 2019/09/10 13:15

 東京電力パワーグリッドによると、10日朝時点の計画で、約57万軒に及ぶ千葉県内の大規模停電のうち少なくとも25万軒程度は10日中に復旧できる見込み。昼にかけて復旧作業の進展もうかがえ、10日中の復旧はさらに増える可能性がある。

 停電軒数が最多の市原市では、10日中に大半の約6万4700軒が復旧する計画。一方、復旧が11日にずれ込む場所が各地で生じることも避けられない状況という。

 10日朝段階の計画で、全面復旧が「11日以降」となっているのは、旭市、印西市、大網白里市、香取市、木更津市、君津市、鋸南町、九十九里町、神崎町、栄町、佐倉市、山武市、酒々井町、芝山町、匝瑳市、多古町、千葉市の稲毛区、中央区、花見川区、緑区、若葉区、銚子市、東金市、東庄町、富里市、成田市、富津市、南房総市、八街市、八千代市、横芝光町、四街道市。市原市も200軒程度が「11日以降」の復旧。

「千葉日報」より

9月5日に発災して停電し、復旧するのが11日以降になる自治体に「神崎町 」と「鋸南町 」がリストに載っている。今は、復旧しているようだが。

ともあれ、この2つの町にもっと数を出しても良かったし、ルールとして1つの町で3台だと決まっているのであれば、他の市町に積極的に声を書ければ良かったのでは無いか?という気がする。

ただし、1回の給油で4時間の発電が可能と書かれているのだけれど、果たしてそのレベルの発電機を時自体に配った時にどんな利用方法があったのか?は非常に気になる。

森田知事は「対応を検討する」というが

さて、どうも対応が不十分だったのでは無いか?と疑われる千葉県知事の森田氏だが、こんな事を宣ったそうな。

千葉県の森田知事は21日、台風15号の強風の影響で、深刻な倒木の被害が出た山武市を視察しました。

視察のあと、県が災害用に備蓄している非常用の発電機のうち半数以上が活用されていないことについて「市町村でもこの程度の発電機は備蓄しているのでなかなか要請が来なかったと考えているが、改めて周知したい」と述べました。

「NHKニュース」より

国は、「プッシュ型」の支援を決めて動く事を決め、現在はそうした運用がなされている。

政府13億2000万円支出へ、水・食料やブルーシート確保

17日 18時01分

 台風15号による被害を受け、政府は被災者への緊急支援として、今年度の予算の予備費から13億2000万円を支出することを決めました。
 「引き続き、被災者への緊急支援を迅速に進めていきたい」(菅義偉官房長官)

 被災者への水や食料のほか、壊れた屋根に使用するブルーシートなど、支援物資の確保に充てられるということです。

「TBS」より

ただ、ニュースによっては国から支援のあったブルーシートが「薄くて使い物にならない」という事態もあったようだ。

これは恣意的な報道で、国から支援のあったブルーシートが、屋根を覆う為に用意されていたかどうかを調べて報道しない辺りが何とも情けない。

千葉市、プッシュ型支援を強化 市外被災地の支援も急ぐ

2019/9/13 19:54

千葉市は13日、台風15号に関する災害対策本部の5回目の会議を開き、被災地からの要請を待たずに必要な物資などを輸送する「プッシュ型支援」の実施や、県内の被災自治体への市職員派遣を検討することなどを確認した。熊谷俊人市長は「停電発生から5日目となり、被災地では想像を絶するような疲弊の状態になっている。通信の途絶も続いており、住民のSOSを待たずに現地で支援していくしかない」と強調した。

「NHK」より

結局、千葉市長の熊谷氏はプッシュ型の支援に切り替えていくことを決めたようだが、千葉県はまだまだ及び腰らしい。

この件でネットを眺めていたら「私、エリクサーは使わない派なので」という書き込みを見かけて思わずニヤリとしてしまった。

エリクサーというのは、PRGなどで出てくる蘇生薬品なのだが、貴重すぎてなかなか使いドコロを決められない人が多い薬品でもある。つまり、使わずに埃を被ってしまう代表的なアイテムとしても有名なのだ。

発電機がエリクサー化したら笑えない。

万能の災害対策はあり得ない

行政に近いところで仕事をした経験があるが、行政機関に属すると「リスクを回避」する傾向にある。

リスク回避するのであれば、万が一の事態に対応出来るような体制を考えるべきだと思うのだが、彼らのリスク回避の思想は、「リスク」そのものを想定しないという思考タイプなので、災害は発生してから考えるのが基本になっている。

故に、「想像」して「用意」するという事はやらない。「税金の無駄遣い」との批判を恐れているからね。

しかし、万が一の時に「使えない」よりは、よっぽど災害に備えた対策をしてあり、使えなかったという方がマシでは無いか。

だが、では何に備えれば良いか?というと、様々なタイプの災害があるために、予測は困難ではある。

東電会長ら旧経営陣3人に無罪判決 原発事故で強制起訴

阿部峻介 2019年9月19日16時39分

 2011年3月の東京電力福島第一原発事故をめぐり、旧経営陣3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴された裁判で、東京地裁(永渕(ながふち)健一裁判長)は19日午後、勝俣恒久・元会長(79)、武黒(たけくろ)一郎・元副社長(73)、武藤栄・元副社長(69)の3被告にいずれも無罪(いずれも求刑・禁錮5年)の判決を言い渡した。検察官役の指定弁護士が控訴すれば、控訴審でさらに争われることになる。

「朝日新聞」より

このニュース、東電の会長などが無罪になった判決なのだが、東京地裁はこの判決を出さざるを得なかったと言って良いだろう。

この話を出すと、「国の長期予測」の話を出す人がいる。この判決もその話を出しているのだが、この「可能性」という確率に関しては記事では言及されていない。

 その上で、10メートルを超す巨大津波を予見できたかを検討した。「決定的に重要」な判断材料としたのは、国が02年に公表した地震予測「長期評価」だ。東北沖でマグニチュード8・2前後の津波を伴う地震が来る可能性を示したもので、東電子会社はこれに基づく計算で08年3月、原発に「最大15・7メートル」の津波が来るという予測を報告した。

「朝日新聞」より

実は、この長期評価の結果は、前提として「可能性は議場に低い」という但し書きが付く話。

したがって、裁判所の判断として「妥当性」を考えた場合には、「ちょっと予測が出来たとは言えないんじゃ無いの」という話に繋がるのは、当たり前なのである。

さて、そんな訳で「予測可能性」というところまで言うと、実際に発生した災害をベースに考えて行かざるを得ないとは思う。特に、東電は、ライフラインの一端を担っているとは言え形の上では民間企業なのだから。

ただ、行政はというと、そういうワケにもいかない。ある程度は「最悪のシナリオ」を考え、税金で賄える範囲での「できる事」を積極的に考えて欲しい。

熊本地震では発電機を「貸し出すよ」といった千葉県

千葉県のホームページを見ていたら、こんな記述があった。

平成28年熊本地震への千葉県の対応について

これがそのページで、「(15)その他応援準備体制を整えているもの」とあって、そこに「発電機(50基)」と記載がある。

貸し出すために発電機が用意してあることを示しているのだけれども、県外に貸し出す用意があることを示しているにもかかわらず、県内にはしっかりと周知徹底が出来ていなかったというのが、何とも皮肉に思える。

面白いのはここにも「石油携行缶」の文字は見当たらない。発電機は燃料を燃やして動くタイプなのに、どうやって使えというのか……。これが「あるよ」と示したリストに載っていないことが問題なんだと思う。

色々と想像が足りていないんだね、行政は。

僕はこれ、千葉県だけの問題では無いと思う。毎年のように日本各地で発生する災害に「俺のところは関係無い」としてしまう自治体は、せめて今回くらいは真摯に防災体制を見直す切っ掛けにして欲しいと思う。

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