再燃する黄色いベスト運動

欧州ニュース

そもそも、前回の「黄色いベスト」運動はいつの間に収まっていたのか。

「黄色いベスト」運動、仏各地で抗議デモ再開、警察と衝突も

9/8(日) 16:08配信

フランス各地で7日、反政府デモが行われ、社会的公正とエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領の辞任を求める運動を再び勢いづけたいデモ隊と警察とが衝突した。

「Yahooニュース」より

前回の、つまり2018年末頃の黄色いベスト運動騒ぎが、「燃料税の減税」だとか「最低賃金の引き上げ」とかその手の要求と共に、マクロン氏に大統領辞任を要求していたように思ったのだが……、マクロン氏は今もフランス大統領を続けている。

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黄色いベスト運動

フランス文化に根差す「デモ」

以前このブログにコメントを頂いていた方も指摘されていたが、デモはフランスの文化の一部、というような印象は強い。そこまで、デモはフランスでは珍しいことでは無いようだ。

そこで、不満をデモで表すようなやり方はフランスでは容認され、直接民主主義と言えるかどうかは怪しい所だが、少なくとも「民意」だと受け取られる土壌はあるようだ。

それはフランス革命(1789年5月5日~1799年11月9日)からの伝統といわれるのだが、しかし、フランス革命で勝ち取った様に持ち上げられる資本主義は、その後、市民を幸せにはしなかったし、多くの教会が略奪・破壊されて貴重な文化財が失われ、宗教は弾圧された。

フランス革命が近代資本主義の礎になっていると言う主張を否定する積もりは無いが、アレが無かったとしても別のルートで資本主義は確立出来たのでは無いか?というように思う。

さておき、こうした革命の精神は今なおフランスに受け継がれていることは間違い無い。

フランス全土が怒りに震える「黄色ベストデモ」という“階級闘争”

2018.12.08

フランス全土で今、デモの嵐が巻き起こっている。

きっかけは去る11月17日土曜日、エマニュエル・マクロン政権の自動車燃料増税に反対する地方生活者が、ドライバーの安全確保用の黄色いベストを着て起こした抗議行動だ。SNSを介して集った全仏87箇所・3500人の行動は、その翌週には28万人以上の市民が参加する全国規模のデモへと膨れ上がった。

デモ隊の中心は穏便に生活苦を訴える労働者・年金生活者たちだが、そこに野次馬や暴徒が混入し、建造物・設備の破壊や乗用車への放火などの蛮行を起こしている。12月1日のデモでは、破損したパリ凱旋門の映像が世界中を駆け巡った。

「現代ビジネス」より

そんなワケで、2018年末にわき起こった黄色いベスト運動も、階級闘争だと言われたのだけれども、マクロン氏がある程度の譲歩を示した事でこの運動は収束したのだそうな。

この記事を書いた際には、ある程度譲歩するのでは無いかと予想していたけれども、この程度の譲歩を勝ち取ったようだ。

  • 2019年の最低賃金の100ユーロ/月の増加
  • 2019年の残業時間、年末ボーナスからの課税の除外
  • 毎月の年金額が2千ユーロ(約26万円)未満の退職者には、社会保障税(CSG)の増税から除外
  • 低所得者や平均的な所得者へ総額50億ユーロ規模の所得税削減と年金の増額を約束
  • フランスのエリート校フランス国立行政学院(ENA)の閉鎖を約束

ピンとは来ないが、結局のところ低所得者へのバラマキをやったという様にしか見えない。

定年年齢改正の着手

世界的に定年の引き上げ、という方向に舵が切られているようだが、フランスも例外では無いようで。

年金制度「持続には改善不可欠」 定年引き上げは否定 仏労働相

2019/9/1 17:31

来日中のペニコ仏労働相は1日、松山市内で日本経済新聞の取材に応じた。マクロン政権が目指す年金制度の見直しについて「高齢化が進んでも持続可能な制度となるよう改善が必要だ」と述べた。給付減に向けた改革に向けて労組側との交渉を進める考えを示したものだ。一方、年金受給を始める定年退職年齢の引き上げには否定的な考えを示した。

ペニコ仏労働相は持続可能で公平な年金制度を構築すべきだと述べた(1日、松山市)

フランスでは高齢化と経済の低迷を背景に、年金制度がもたらす財政赤字が2022年に100億ユーロ(1兆1700億円)に膨らむ見通しで、給付減に向けた取り組みが迫られている。ペニコ氏は年金改革がフランスの反政権運動「黄色いベスト」の再燃や支持率低下に結びつくのではないかとの懸念は「全くあたらない」と否定した。

「日本経済新聞」より

フランスの労働大臣は、「財政難」と「高齢化が進んでも持続可能な制度を目指す」と言及したにもかかわらず、「定年退職年齢の引き上げ」を否定した。

この話は全く矛盾していて、単純な話、高齢化が進んだにもかかわらず定年を引き上げないとなると、受給する人数が増えることになり、年金基金の額が増えない限りは貰える額が減ることになる事は、小学生でも分かる話。

もちろん、日本でもこの問題は指摘されているが、結局のところ安倍政権は「身体が動く限りいつまででも働ける」ことを目指し、年金給付開始年齢を上げていく方針を示している。そうで無ければ、「持続可能」にならないのだ。そうで無ければ、貰える額を減らすしか無い。

しかし、日本の定年は60歳で65歳年金受給開始を変えてはいない。何を変えるのか?といえば、収入や資産がある人の年金を減額するよという仕組みになっている。「貰う人の額が減れば足りない人の分も賄えるよね」という考え方だ。

ペ二コ氏は労働大臣でありながらそこを誤魔化したしまった。

こりゃ、騒ぎが広がりそうだね。

デモの背景にあるのは働く人の購買力の問題だと分析。低所得者対策に100億ユーロの追加予算を講じた結果、不満は収束したとの見方を示した。改革の柱としては、働いた期間にためたポイントに応じて支給額を算出する制度の導入や、子育てや介護のために一時退職した人が不利にならない仕組みを挙げた。

年金支給の開始年齢である定年は「現行の62歳を維持する」と明言した。フランス国内では定年を引き上げるべきだとの議論もあるが、労組の反発は強い。政府と労使関係者との間で長く働く人への支援策などを検討する方針も明らかにした。

「日本経済新聞」より

62歳を維持か……。70歳くらいにしないと辻褄はあわないんだけどなぁ……。

デモは再び燃え広がるか?

現在、フランス各地でデモが起きているようだ。

 モンペリエ以外では、首都パリや南部マルセイユ(Marseille)、北部のルーアン(Rouen)やリール(Lille)、東部ストラスブール、中部ディジョン(Dijon)や南西部のボルドー(Bordeaux)とトゥールーズ(Toulouse)で小規模なデモが起きた。

「yahooニュース」より

しかし、こういった形の直接民主主義というのは、効率が宜しく無い上に大多数の意見が抹殺されてしまうので宜しく無い。

特にこういった破壊活動を伴うのはちょっと不味いだろう。

G7サミット開催地周辺でデモ、仏警察 催涙ガスなど使用

2019年8月25日 11:34 発信地

先進7か国(G7)首脳会議(サミット)の開催地となったフランス南西部ビアリッツ(Biarritz)周辺で24日、サミットに反対する複数のデモが行われた。警察はデモ隊の排除に催涙ガスや放水銃を使用した。

フランス南西部には19日から反資本主義運動や環境保護の活動家らのグループが集まっていたが、主催者はあくまで平和的なデモになると話していた。

「AFP」より

G7サミットの際にもかなり荒れていたようだ。

色々な活動家も入り込んでいたようなので、非常に宜しく無い気がする。

環境活動家や家族連れ、反グローバリズムの活動家のほか、少数ながらエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領の政策に抗議する「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」運動の活動家やスペイン・バスク(Basque)地方の民族主義者の姿も見られた。

ビアリッツから南に25キロ離れた村ユリューニュ(Urrugne)では23日夜から24日朝にかけて、キャンプを張っていた活動家らが警察と小競り合いになり、17人が拘束され、警察官4人がけがをした。現地で取材したAFP記者によると、警察は催涙ガスやゴム弾を発射した。

「AFP」より

香港でも随分と長い間デモが行われているが、フランスのデモも息の長いものになってきているね。しかし、香港の場合はともかく、フランスは民主主義を採用している国家であるから、議会で議員が意見を戦わせて政策が決定されるべきなのである。

なんというか、デモが起こることでバラマキ政策が決定されるサイクルは、実に不健全なことだと、そう思わざるを得ない。

コメント

  1. 匿名 より:

    重商主義を進めていたリシリューが失脚しなければフランス革命は100年早かったとはよくいわれているけど、気象変動がフランス革命の原因なので資本主義が100年早くても革命は起きたのでは。

    • 木霊 より:

      革命に関する解釈は様々ですが、アレを肯定的な側面だけで解釈するのはちょっと違う気がしています。
      ただ、革命はご指摘の様に避けられなかったのかもしれませんね。