香港行政、デモに屈する

支那

このタイミングで撤回するというのは少々予想外だった。

僕の予想では、デモの影響で停滞する香港でのサミットを諦め、深圳辺りでサミットを行うことにして、もっと長期戦の構えで今年中は揉めるんじゃ無いかと考えていたんだけど。

香港行政長官、逃亡犯条例改正案を正式に撤回-抗議活動収束は不透明

2019年9月4日 15:28 JST 更新日時 2019年9月4日 20:53 JST

香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は4日、「逃亡犯条例」改正案を正式に撤回したと発表した。姿勢を転換させて長引く混乱を収拾したい考えだが、混乱緩和に役立っても終止符を打つには至らない可能性がある。

「Bloomberg」より

しかし、香港の行政長官は、「逃亡犯条例」改正案を正式に撤回したと発表した。

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支那共産党は何を狙っているか

香港サミットの開催は可能か?

前回の記事ですっかり失念していたので、少々間の抜けた記事になってしまった。

この記事では、他の場所での開催をするのではないかと予想していたのだけれど、どうやら上手くすればサミットの開催が可能かもしれない。

どうする「一帯一路」香港サミット2019

2019年9月2日(月)19時09分

9月11日から12日にかけて、香港で「一帯一路」サミット2019が開催されることになっている。部長級ではあるものの、現状では開催可能なはずがない。では、どうするつもりなのか?

「Newsweek」より

この一帯一路構想は、今の支那共産党のトップに居座る支那皇帝の習近平氏の提唱する構想で、彼にとっては譲れない構想だろう。

何しろ、支那経済は相当停滞しており打つ手が無い。一帯一路構想を加速して経済浮揚というのが習近平氏の拘りだと思われる。

一方、香港特別行政区政府と香港貿易発展局が共催する「一帯一路」香港サミット2019が、9月11日から12日にかけて香港会議展覧センターで開催されることになっている。

このサミットには各国の関連部局の部長か部長級代表および商業界の代表が参加する。今のところ、今回はアジア金融集団の陳智思総裁が開会の挨拶をすることになっている。

しかし、たとえ部長級であるとはいえ、現在のような香港の状態では、とても開催などできるはずがない。各国代表たちは空港を使う。空港はデモ隊に封鎖されているのに等しいような状況なので、安全性がどうかというレベルではなく、そもそも乗り入れできないだろう。

「Newsweek」より

ここで香港の行政長官が妥協することで、デモが一時的にでも収束するのであれば、香港行政長官のメンツは保たれる可能性がある。

だが、本当に5日に話が付いて11日~12日のサミットに漕ぎ着けることが可能なのだろうか。

10月1日国慶節

習近平氏のもう1つの懸念は10月1日の国慶節の開催だ。

中国、建国70年の10月1日 大規模な軍事パレード開催

2019/8/29 18:00

中国共産党は29日、建国70年に当たる10月1日の国慶節(建国記念日)に、記念式典と軍事パレードを北京市の天安門広場周辺で開くと発表した。習近平(シー・ジンピン)国家主席が式典に出席し演説する。パレードは習指導部で3回目となり、近年にない大規模になるという。習指導部は米国との貿易戦争が続くなど難題続きで、パレードを利用して求心力を高める思惑が透ける。

「日本経済新聞」より

天安門広場で開くパレードには直接的な影響は無いのだろうが、香港で大規模なデモが行われているにもかかわらず、一方で大規模な軍事パレードを開くということになると、習近平氏の威信に傷が付くことになる。

中国共産党系メディアの環球時報の胡錫進総編集長は29日、「DF41は間違いなく存在する。10月1日に登場するのを楽しみにしている」とツイートした。軍事パレードは対米けん制を強く意識した内容になる。10月1日に市民ら10万人余りが参加するパレードや花火の打ち上げもする。

「日本経済新聞」より

10万人規模のパレードが行われる一方で、100万人超のデモが香港で行われたとすると、支那の権威を世界に発信するような事ができるのだろうか?下手をすると、香港だけでは無く他の地域での大規模デモを招きかねず、そうなることが習近平氏にとって最も懸念する事なのである。

デモ側は諦めない

そうした中で、雨傘運動のリーダーだと目されていた周庭氏がこんなtweetを。

条例の撤回は喜べません。遅すぎました。

この3ヶ月間、8人が自殺。
3人が警察の暴力によって失明。
2人がナイフを持つ親北京派に攻撃され、重傷。
1000人以上逮捕。
100人以上起訴。
怪我した人は数えきれないです。

私たちは、5つの要求を求めています。これからも戦い続けます。— 周庭 Agnes Chow Ting (@chowtingagnes) September 4, 2019

このメッセージはデモ側でも共有されていると考えられ、その根拠として考えられるのがこちらのtweetだ。

林鄭月娥は一方で、改正案を撤回する、対話をしたいと言いながら、政治的弾圧、警察による逮捕、デモ隊への攻撃を、毎日起こしています。

改正案が撤回された今も、香港人は引き続き暴力的な弾圧の下で生きています。だから、私たちは反抗しないと、香港はますます住めない場所になってしまうのです。— 周庭 Agnes Chow Ting (@chowtingagnes) September 4, 2019

結局、「改正案撤回」を主張したことに対して、デモ側は自身の身を危険に晒し、実際に拘束された人も多数いると言われている。死者さえ出ているのである。そうだとすると、デモを止める為には身の安全を担保できるような提案が行政側から無ければ、もはや後には引けないのである。

長官はこの日、香港の議員や中国立法府の香港代表など体制側の政治家との会合の後にテレビ演説し、撤回を表明した。政府の行動について独立調査を行うとも述べ、抗議参加者に対する警察の対応を検証することもあらためて約束した。一方、一部のデモ参加者に対する暴動罪での起訴取り下げなど他の要求は受け入れられないと言明した。

「Bloomberg」より

「話し合いをする」などといっているが、抗議参加者に対する不当な香港警察の対応が改められない限りは、なかなか矛を収めることは出来ないのだろう。

民主派の議員、クローディア・モー氏は長官の発表後の会見で「長官の譲歩は小さ過ぎ、遅過ぎだ。ダメージはすでに生じた。香港の傷口からはまだ血が流れている」と述べた。民主化活動家らのオンラインフォーラムで抗議行動を組織するのにも使われるLIHKGでは、「5つの要求のうち2つに応じると言う。受け入れられるか?」との書き込みに、15分未満の間に415の否定の反応があった。

「Bloomberg」より

香港行政がどこまで譲歩できるかはよく分からない。

改めて5つの要求を列挙しておこう。

  1. 条例改正案の完全撤廃  ← 今回、完全撤回が発表された
  2. 「暴動」認定の撤回
  3. デモ参加者の監視や検問の停止と逮捕者の釈放
  4. 当局による暴力の調査  ← 調査を約束されたが、具体的な内容は不明
  5. 長官辞任と普通選挙実現

今回は2つ譲歩したと、その様に言われているのだが、果たして本当にそうだろうか?僕は4番の当局による暴力の調査というのは公平性が担保されない限りはあまり意味が無いことのように思われる。

何しろ、司法も、行政も、立法も今や完全に支那共産党の手に堕ちているので、第三者的な立場での調査というのは香港において凡そ不可能なのだ。

そして、2番、3番、4番はセットであり、今回のデモ側の要求は正当なモノで、暴動ではなく、それ故、逮捕者が釈放され、暴力的な手法にメスが入らねば成り立たない話。「調査だけやります」と言われても、それは果たして譲歩と言えるかは怪しいのである。「調査しました、正当な行政執行でした」という認定がなされてしまっては、寧ろデモ側は敗北したと言って良いだろう。

それともう1つの懸念は、香港の行政長官の権力はそこまで高くは無いので、支那からの圧力によってあっさり覆る可能性がまだ残っている事だ。もちろん、今回の判断は支那共産党の許可を得た話だとは思うが……。そもそも法案提出も支那当局の許可なくやったと言われており、にわかに信用できるか?というとちょっと怪しいと思う。

経済的な影響

香港経済は大きな打撃

少し話は逸れるのだが、今回の騒ぎで香港の経済は大きく傷ついたといわれている。

香港株大幅高、ハンセン3.9%高で終了-逃亡犯条例改正案撤回に期待

2019年9月4日 15:39 JST 更新日時 2019年9月4日 18:01 JST

4日の香港株式相場は大幅高。林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が「逃亡犯条例」改正案を正式撤回するとの報道を好感した。

MSCI香港指数は5.4%高と、2011年10月以来の大きな上昇率。ハンセン指数は3.9%高で終了した。不動産株が上げを主導した。香港ドルも一時0.08%高となった。

「Bloomberg」より

しかし、香港市場は今回の「撤回」で通常運転に戻れるだろうと、そう期待しているようだ。

香港の混迷、次の危機は経済か-抗議活動の余波拡大

2019年8月13日 10:39 JST

香港で深刻化する政治の混迷が経済危機に発展する恐れが出ている。

香港政府に抗議するデモ参加者が12日午後に香港国際空港を全便欠航へと追い込む中、10週間に及ぶデモが落ち着く兆しが見られず、投資家や企業経営者は抗議活動の余波への不安を募らせている。

~~略~~

しかし、海外投資家の幅広い流出分を相殺するには力不足で、香港株は6月上旬のデモ本格化以降、約5000億米ドル(約52兆7000億円)相当の時価総額を失い、香港の株価指数は12日に7カ月ぶりの安値を付けた。

「Bloomberg」より

中国、香港経済にも介入 デモ長期化 外資系企業など影響

2019年9月2日 朝刊

 【香港=中沢穣】香港で長引く抗議デモの影響が、外資系企業の活動や香港の経済にも及んでいる。中国政府は企業がデモに同情的な態度を取ることを許さず、デモ締め付けの一つの手段として企業活動にも介入。一方、大陸からの観光客数が減少し、小売業にも影響が生じている。

「東京新聞」より

経済に大きな影響が出始めていて、ここからの回復を望んでいる投資家が多いと言う事になっているようだ。

当局によるバラマキと空港の封鎖

また、経済的なダメージはデモ参加者にも及んでいると言われていて、そこを狙った作戦も展開されているようだ。

香港政府、2千億円かけデモ懐柔? ばらまき政策を発表

2019年8月15日23時21分

香港政府は15日、電気料金補助の名目で各世帯に2千香港ドル(約2万7千円)を支給するなど、緊急の生活支援策を発表した。総額で約150億香港ドル(約2千億円)の規模となる。「逃亡犯条例」改正案をきっかけに政府に対する抗議運動が広がっており、予算のばらまき政策で、市民を懐柔する狙いとみられる。

「朝日新聞」より

バラマキと言うには少々額が少ない様にも思えるが、香港行政の裁量で出来る範囲を考えると、無理は出来ないのだろう。

中国・新華社「香港経済は厳しい状態」と強調

2019年8月17日 20:20

中国国営・新華社は2019年8月16日付で、香港経済は厳しい状態と強調する記事を発表した。記事は、香港行政長官が10月に発表する施政報告で、香港経済が発展の力を増すことを目的とする大胆な措置を打ち出す見込みと紹介した。

記事は、香港政府が16日に発表した経済指標で、2019年第2四半期(4-6月)の経済成長率は0.5%で、第1四半期に比べ0.6ポイントの減速だったと紹介。さらに、第2四半期の輸出額は前年同期比5.6%減で、第1四半期の3.7%減より下落幅が大きくなったと指摘した。

「exciteニュース」より

8月半ばにはかなり経済が停滞するという予想を出していたが、この頃に問題となっていたのが空港の封鎖である。

日航・全日空も欠航や運航見合わせ 香港全便欠航で

2019/8/12 21:06

香港の航空当局が12日午後、香港国際空港の発着便の全便欠航を決めたことで香港路線を運航する日本の航空会社にも欠航や運航見合わせなどの影響が広がった。

「日本経済新聞」より

香港、無許可デモ続く 空港入り口を封鎖

2019/9/1 18:49

香港の「逃亡犯条例」改正案に反発する無許可の抗議行動は1日も続いた。同日午後にはデモ隊が香港国際空港の入り口周辺を一時封鎖し、地下鉄やバスなどの交通網が混乱した。2日もストライキなどの活動が予定されており、事態の収束は見通せない。中国メディアはデモの制圧訓練をする人民武装警察部隊(武警)の映像を報じるなど、デモ隊へのけん制を繰り返している。

「日本経済新聞」より

それがかなり長きに渡っている。もちろん、この事は経済に対してさらなるダメージを与えることを避けられない。小売業にも大きな影響を出しているといわれている。

これから更に経済的影響がデモ側にも行政側にも重くのしかかるはずだ。

支那共産党も懐柔に

このブルームバーグのニュースをどう評価したら良いのかが悩ましいのだが、支那当局からも呼びかけがある様だ。

中国、香港に秋波「平和デモ認められている」-普通選挙の要求応じず

2019年9月3日 19:52 JST

中国政府は香港の抗議参加者らへの論調を和らげ、平和的なデモ集会は法の下で認められていると言明した。一方で、混乱の引き金となった直接民主制への要求は却下した。

3日北京での記者会見で、香港を担当する中国当局者らは、火炎瓶を投げるなどして警察と衝突する暴力的な抗議者と、平和的に市内を行進した一般の人々の区別を明確にした。また、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官への支持を表明し必要ならば緊急法を発動できると述べるとともに、経済支援も約束した。

「Bloomberg」より

支那共産党に「平和的なデモ周回は方の下で認められている」と言われても、寝言を言うなとしか思えないのだが、そんな寝言を支那当局者が臆面もなく口にしたらしい。そしてそもそもデモを容認したような発言ではあるが、裏側を見れば支那共産党が介入して暴力的な動きを加速させている実態がある。じゃあ何かと言えば、暴力的なデモを演出してすり潰すぞ、という脅しなのである。

そして、民主主義への道は完全にシャットアウトした模様。普通選挙などとんでもない、と。

さて、この発言は3日のものであるが、4日には条例改正案撤回を行っている。したがって、この先に行われる支那共産党の対応がどうなるのか、が見物であろう。

コメント

  1. マスメディア反乱軍 より:

    まだまだ非暴力な収束には道が険しそうですね。

    空港デモ・警察の催涙弾での応戦・怪しい白シャツ集団がデモ隊を襲う・メディアはより過激なシーンを求めて煽りがエスカレート...、支那も裏で工作しているのでしょう。

    アメリカ議会は香港に関する民主化法案(支那への制裁まで含む)を審議する様ですし、ペンス副大統領は支那の人権問題に正面から批判を準備、ポンペオ国務長官もウィグル弾圧を厳しく追及する構えの様です。
    欧州で一番支那ドップリだったドイツも遅ればせながら、メンケル首相が李克強首相に直接「香港市民の自由と権利」を求めたみたいです。

    自国利益優先しか考えていない大国のご都合主義で終わらない事を願っています。
    日本もそろそろ制裁を臭わす強いメッセージを発信すべきじゃないかな。

    それにしても、南朝鮮のデタラメな人権ゴリ押しには追従し、政府や異論はを攻撃する野党や、自称人権派弁護士&知識人は香港・台湾の自主権問題はもちろん、ウィグル・チベットのホロコーストに一切口をつぐんでいるのは絶対に許せませんね。
    僕が最も忌み嫌うダブルスタンダードそのものです。(怒!!)

    • 木霊 より:

      どこからが工作で、どこまでが工作では無いのかが分かりませんが、厄介ですね。
      香港ではアメリカにも訴えかけているようですが、アレは宜しく無い気がします。