トランプ氏、「デンマークを金で買うぞ!」とヒンシュクを買う

北米ニュース

トランプ氏が素っ頓狂なことを言って、デンマークから文句を言われたという構図で報道される事が多いようだが、そう簡単な話でも無いようだ。

トランプ氏、グリーンランド買収構想認める デンマーク首相「馬鹿馬鹿しい」

2019.08.19 Mon posted at 12:59 JST

ワシントン(CNN) 米国のトランプ大統領は18日、デンマークの自治領グリーンランドの買収に関心を持っていることを確認した。この構想についてデンマークのフレデリクセン首相は同日、「馬鹿げている」と一蹴した。

「CNN」より

引用はCNNだが、この話だけ読むとトランプ氏の頭が少々おかしいのでは無いか?というような感じで、デンマークの首相が呆れた様に感じるのだが、注意深く読むとちょっと違う様にも読める。

一方のトランプ大統領は訪問先のニュージャージー州で記者団に対し、「デンマークとは良好な同盟関係にある。我々は世界の大部分を守っているのと同じように、デンマークを守っている。そこでこの構想が浮上した」と述べ、「戦略的に興味深いので関心を持っている。だがもう少し話し合う」と説明。「最優先課題ではない」とも言い添えた。

「CNN」より

この部分は、デンマークの首相が発言した後の言い訳の様に読めるが、「我々は世界の大部分を守っているのと同じように、デンマークを守っている。」という辺りと、「戦略的に興味深いので関心を持っている。」という辺りを繋げると、違う様子が見えてくる。

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極地の覇権を争うアメリカと支那との思惑

世界最大の島

島と大陸の違いってなんだったけ?と思うほど大きな島がグリーンランドである。

メルカトル図法だと更におかしな縮尺になってしまうのだが、それにしても大きな面積を持つ島、それがグリーンランドで、しかし、地理的に大半が北極圏に含まれ、氷床と万年雪に覆われた大地であるため、居住できる地域は僅かだと言われている。

しかし、軍事的な意味でのグリーンランドの価値は非常に高いと言われている。

実際にアメリカに空軍基地が置かれていて、ソ連(現ロシア)とにらみ合っていた時代には、爆撃機や空中給油機などを複数配備し、1万人以上の要因を配備していた。しかし現在は縮小されて3000人程度の規模なんだそうな。

とはいえ、人が住むのには適さない場所に維持する基地である。それなりのコストがかかるはずなのだが、アメリカにとって未だこの規模を維持する軍事的価値があると、そういう事なんだろうね。

支那がグリーンランドを買収しようとしている

そんな要所なのだが、この土地を買収しているのが支那なのだ。

氷の島に打ち込まれたくさび 極地の覇権争う米中の思惑

2019年8月26日05時00分

北極圏にある世界最大の島グリーンランドを米国がデンマークから買収する――。こんな構想が米政権内で検討されていることが明らかになった。

~~略~~

 現実離れしたような構想を復活させたのは、北米に親中国家が誕生するかもしれないとの危機感だ。

「朝日新聞」より

この記事は会員限定で、一番読みたい部分が公開されていないのだが……、支那のマネーが随分とグリーンランドを浸食している事に触れられている。

中国にかすめ取られるよりマシなトランプ米大統領のグリーンランド買収計画

2019年8月25日 10:00

われわれがよく目にした世界地図は「メルカトル図法」で、点になるはずの北極点と南極点が無限大に広がるからグリーンランドはアフリカ大陸より大きくなる。アフリカよりはるかに小さいとはいえ、世界最大の島であることは間違いなく、日本の面積の5.73倍。そしてデンマーク領である。

~~略~~

 同島にはもう1つ重大な戦略的目標がある。

 「地球温暖化でグリーンランドの氷河が溶け始めており、北極航路ができれば北半球各国の利便性が高くなる。また地下に眠る大油田とレアアース鉱脈がある。日本の水産会社の駐在員も5名いますよ。しかし何といっても米国が恐れるのは中国です。以前からリゾート建設を打診してきているだけでなく、グリーンランドの住民投票では実に71%強が、デンマークからの独立を望んでいます。従って中国お得意のナショナリズムを刺激し、『借金の罠』に嵌められればグリーンランドは一晩で中国側に陥落です」(国際ジャーナリスト)

「exciteニュース」より

トランプはなぜ極寒のグリーンランドが欲しいのか

2019年8月19日(月)15時19分

報道によれば、ドナルド・トランプ米大統領はデンマークの自治領で世界最大の島であるグリーンランドを購入する案を検討していたという。

~~略~~

チューレ基地に設置したレーダーは周囲240度をカバーすることができ、大陸間弾道ミサイルや人工衛星を追尾するのに役立つ。中国もグリーンランドの戦略的利点を認識している。2016年には、グリーンランドにある古い基地を買収しようとしてデンマークに阻止された。デンマークの当局者はメディアに対し、阻止はアメリカの意を受けてのことだったと語っている。昨年も中国企業がチューレ基地近くに空港を建設しようとして失敗している。

「Newsweek」より

幾つかの記事が言及しているが、支那が軍事的拠点を北極に持つ為に、色々とデンマークに対する投資を行っており、グリーンランドの土地を買う、或いは開発にお金を出すような動きが見られている。

かつてはトルーマン氏も買収を画策

また、トランプ氏の妄言のような扱いをする新聞もあるが、この手の提案は、アメリカ政府内にはずっと前からある様で、かつては大統領であったトルーマン氏もグリーンランドの入手を考えた事があったようだ。

トランプ大統領「グリーンランド買収構想」の真意 米国の歴史で新しい発想ではない「買う」行為

2019.8.26

米国のドナルド・トランプ大統領は18日、デンマーク領グリーンランドの買収について、「政権内で協議している」と意欲を見せた。この買収構想について、デンマークのフレデリクセン首相は「ばかげている」と一蹴した。

~~略~~

実は、かつて同じことを提案した米国の大統領がいる。フランクリン・ルーズベルトの死を受けて副大統領から大統領に昇格したハリー・S・トルーマンだ。

 1946年、第二次世界大戦が終了して米ソ冷戦が始まるという時代に、「1億ドルでグリーンランドを譲ってくれないか」とデンマークに打診して拒否されたことがある。だから、新しい発想ではない。

「Zakzak」より

ただ、トルーマン氏の時代には、軍的拠点としての価値を見出していたようだが、トランプ氏は開発によって地下資源を得ようとしているという分析をしている記事が多い様だ。

何となく判で押したような内容なので、元記事は1つなのかも知れないな。

デンマークとグリーンランド

「赤毛のエイリーク」

ヨーロッパジンとして初めてグリーンランドに入植した人物として知られているのが、赤毛のエイリークことエイリーク・ソルヴァルズソンであったという。

氷に閉ざされた島にグリーランド(緑豊かな島)と名付けたのも、この赤毛のエイリークだったと伝えられており、彼が発見したアイスランド(氷の島)のネーミングによって人々が移住するのを拒んだ経験から、グリーンランドの方はこの様な名前になったとか。

いずれにせよ、ヴァイキングが活躍する時代の話で、赤毛のエイリークもまたノルウェーを殺人罪を問われて追われたが、追放期間に各地を探検し、その時に見つかった島がグリーンランドだと言われている。

……、赤毛のエイリークって、エイリーク1世とは別人なのね……。

グリーンランド独立運動

実は、先に発見されたアイスランドは、韓国ほどの大きさの島らしいのだが独立国家として国連に加盟している。

しかし、アイスランドの何十倍も広い領土を持つグリーンランドは、デンマークの領土と言う事になっている。そして、この地にも独立運動の動きはある様だ。

グリーンランドで独立目指す動き-中国資本活用計画が背景

2013年2月25日 14:54 JST

中国が鉱物資源への関心を示してい ることで、グリーンランドでデンマークからの独立を求める動きが広が っている。

グリーンランドは資源採取のため中国の労働力と中国の資本を活用 する計画だが、これにデンマークが反対している。3月12日のグリーン ランド議会選挙を控え、グリーンランドの第2党は先週、デンマークか らの分離を提案した。

「Bloomberg」より

……ここでも支那の関与か。

ろくなことをしないな、支那は。

ただ、このように支那に狙われる背景には、軍事的な価値以外にも、グリーンランドの経済力の弱さに問題がある。主要産業は漁業とその加工業なのだが、それが輸出の87%を占めると言うから、その経済規模はお察しである。

そんな中、グリーンランドの鉱物資源などが注目されており、ここを開発するという話が色々持ち上がっていて、そこに目を付けたのが支那なのである。グリーンランドはデンマーク本国からの多額の助成金でなんとか経済を支えているため、開発する為の金が無い。それ故、世界各地であったように支那からのマネーによって開発をしようという話はここでも持ち上がったのだ。

ただまあ、近年囁かれるチャイナリスクをそれなりには理解していたようで、こんなニュースが出てきて苦笑を禁じ得ない。

中国 「強い不満と抗議」表明 デンマーク高官がダライと会見

中国外交部の秦剛・報道官は30日、中国はデンマークの高官がダライと会見したことに「強い不満と抗議」を表明すると述べた。 秦報道官は、デンマークのラスムセン首相、ムラー外相が現地時間5月29日午後、コペンハーゲンでダライと個別に会ったと報じられているが、中国のコメントは、との質問に次のように答えた。

「中華人民共和国中日本大使館のサイト」より

これ、調べたら2009年頃の記事のようだ。デンマークと支那との貿易はそれなりの状況で、チベット問題を理解してか、2000年頃には首相がダライ・ラマ氏と会談しているようだ。

北欧にこれ以上親支那国が増えてもらっても困るのだが、デンマークがこの姿勢を未だに続けているとしたら、そこまで心配する必要は無いのかも知れない。

中国のパンダ、「星二」と「毛二」がデンマークに到着

2019年4月8日 17:33

中国のジャイアントパンダ「星二(シンアル、Xing Er)」と「毛二(マオアル、Mao Er)」を乗せた特別機が4日、デンマークの首都コペンハーゲンのカストラップ空港に無事到着し、空港で盛大な歓迎式典が行われた。

「AFP」より

……ダメかも。

ロシアも開発に乗り気なグリーンランド

もちろん、グリーンランドのことはロシアも狙っているようだ。

中国の北極グリーンランド進出に警戒 デンマーク駐日大使「国際規範順守を」 

2019.7.8

北欧デンマークのスベイネ駐日大使は8日までに産経新聞のインタビューに応じ、同国自治領グリーンランドがある北極圏の開発に中露など各国が積極的に乗り出していることへの警戒を怠るべきではないと訴えた。スベイネ氏は「緊張がないという見方はもはやできない」と述べた。

「産経新聞」より

デンマーク自身は経済状況はまずまずの状態らしいが、グリーンランド開発に積極的に手を出すことは考えていないようで、グリーンランド自身が開発を望むのであれば何処かから資金の調達を行う必要がある。

そんな中でアメリカを選ぶか支那を選ぶかロシアを選ぶか、で、グリーンランドの未来は大きく左右されることになるだろう。どこがマシか?と言われると、なかなか判断は難しい。

日本としてはアメリカが一番マシ、という事になるかも知れないが、世界にとってそれが望ましいか?というと、そうではない可能性も十分にある。アメリカも十分に危険な国だからね。

しかし、支那が北極海航路を手に入れたら、また色々な国が緊張することになるのかもしれない。北欧へのアクセスが容易になった暁には、ロシアと支那との関係もまた変わってくる可能性は高いだろう。

氷上のシルクロード構想

習近平氏は、どこまでもシルクロードが大好きなようで、去年だったか、こんなニュースが。

中国、「氷上のシルクロード」構想 北極の資源開発狙う

2018年1月27日05時00分

 中国政府は26日、北極政策をまとめた初の白書「中国の北極政策」を発表した。地球温暖化で氷がとけて開発がしやすくなり、北極の経済価値に注目が集まる中、天然資源や新航路の開発と利用を進める姿勢を打ち出した。習近平(シーチンピン)国家主席が推進する「一帯一路(シルクロード経済圏構想)」に絡め、北極航路を「氷上のシルクロード」としてロシアなどと協力して整備する構想も示した。
 北極圏には世界の石油や天然ガスの未確認埋蔵量の4分の1が眠るとされる。白書の発表は、利害当事国として国際社会にアピールする狙いがありそうだ。

「朝日新聞」より

ふーん、ロシアと協力して開発ねぇ。こりゃ、実現性は薄そうだけど、どうなんでしょうね。

それにしても、支那はその覇権をどこまで伸ばそうとしているのだろうか?

コメント

  1. 日本の中規模地方自治体にも及ばない、僅か6万人に満たない人口のグリーンランドがデンマーク領だとは、恥ずかしながらこのニュースで初めて知りました。
    それでも、トランプ大統領の発言がいつもの唐突な思い付きじゃないとは理解していましたけどね。

    しかも冷戦期にはアメリカ軍が1万人以上の駐留部隊を置いていたのですから、軍事的戦略の重要拠点だったのですね。
    そして、支那の悪意満々で邪な覇権戦略が及んでいるとは...、この流れで考えると一蹴されちゃったトランプ大統領の発言もあながち無理筋じゃない訳ですよね。

    >デンマーク自身は経済状況はまずまずの状態らしいが、グリーンランド開発に積極的に手を出すことは考えていないようで、グリーンランド自身が開発を望むのであれば何処かから資金の調達を行う必要がある。

    日本が過去どれだけグリーンランドに関与&支援してきたかは知りませんが、表面的には地下資源開発名目で今こそODEを使ってでも、積極的に関与してもいいと考え始めました。
    とりあえず、地下資源調査団を派遣し開発コストと将来の利益を見極める...、これから始めれば同じ王国の歴史的かつ強固な交流がある国家同士ですから、東西対決に余計な波風立てずに中間的な役割を果たせるんじゃないかな?

    • 興味深い話ではありますが、なにぶんデンマークの話はニュースに上る事が少ないので、ちょっと面白いかなと思って記事にしました。
      戦略的に重要な拠点となり得るのがグリーンランドなのですが、ご指摘の様に日本が出ていっても面白いですよね。

  2. グリーンランドの東隣にあるスピッツベルゲン島はノルウェー領ですが、ロシアはソ連時代から石炭の採掘権を持っており、治安はKGBが担っていたそうで、そうなると、いざというときには軍事基地にするつもりだったのでしょう。
     炭鉱が閉鎖された今でもロシア人の町がありますから、北極圏を勢力下に置こうと思ったらグリーンランドにも食指を伸ばしますよね。
     

    • ロシアとしてはこの話、面白くないでしょうねぇ。
      プーチン氏は激怒していると思いますよ。

      面白い展開だなーと、そんな風に思ってはいますが。