ウナギは何故いなくなったか?

政策

漁業の話が最近ぽつぽつと語られるようになったよね。

水産庁が漁獲規制を始めたというニュースはあったんだけど、日本の漁業はもう一度考え直すべきだと思うんだ。

新たな資源管理、まずサバなど4魚種 水産庁

2019/6/12 23:17

水産庁は12日、昨年成立した改正漁業法に基づいた新たな資源管理について、当面の実施方針を発表した。資源の回復が期待できるマサバとゴマサバ、資源状態が悪く対策が必要なスケソウダラとホッケの4魚種について、資源の現状と目標案を作成した。今後、漁業者や水産加工業者、消費者などを交えた会合を複数回開き、具体的な漁獲規制のやり方を詰める。

「日本経済新聞」より

ちょっと前の記事だけれども、日本政府が動き出し、水産庁も改正漁業法について取り扱い始めたニュースである。

ただ……、対象となる魚種は「スケソウダラ」「ホッケ」「マサバ」「ゴマサバ」の4種類だけだ。しかし、今や鮭もマスもカツオもマグロも、様々な魚達が漁獲量を落としている。

レッドリスト入りしたウナギ

それでもスーパーには出回る

環境省がウナギをレッドリストに登録したのが2013年のこと。

環境省は2013年、国際自然保護連合(IUCN)はその翌年、うなぎ店が一般的に扱っているニホンウナギを絶滅危惧ⅠB類としてレッドリストに掲載した。養殖に用いる天然の稚魚「シラスウナギ」は捕獲量が安定せず、価格高騰が続く。7月の需要期には絶滅の恐れと共に紹介されるウナギだが、供給過多による「うなぎ余り」も報じられている。ウナギを巡る不透明な流通経路、海流の変化などさまざまな要因が絡んで「不漁」、「絶滅」がさけばれている側面もある。

「Nagano Nippo Web」より

遅すぎる決断だが、ウナギの漁獲量はスゴイ勢いで減少した。

諏訪湖漁業協同組合によると、30年代後半に3~4トン近くあったウナギの漁獲量は40年代に入ると、1トンを割り込んで数百キロの水準となり、50年代以降は数十キロほどに落ち込む。昨年度の取扱量は58キロだった。

「Nagano Nippo Web」より

これは琵琶湖だけの話ではあるが、世界的に見ても問題になっているようだ。

イギリスでも乱獲

そして世界的にウナギを食べる文化がある所は日本とイギリスくらいである。

スーツケースに10万匹つめて密売、広がるウナギの違法取引

2019年7月9日 18:36

 英国の河川を泳いでいる稚魚のシラスウナギは、不透明な違法取引の中心にいる。非常に需要の高いヨーロッパウナギに成長する。  取引はフランスとスペインに集中する一方で、英国の密輸業者も合法的な市場の価格を大きく上回る額を提示している。  ウナギの保護団体「サステイナブル・イール・グループ」のアンドリュー・カー氏は、「最大10万匹のシラスウナギをスーツケースに入れられる。1匹1ユーロ(約122円)とすれば、スーツケース1つで約1220万円になる。そして到着先の中国で育て、1年後には約1億2200万円相当になる」と説明した。

「exciteニュース」より

支那で輸入して育てて、どこに輸出されるかというと日本である。

こんな感じのウナギが、今やレッドリスト入りだ。日本が食べ、支那や韓国でも食べられるようになったのは最近の話。

ここまで乱獲されなければ減る事はなかったといわれているのだが……、数年前の記事にこんな話が。

護岸工事はウナギを滅ぼす

日本のウナギが特に減った背景には、護岸工事の影響があると言われる。

ウナギ、コンクリート護岸増えると漁獲減 東大調査

2014/4/16付

岸辺をコンクリートで固める護岸などをした割合が高い河川や湖沼ほど、ニホンウナギの漁獲量の減少が激しいとの解析結果を、東京大大気海洋研究所などのグループが16日までにまとめた。グループの東大大学院新領域創成科学研究科の板倉光さんは「ウナギの隠れ場所や餌が減り、生息環境が悪化したのだろう」としている。

グループは、日本の主要なウナギ漁場だった9カ所の湖沼と18河川を対象に、環境省などのデータから護岸工事などで失われた自然の岸辺の割合(護岸率)とウナギ漁獲量の推移との関連を調べた。

漁獲量は1960年以降、ほぼ全ての漁場で減少傾向にあり、護岸率が高いほど減り方が激しい傾向があった。18河川中、護岸率が61%と最も高かった球磨川(熊本県)は漁獲量の減少率が毎年平均14.7%と最も激しく、2位(護岸率45%)の緑川(熊本県)が減少率も2位(年11.7%)。護岸率が5%と最も低い四万十川(高知県)は、減少率が年1.3%と最低だった。

「日本経済新聞」より

日本の治水工事は、護岸をコンクリートで固めるやり方が主流だが、こうした護岸工事のおかげで多くの生き物たちが困った事になった。

ニホンウナギもその犠牲者だという記事である。

2月1日 ニホンウナギ、絶滅危惧種に指定

2019/1/31付

2013年2月1日、環境省は絶滅のおそれがある野生生物の状況をまとめた「レッドリスト」を公表し、ニホンウナギを新たに絶滅危惧種に指定した。記録的な不漁が続いているためだ。14年には国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に指定した。

ニホンウナギは太平洋のマリアナ海溝近くで産卵し、稚魚が黒潮に乗って日本付近へやってくる。

「日本経済新聞」より

ただ、このマリアナ海溝近くで産卵して日本に戻ってくると言う話は、ウナギの不漁と直鉄的な因果関係とまでは言えない。

何故かというと、どうもチガウらしいという話も出ているのだ。

【クローズアップ科学】不漁が続くニホンウナギ 稚魚到来に風が影響、進む生態解明

2018.6.3 10:00

 ニホンウナギの不漁が続いている。今年の原因は稚魚の「シラスウナギ」が減ったからではなく、日本沿岸を訪れる時期がずれ込んだためらしい。最近の研究で稚魚が生まれる場所や、回遊ルートに及ぼす風の影響などが判明し、謎だった生態の一部が見えてきた。

「産経新聞」より

稚魚の到来の時期がずれているというデータも出てきたからだ。

もちろん、支那や台湾の乱獲や日本での乱獲なども大きく影響はしていると思うが、それとは別な気候的要因が影響している可能性が示唆されているという話。

防潮堤や護岸工事は悪か?

さて、そうした話を踏まえた上で、昨今の自然災害のこともあって、なかなか批難しにくい面もある。

【動画あり】関空護岸かさ上げ工事を公開 台風被害受け

2019.7.10 21:00

関西国際空港を運営する関西エアポートは10日、昨年9月の台風21号による関空の浸水被害を受けて実施中の1期島の護岸かさ上げ工事を報道陣に公開した。災害対策のうち最も緊急性が高いとして5月から本格着工しており、令和2年度末に完了予定。

「産経新聞」より

関空の護岸工事は、ウナギには関係無い話ではあるが、こうした護岸工事は日本全国津々浦々、海岸線を埋め尽くすように行われていて、川岸もほぼコンクリートで固められている惨状である。

そうなってくると、水害には強いかもしれないがいっぽうでウナギの稚魚が育つ環境が失われる事になって、結果的に鰻の漁獲量の減少に繋がってしまうと言われる。

それが悪いことなのかというと、なかなか難しいトコロではあるが、護岸工事によって山からの地下水の流入が規制されたり、その結果、栄養分が流れ込まなくなったりと、環境面に大きな影響があるのも事実だ。

日本近海が世界希に見る漁場である理由の1つとして、急峻な河川によって山の恵みが海に運ばれる構造にある事が関係しているとも言われており、そうした事を勘案すると、今の漁業の不漁は日本の治水工事の影響ということも考えねばならないのだろう。

ウナギを救うために人の命が救えなくなるでは本末転倒ではあるが……、東北大震災の影響で福島第1原発が壊れ、その周囲の海で捕れる魚は「食べられない」って事になった。トコロが、数年が経った今、魚種の豊富な漁場になっているというのだから、何という皮肉な話だろうと考えてしまう。

今や、日本の食卓に魚が載らなくなってしまったが、日本人の貴重な栄養源として珍重されてきた魚が食べられなくなることは即ち、日本文化の一部が失われる事でもある。

何を優先するのか?という話にもなるが、国家百年の計、という事を考えると、ウナギの話はそうしたテストケースになるんじゃ無いだろうか。

まだまだ分からない事は多いんだけどさ。

コメント

  1. 河太郎 より:

    まぁ里山保護とかしているので、場所によりビオトープなどを設置して、魚の棲みかを造るは賛成なのですけど。
    でも水害の事を考えると……。
    山からの成分が海へ運ばれるのは木霊様の言う通りですが、その部分は護岸工事よりも「杉だらけ」の植林に問題はあると思います。
    杉の山って斜面を登山道を使わずに歩いてみると解るのですが。
    「死んだ森」ですよ。鳥や獣どころか虫や昆虫もいない。しかも根が浅くて
    保水力に乏しく、簡単に山津波を起こす。で流された流木がダムを作り、それが豪雨で決壊して鉄砲水を作る。
    かつてこだま様の記事の写真観ると、破壊された橋も、剥げた山も杉檜だらけではないですか?
    で、杉檜の森は動物や昆虫を養わないので、海へ出す自然成分も足らない!
    奥多摩とか歩くと、露骨に熊が出てくる斜面は広葉樹の斜面で、杉の斜面側からは現れないもの。
    じゃあ杉は悪なのか?
    というと日本の山野での緑地率を高めているのは杉なんですね。
    パヨク系の自然保護運動は、江戸時代を勝手にリサイクル社会とかしてませけど、そりゃストームパンク並の幻想なんすね。だって薪と炭しかない社会が250年を続いたのだもの。明治維新辺りでは日本中が燃料にされて禿げ山だらけでした(笑)
    それを埋めてきたのは林業による杉の植林なのですね。
    自然の話はパヨク系の保護運動みたく、「どっちが善悪」を決めて語るても意味がない!のですね。
    私ゃ日本会議系のトラスト運動ですので、最初に善悪を決めて自然を語る事の無意味さを少しは知ってるつもりです。しかし……鰻美味いですね(笑)
    食いつくしてしまうのも食いしん坊の私には解る。困ったもんです😓

    • 木霊 より:

      今回の記事は海洋生物に関する視点で話を整理したので、ご指摘の様な里山保護の観点からすると物足りない話になっちゃっていますよね。
      その辺りをもう少し丁寧に書けたら良かったと思います。

      さておき、杉山ってたしかに面白くないんですよね。
      中を歩いても歩きやすいのですが、小動物や昆虫が寄りつきにくいらしく、ひたすら真っ直ぐな杉の木が林立しているだけという……。
      保水力の話も、歩いてみると地面が浮いている感じがして、どうにも宜しく無い。
      杉や桧は建築資材としては優秀ですから、日本は長い期間をかけて山を改造してきたのでしょうけれど、昔はそれとは別に鎮守の森という存在を大切にしてきた様に思います。
      あっちもこっちも大切にする必要があったハズなのに、人の手が入らない山は荒れてしまいました。
      自然保護なんてキレイゴトを言いますが、なかなか人間の思うようには、自然を作ってはいけないのですから、烏滸がましい話なのかも知れません。
      いえ、里山保護の活動をされている方々を否定する積もりは毛頭ありません。事実、僕も機会があれば里山保護の活動をしている方々のイベントに参加しておりまして、それはそれで楽しめますし、何より人間が自然に触れ合うという機会を作る事こそが大切なのだと思っています。
      大規模に何か変えると、その影響を予測できないのが人間の限界だと言うことでしょう。
      これは「良い」とか「悪い」とか直ぐには判断出来ないことですから、どうしようもありませんね。

      今回の記事は、こういう視点もあるよという問題提起の積もりで書きました。

      • 河太郎 より:

        いや…なーも木霊様を責めてませんけれど。俺は木霊様信者の一人でして。そこは疑わないで欲しいです😭
        地球温暖化だって、本当にそうなのかは議論の余地がありませよね?
        科学ってな再現性を理論と実験で追及してゆくもので。
        現時点での断定は非科学的であると思うております。
        だだ……木霊様なら御理解をいただけると思うてますが。
        「善悪」という人間の基準を自然科学に持ち込むのは「危険」だと思うのですよ。

      • 木霊 より:

        そうですね、「善悪」を判断基準に持ってくると、自然科学にかかわらず危険であるように思いますよ。
        「良い」「悪い」というのは、そういう意味ではなく、例えば堤防を作ったら自然にどんな影響が出てくるか、良かったのか、悪かったのかという判断は難しいという趣旨で言及いたしました。言葉足らずでしたね。
        ロングスパンでしか判断出来ないことが多いので、仕方が無いと思います。

  2. とくめい より:

    結局のところ、餌になる微生物や小魚の生存環境をいかに確保するか、が問題なんですよね。
    別にウナギが目的ではないですが、環境改善に人工干潟などを作ってというのもあります。

    ttps://withnews.jp/article/f0141106001qqf2140922001qqF0W00c0401qq000011070A

    今でもやってるか知りませんが、某アイドル(?)がTVの企画で人工海岸作ってどうこうやってるのもありましたね。
    まぁ、全体では微々たるものではありますが。
    各種対策で多摩川にアユが戻ってきてたりと、保全に向けた動きはあるのですよね。
    この辺は国はしっかり地方に助成をしてもらいたい分野ではあります。
    鰻とマグロは完全養殖の実現に期待ですw

    • 木霊 より:

      色々やってみるしかないよ、という話に繋がるのだと思います。
      ご紹介頂いた記事はなかなか興味深く読ませて頂きました。

      何にどれだけの資金を費やすのか?というのは難しいところですが……。

  3. マスメディア反乱軍 より:

    河太郎さんの生々しい実地体験の国土疲弊のレポートにもある様に、心配すべき重要なイシューですよね。

    根が浅く山津波の土壌でもある杉類が山の生態に関与し大いなる恵みを妨げ、しいては海への栄養素となる恩寵を阻害しているというご指摘は当たっていると思いますし、根の浅いが故の近年の豪雨災害で厄介な事案というのも判ります。(とはいえ、日本建築には欠かせない重要な素材なんですが、その需給バランスを問う考察はほとんど見かけません)

    そして、特に自国国民の欲求と腹を満たす為に始まった支那の乱獲が懸念される、サバ・マグロなどの日本文化に直結する水産物資源については特に憂慮しています。

    国土保全=強靭化を目的とした護岸工事と、鰻を代表とする天然資源の相互存続は、単純なトレードオフ理論では解決不可能じゃないかな?

    僕は年に一回(旅先なんかでいい店があったら食べるくらい)、習慣で土用の丑の日にほとんど無思考で(苦笑)、母が予約した国産鰻を食べるだけ特に執着はないのですが、それでも最近は特に贅沢な素材だなァ~って、「無理に食べなくていいんじゃね?」と、元々動物性蛋白質をあまり好まない自分の食嗜好とを比較すると思っちゃいます。

    僕は普段は「一膳一采一汁」で十分な体質なんで。-夏場は超簡単なトコロテンを好んで食します(苦笑)-

    • 河太郎 より:

      マスメディア反乱軍様へ。
      あるけむ様と御同様に厄介事に巻き込みすみません。
      (でもトールキンの話は他読者諸兄に迷惑と思いながら、書かずにはあられなかったのですよ。
      リアリストの貴殿が俺と同じ趣味を持つとは驚愕でした)
      確かに杉は厄介な樹木です。
      それは狩猟を辞めて花と小鳥と猫と犬の撮影&クワガタ採集に特化した今でも変わりません。
      活断層調査で一緒したアウトドア人も言ってるです。
      ただ……その杉植林が、国土の山の荒廃に「人の関与」を示してきたのも事実であります。
      いらんな闇を抱えますが、明治政府の植林が、朝鮮半島のような「荒廃」を拒んできたのも事実です。
      キムチのように「過去」にまで波及して、その時の都合で断罪するような事を我が祖国はしません!!
      それが先進国としては当たり前な判断であり、祖国が自由な国である証拠であります!
      だから里山保護運動の者としても、杉の植林を「一方的」に断じない。
      パヨク系は解ってくれないが(嘆き)
      彼らは最初に「結論ありき」なのですね。そこから遡り理論を出す。
      でも、そーいう「結論ありき」では「自然」は相手を出来ないのですよ!
      これは医業者として、人体という「自然」に対峙して飯を食ってきた者としての感慨です。
      木霊様も賛成して下さると思いますが、そもそも「自然科学」とは自由なものであり、決して「自分達の政治的都合」で左右されてはいけないと私は思うています。

      • マスメディア反乱軍 より:

        河太郎さん、木霊さんにはイシュー外れで申訳ないのですが、脱線ついでとご容赦頂き、J・R・R・トールキンの世界でもう少し思考を刺激して遊びましょう。(微笑)

        まず、トールキンがこの物語を書き始めたのは本来の仕事である「言語学者」としての、強烈な言語&文化&歴史への興味と、「イギリスには本当の神話がない、自分の子供たちにワクワクする物語を伝えたい」という動機が発端の様です。
        言語学者なのでルーン文字や古代の伝・文化説に引かれたのは当然で、例えばメインキャラの「ガンダルフ」はトールキンが創作したエルフ語では「ミスランディア」、西国神の領域では「オローリン」という具合で、言語学者の面目躍如でしょう。

        僕は「The Lord of the Rings(追補版を含め全7巻)」・重要な前段である「The Hobbit, or There and Back Again」、そして没後に息子さんによって編纂された「The Silmarillion」・「Unfinished Tales」を、自分の状況に合わせて知恵を得る為に何度も繰り返し読み返してきました。

        何故、そこまでこの物語に魅了され続けるのか...、その理由は「The Silmarillion」の短い序章である「創作の神話の原点=Ainulinda」にあるからです。
        全能の神で地球の創造者であるエル・イルーヴァタールは、最初に絶対的な創造力を持つ神々アイヌアをアルダ(地球ですね)に降臨する事を許しました。
        14人のアイヌアの内最も力の強かったのが「メルコール=後のモルゴス」、しかし彼はエルと他のアイヌアへの「音楽の共聴に嫉妬」を抱き、その後の混沌の破滅的世界へ導きます。(第3紀の悲劇はモルゴスの僕であったサウロンの仕業に過ぎないって事)

        この「嫉妬=妬み」こそが、古来はもちろん今も続く悲惨な現実...(現代世界そのもの)、人間の持つ「宿命的な性」の根っこじゃないかという思いを持ち続けています。

        一番著名な「The Lord of the Rings」は第三紀の物語ですが、第二紀に永遠の命という恩寵を授かったエルフ達でさえ、「破壊神=モルゴスの狡猾な讒言」で同族殺しに走り、それ以後襲う悲劇と分裂と破滅、ヌーメノール(神の第二子たる人間)の恩寵も、最後は神の怒りを買い水没してしまい栄華を一瞬で失なう悲劇的な物語。

        第3紀の大決戦で勝利したのに、指輪の誘惑に負け厄災を後世に残したイシルドゥア(メイン・キャラのアラゴルンの始祖)の惨劇は、Unfinished Talesの一章「あやめ野の凶事」で語られています。
        そして、The Silmarillionで最も重要な章「力の指輪と第三紀の事」で、ガンダルフによって短く語られ、「この世には、予想外の偶然というのはよくある事じゃし、賢者達がたじろぐ時に、助けはしばしば弱き者の手からもたらされる事もあるのじゃ。」、とホビットによる救世を希望的に予言されています。
        他にも「ゴラム=スメアゴルを無闇に憎み殺してはならない、彼も何らかの役目を背負ってこの世に存在しているかもしれないから。」とか、大胆な予感を感じる示唆に富んだ言葉がたくさんあります。

        僕はこの物語を読み返し学び思考のバランスを考えるのは、人に常軌を失わせ狂わせる感情の根源は「妬み」であり、様々な争そい事を招く原因だと考えているからです。(個人間でも妬みを起因とする騒動は、頻繁に起きますからね)

        「足るを知る」・「貧乏とはより欲しがる気持ちを制御できない、そんな人間になってはダメだ。」、という日本人の美徳と教訓の数々、そして僕が3000年前の傑出した政治家として、今でも尊敬し興味を持ち続ける真のリベラリストと思うペリクレスの、強く魅了し続ける言葉を大切にしています。

        >われわれは、美を愛する。だが、節度をもって。
        >われわれは、知を尊ぶ。しかし、溺れることなしに。
        >われわれは、富を追求する。
        >だがこれも、可能性を保持するためであって、愚かにも自慢するためではない。
        >アテネでは、貧しいことは恥ではない。
        >だが、貧しさから脱出しようと努めないことは、恥とされる。

        P.S.
        G・ルーカス氏は絶対にJ・R・R・トールキンの影響を強く受け、僕がこよなく愛する名作「Star Wars-Saga-」を構想したと思っています。
        トールキンの世界を宇宙で映像化する大胆かつ魅力的なチャレンジに、僕はその真摯なオマージュと作品のストリー&完成度に魅了され続けています。(微笑)

        ガンダムについては別稿で書きますね。

      • マスメディア反乱軍 より:

        ガンダムについてP.S.です。

        実は僕は一連のストーリーに関しては完全に無知です。(苦笑)
        プラモオタクの僕が長男の幼少期にガンプラを作って以来、長男は完全にその世界に嵌ってしまい、今ではガンプラは元よりストーリーに嵌ってかなり優秀なオタク化しちゃいました。(最近は義理の娘にも苦言を言われる始末ー苦笑-)

        ただ、純粋なプラモマニアの僕としてはガンプラの完成度は魅力的で(ほぼ塗装の必要なし)、息子に譲ってもらったキッやト(恐ろしい事に血を引いているのでしょう、息子も同じキットを必ず二つ買います)、ヨドバシで手軽に買える定番キットなんかを作って愉しんでいます。

        河太郎さんに申訳ないのですが、単純なプラモマニアの僕にとっては「超カッコいい!!」って、そんなノリでしかないんですよね。

    • 木霊 より:

      なかなか難しい問題なので、何が良かったのかは、トライアンドエラーで進んでいくしか無いと思います。
      一時期、「環境ホルモン」等と言う言葉が世間を賑わせましたが、あれ、何処かに消えてしまいました。
      どうやら、「環境ホルモンは見つからなかった」という結果が出てしまい、研究者が「検出できないレベルで存在するんだ!」と強弁してしまったことで、シラけてしまったようなのです。
      実際に、内分泌攪乱は起こりうるので、別の減少として確認される可能性はあるのですが、一時期報道を騒がせていたような、「オスがメスになる」という話は、未だに実証されていないとのこと。
      科学とはそんなものなのです。

      • 河太郎 より:

        科学がそのような限界はあれども、私たちはファンタジーでなく、科学的に考え続ける必要があります。
        でなければ、ムンムンやオウムと代わりはりません!
        私がクリスチャンから神道へ帰依したのは!それが自然と人の接点において、最も合理的な帰結と信じたからです。

  4. 河太郎 より:

    マスメディア反乱軍様。
    仰る事は解ります。欧州の古代言語ですが、例えばルーン文字はラテン文字に対応した表音文字ですが、漢字のような表意思文字でもあります。
    「ラド」は「R」に対応しますが、
    「旅」「移動」を表す表意文字でもおります。
    つまり…ヨーロッパ文明は新石器時代後期から青銅器時代にドルメンを立てた人々の文化をマザーボードにして、
    上にギリシャ・ローマ、キリスト教文明が乗っています。これは縄文をマザーボードに弥生、シナ文明、日本文化、西洋文明が乗っている日本の社会構造に似ています。
    トールキンは言語学者として、その辺に気づいていたのでしょう。ま、こるは古代ゲルマン語の研究者である実兄の受け売りですが。

    ガンプラは愛国産業ですね。
    あの多数のパーツを接着剤なしに組み合わせるのは、高度な金型技術抜きには成立しませんよ!!
    しかもパーツの整合性が高いんです。
    金型技術は全ての工業生産の基礎です。それが20世紀末から流出して危ぶまれてきました。
    ガンプラはその高度な金型技術を日本に残しており、まさに愛国産業であると思います。

    • 河太郎 より:

      ガンダムとガンプラをリスペクトなされる方なら、ガンプラが極めて優れた金型技術の産物であり、
      それが祖国の金型技術を高め、保存して下さるかを御理解頂けると思うのですよ!
      だいたい、スターウォーズがフランスの黄色いベスト運動に関与します?
      でも従妹の旦那のエンジニアと同僚は、あえてジオン公国のエンブレムを提示する事で、洗剤(毛糸洗いに自信が持てます♪)に反旗を翻したのですよ!
      ガンダムは不滅です!!
      あるけむ様とオタクを自認する読者諸兄には謝罪します。
      私が間違えていました。
      ごめんなさい!!

  5. 河太郎 より:

    とくめい様。
    貴殿は嘘をつきませんでした。
    休みで大人借りをしてきたDVDを反吐が出るほどに観賞してますが、
    ブライトは真摯な旧人類かと(涙)
    コアなガンダムフアンの方には不満もありましょうが!
    そもそも1兵士からの戦争への視点こそが、ハインラインの「宇宙の戦士」に負けないガンダムの強味と思います。ブライトには一人の男として涙するものがあります。でも、ぶっ続けで観賞さてきて疲れました(笑)

    • 河太郎 より:

      とくめい様。
      でも……この個人の志や意志が、政治に翻弄され、でも戦わざる得ないドラマには、祖国の「平家物語」や「太平記」……シナの「三國志」に似た辛い空虚さがありますね?
      架空たろがリアルだろが、人の営みや歴史とはそんなもんなのか?
      なんにせよ、架空だろうが宇宙世紀の歴史を学ぶ機会を下さるた事に感謝をいたします。
      まだ終わってないし、続けるつもりでせけれどもね。ー

      • 河太郎 より:

        とくめい様。
        祖国の「平家物語」「太平記」
        そしてシナの「水滸伝」「封神演技」「三國志」には一つの共通点が視聴したガンダム作品との共存します。
        それはさ……
        英雄、一般市民を関わらず、
        多くの小さな流れが、やがて集まり大河に流れてゆく。
        そして大河の流れも、海に出でて波間の遥かに消えて行く。
        個人としては悲しい。
        だけれども宇宙世紀も現実の歴史も似たようなものかと。
        全て歴史の流れは個人の意思を越えて、やがては海の彼方へ消えて行くのかと。
        今後も私のライフワークであるシナ史と共にガンダム宇宙世紀を追うつもりですが、
        24時間に渡る視聴において、
        フィクションもリアルの歴史も空虚な事は変わらない……
        というのが正直な感想です。