在韓米軍撤退は加速する

北朝鮮

先日、トランプ氏は韓国へ赴き、何故か北朝鮮の金正恩氏と会談を果たした。

北朝鮮メディア「前例のない信頼…」 米朝会談の成果強調

2019年7月1日 8時33分

北朝鮮の国営メディアは、30日に行われたキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長とアメリカのトランプ大統領による3回目の首脳会談について1日朝初めて伝え、「憎しみあってきた両国の間に、前例のない信頼を作り出した驚くべき出来事となった」と成果を強調しました。

「NHKニュース」より

実質的な交渉内容の進展は無かったが、「絵」としては大きなインパクトはあったと思う。そういう意味ではトランプ外交の真骨頂と言えるのかも知れない。

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38度線を越えてみせるパフォーマンス

金正恩氏も大喜び

一説によるとトランプ氏がtwitterで呼び出した、と言われるくらい唐突な話だった。このため、報道機関には情報が共有されておらず、怒号が飛び交ったとも言われる。

一方、労働新聞は「両国の首脳は会談の結果に非常に満足した」としたうえで、トランプ大統領からツイッターで急きょ会談を呼びかけられたことについて、「キム委員長は、トランプ大統領とのすばらしい親密な関係があったため僅か一日で劇的な出会いを成し遂げることができたと述べた」と伝え、両首脳の良好な関係をアピールしています。

さらに今回の会談の意義について「根深い敵対国家として憎しみあってきた両国の間に、前例のない信頼を作り出した出した驚くべき出来事となった」と成果を強調しています。

「NHKニュース」より

労働新聞としてはなかなか刺激的な文言を並べているが、窮地にあったといわれる金正恩氏にとっては「渡りに船」とも言える出来事だったに違いない。

この出来事について、「史上初が好きな素人外交のトランプ氏を手玉にとった北朝鮮の技あり外交」と手放しで褒めるメディアもあるのだが、果たしてそうなのだろうか?

米国内で失笑されている「歴史的第3回米朝会談」

2019.7.2(火)

史上初」が大好きなトランプ素人外交の限界

 ドナルド・トランプ大統領が現職米大統領としては史上初めて南北朝鮮の軍事境界線(DMZ)を越えた。

 当初は握手だけをする「面会」だったはずが第3回米朝首脳会談に発展、会談時間も50分間に及んだ。

 しかし成果といえば、ハノイ会談以降、停滞していた非核化交渉の再開に合意したことだけだった。

「JBpress」より

ああ、なんだ、JBpressか、と思ったそこの貴方!記事を読めば、それなりの分析がなされていることは分かる。この記事ではこの会談について中身が無かったことと、次のアメリカ大統領選挙にはこの会談はプラスに働かないだろうと分析している。

それはその通りだと思う。

しかし、ここでトランプ氏が目指したのはまさに絵作りであり、交渉を進める事では無かったと思う。そして、北朝鮮に対して恩を売ることこそが、トランプ氏の目指したところだろう。

調子に乗ってしまうムン君

ところで、蚊帳の外にいたムン君だが、これを政治利用することに決めたようだ。

韓国ムン大統領 「米朝が事実上の敵対関係の終息を宣言」

2019年7月2日 15時35分

韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領は、30日、南北の軍事境界線で行われた3回目の米朝首脳会談について、「南北に続いて米朝も、事実上の敵対関係の終息を宣言したと言える」と意義を強調し、米朝協議の進展に期待を示しました。

「NHKニュース」より

最近のNHKはどこを目指しているのか?という気がして仕方が無いが、それはさておき、このニュースで重要な点は、自分の得点でもないのにホルホルしてみせるムン君の姿勢と、最後の部分である。

そして「その意味を振り返りながら対話の土台を作り上げるならば、必ず立派な結果につながると信じる」と述べ、今月半ばにも再開される可能性がある米朝協議の進展に期待を示しました。

さらにムン大統領は、南北が共同で運営してきたものの操業が中断しているケソン(開城)工業団地を非武装地帯から見渡したトランプ大統領に対し、経済と安全保障に与えてきた「肯定的な効果」について説明したと明らかにしました。

これは、経済協力をはじめ南北の合意を進めたいムン政権として、アメリカに対し、制裁緩和への理解を促したものと見られます。

「NHKニュース」より

どこまで前のめりになっているのか、とため息をつきたくなる。

しかし、韓国にとって、というよりムン君にとっては北朝鮮との融和政策こそ、自らの政権の目指す道であると信じて疑わないし、その効果は韓国では現れていると言って良い。

文大統領の支持率52.4%…7カ月ぶりに最高値

2019年07月04日11時49分

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率が50%台を回復し、7カ月ぶりに最高値を記録したという世論調査の結果が4日、出てきた。

調査機関リアルメーターがtbsの依頼で今月1~3日に全国有権者1506人を対象に調査を実施した結果(信頼水準95%に標本誤差±2.5%ポイント)によると、文大統領の国政遂行に対する肯定評価は先週に比べて4.5%ポイント上昇した52.4%となった。

「中央日報」より

一体、どこに支持率が上がる要因があったのかは日本人の僕には理解出来ないのだが、記事では米朝韓首脳会談の成果だと分析している。……蚊帳の外だったよね!?

米朝首脳会談の着地点

金正恩氏の辛い決断

さて、米朝首脳会談は電撃的に行われたが、では実務者レベルでの話はどれだけ進んでいるのだろうか?

北朝鮮、アメリカは「制裁に取りつかれている」

2019年7月4日

北朝鮮の国連代表部は3日、アメリカが先月、国連加盟国に対し、北朝鮮労働者を送り返すよう求めていたとして、「敵対行為に躍起になっている」と非難した。両国はこのわずか3日前、韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線のある板門店で、電撃的な3回目の首脳会談を行ない、数週間以内に非核化をめぐる実務者協議を再開することで合意していた。

北朝鮮国連代表部はこの日、アメリカは「制裁に取りつかれている」との声明を発表。朝鮮半島の「平和的ムードを台無しに」しようとしていると非難した。

「WEDGE Infinity」より

米朝首脳会談をテコに、一気に攻め込もうというのが北朝鮮側の戦略らしく、なかなか興味深い。

報道によると、6月29日付のこの共同書簡は、国連加盟国に対し、北朝鮮労働者を本国に送還するよう呼びかけている。

北朝鮮は声明で、「この共同書簡ゲームは(中略)トランプ大統領が首脳会談を提案したのとまったく同じ日に配布された。このことは見過ごせない。アメリカが実質的に、我が国への敵対行為にますます躍起になっている現実を示すものだ」と主張した。

「すべての国連加盟国は、朝鮮半島で作られた平和的ムードを台無しにしようとする、アメリカの企てを警戒し続けなくてはならない」

さらに、アメリカが経済制裁を「すべての問題の万能薬」だと考えていることは「かなりばかげている」と付け加えた。

「WEDGE Infinity」より

アメリカへのこのような北朝鮮の主張は、かなり正鵠を射ている。

結局、北朝鮮が会談で得られたものは金正恩氏にとっての「安心感」だけしかなく、議論は何も前に進んでは無い。多分、金正恩氏にとってもその結果は予想して然るべきものだったと推測されただろう。それでも、トランプ氏と「あわない」という選択肢はなかったのだ。

アメリカと北朝鮮との妥協点

さて、そんな訳なのだが、トランプ氏は北朝鮮の問題をなるべく早く解決したいという意思はあると思う一方で、早く解決したところで特に得るべきものが無いのも事実だ。朝鮮半島の非核化の先には在韓米軍撤退がある。トランプ氏にとってはそこまで行き着かねば「成功」とは言えないのだ。

そして、朝鮮半島からの米軍撤退はアメリカにとってもメリットの方が大きいワケで、今回の会談ではその辺りの落とし所を探る意向はあったと思う。その結果がどうだったかまでは今のところ分からないが。

ただ、そうなったときに果たして韓国にはメリットがあるのだろうか?

ムン君のバラ色構想では、高麗連邦の樹立を目指したいのだろうから、ムン君としても在韓米軍撤退は望むところなのだろう。だが、韓国としてはそれが望ましいか?という話となると、ちょっと怪しい。

日本に核保有迫る狙いの第3回米朝会談 THAAD無効化で在韓米軍撤退へ、トランプ大統領が大決断

2019年07月03日 07時00分

 G20の余熱が冷めやらないなか、6月30日突如、板門店での3回目の米朝首脳会談が実現した。韓国の文在寅大統領も交え、実質的には米朝韓3国首脳会談ともなった。

~~略~~

 世界一の大国の大統領が、人権無視の独裁者と会えて、「光栄」と表明するのは卑屈すぎるようにも見える。

 発言の裏には、THAAD問題に端を発した在韓米軍撤退への布石といった、極めて重大な戦略的狙いがこめられていたと見るべきであろう。

「JBpress」より

本当のところはどうなんですかねぇ。

ただ、アメリカも北朝鮮も、或いは支那までも朝鮮半島からの在韓米軍撤退という選択肢は「望ましい」と考えているようで、日本としては困る部分もあるのだけれども、そもそも在韓米軍の存在は半島有事に対応する為に駐留しているわけで。

つまり、アメリカと北朝鮮との間で手打ちがなされると、もはや在韓米軍が朝鮮半島に駐留する意味は無いということになる。

韓国はそれで良いのです?

気になるところだ。少なくとも、自前の軍で北朝鮮と戦うなんてことは難しそうなので、自発的に北朝鮮の一部になろうとしているムン君の選択を、韓国人が歓迎できるか否か、ということだろう。

日本は既に在韓米軍撤退が数年以内に実施されるという前提で戦略を立て直すことをオススメする。

コメント

  1. まり より:

    前日の深夜10時から未明に掛け
    長安中心部から70基、東西に
    掛け120基のサムスン、現代、
    キアの広告搭が事前通告無しで
    撤去された。広告搭は2025年
    迄の契約だった。

    • 木霊 より:

      ほうほう、興味深い情報をありがとうございます。
      サムスン、現代、キアといえば、韓国の主力輸出企業ですから、支那にとっては約束なんてどうだって良いと言うことかも知れません。

  2. マスメディア反乱軍 より:

    木霊さん、おはようございます。

    >しかし、ここでトランプ氏が目指したのはまさに絵作りであり、交渉を進める事では無かったと思う。そして、北朝鮮に対して恩を売ることこそが、トランプ氏の目指したところだろう。

    彼らしいショーマンシップの塊(苦笑)、まるでサーカスの猛獣使いを自ら演じたってところかな? でもそれ以上でもなければそれ以下でもない...、内容は空虚な印象しか残りませんよね。

    >ところで、蚊帳の外にいたムン君だが、これを政治利用することに決めたようだ。

    利用するのは勝手なんですが滑稽なのが、肝心の米韓首脳会談の中味はほとんど公式発表もなく、当然メディアもスルーして報道されていない事です。
    ほとんど屈辱的な土下座でG20の後の訪韓にこぎつけたのに、南朝鮮の政府もメディアも愚民もすっかり忘れちゃった様子。(冷笑)

    >トランプ氏は北朝鮮の問題をなるべく早く解決したいという意思はあると思う一方で、早く解決したところで特に得るべきものが無いのも事実だ。朝鮮半島の非核化の先には在韓米軍撤退がある。トランプ氏にとってはそこまで行き着かねば「成功」とは言えないのだ。
    >そして、朝鮮半島からの米軍撤退はアメリカにとってもメリットの方が大きいワケで、今回の会談ではその辺りの落とし所を探る意向はあったと思う。その結果がどうだったかまでは今のところ分からないが。

    トランプ大統領はどんな甘い蜜の香りを金豚クンに嗅がせたのでしょう、僕もこの点だけが注目に値するイシューだと考えますね。
    在韓米軍撤退を前提とした終戦宣言をチラつかせ→国交成立→通商条約締結→平和条約締結...、どこまでカードを思わせぶりにチラ見せしたのかな?

    ただ、日本にとって大切なのは「北朝鮮は絶対に核を放棄しない」という、数々のリポートを真剣に精査し、万が一に備えて(スモール・ディールになった場合)戦略的な策を練る事でしょう。
    最悪なのは北に核が残れば、日本の核武装論&弾道ミサイル開発に繋がりかねませんからね。(国論の混乱を意図する極左の恰好の餌食となりかねない)

    北朝鮮強硬派とポンペオ国務長官・ボルトン補佐官は、極悪人の戦争屋みたいに集中砲火を浴びていますが、僕はちょっと違う見方をしています。
    致命的で破滅的な戦争を避けるためには「可能な内に禍根になりそうなリスクは、多少の犠牲を容認しても徹底的に取り除くべし」...、じゃないかとね。
    あまり名前が出てこない地味なペンス副大統領が、バランス感覚を活かして上手くコントロールしてくれればいいのですが。

    僕は傲慢なようですが日本の為には、FFVDを実現するには残念ですが(無辜の人民が犠牲になる)、核施設・ミサイル網を破壊する厳しい北爆と、金豚クン&その取り巻きの排除しかないと悲観的に考えています。

    とにかく、朝鮮半島に1個の核も・1発の弾道ミサイルも・大量化学兵器も残してはなりませんし、研究者達は人道的な問題もありますが、一時拘束してでもテロ国家・組織への流出を防がねばならないでしょう。

    • 木霊 より:

      韓国国内で、「トランプ氏の訪韓」はほぼ無かったことになっているようで、報道される内容は、韓国を通過してきた朝鮮に行った、みたいな内容が多いですよね。
      もちろん、報道されているのは「米朝韓首脳会談を実現させた」という形みたいですけど。

      今回の訪韓とボルトン補佐官やポンペイオ国務長官の意向とは必ずしも同じではないようで、トランプ氏の下では彼らも仕事がやりにくそうです。
      しかし現実的な部分をこの2人が進めていくことを考えれば、今後の交渉もそれほど簡単には進まないようか気がします。
      そして、「民族の核」というのは現実的になるのかもしれませんね……。