短期的にはファーウェイが絶望的な状況になるのではないかと思っていたが、思った以上に厳しい状況を迎えているようだ。
ファーウェイ、今後2年で売上高3.3兆円減を予測 米制裁の影響
2019.06.18 Tue posted at 14:07 JST
深圳(CNN Business) 中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は17日、米国による制裁の影響で向こう2年間の売上高が約300億ドル(約3兆3000億円)減少するとの見通しを示した。
ファーウェイ創業者の任正非(レンチョンフェイ)最高経営責任者(CEO)が、本社のある深圳でのパネルディスカッションで明らかにした。同氏はその中で、生産能力の縮小に伴う売上高の減少を予測し、「今年と来年の売上高は1000億ドル前後になるだろう」と述べた。
ファーウェイの昨年の売上高は前年比で約20%増となる7210億元(約11兆円)だった。
「CNN」より
凄いねぇ、11兆円の売り上げがあったんだ。そのうち3兆円分が減るだろうという予測なのか。2年間で3兆円なのか、それ以上に減るのか。
売り上げは40%減
アメリカの制裁の影響は甚大
まあ、支那にとってはアメリカがかなり大きなマーケットである事実は変えようがなく、そこで売れないとなれば影響が少ないわけが無い。それだけでは無く、西側諸国へ協力を要請したり、GoogleやFacebookに協力を取り付けたりと、かなりクリティカルな影響が出そうである。
ファーウェイのスマホ出荷、約40%減少。「米制裁による被害がこれほど深刻とは予想外」
2019年6月18日, 午後04:30
ファーウェイCEOの任正非氏は、米政府により米企業との取引を禁止されたことによる影響で、先月だけでスマートフォンの出荷台数が40%減少したことを明らかにしました。また、今年と来年の総売上高が300億ドル(約3兆2600億円)程度減るとの見通しも語られています。
「engadget」より
出荷台数が40%減か。案外減っていないね。
ファーウェイ、人気アプリが動作停止なら「返金」を宣言
2019/06/19 10:50
ファーウェイCEOの任正非は6月17日、2019年度の同社の売上高が、当初の予想を約300億ドル(約3兆3000億円)下回る恐れがあるとの見通しを示した。その翌日、ファーウェイは人気のアプリが同社の端末で使用不能になった場合、返金を行う保証プログラムを始動させることが明るみに出た。
「Forbes」より
こんな宣伝をしていることもあって、かなり深刻なのだとは思うのだけれど、これって逆効果じゃ無いのかな。
僕の予測だと出荷台数半減くらいのインパクトはあったと思うんだけど、その辺りは見積もりが甘いのか別のアイデアがあるのか。
新OSを投入
そういえば、HongMeng OSという独自OSを投入するとか市無いとか言うニュースもあったね。
ファーウェイ、独自OS開発 ── 現時点までに分かっていること
May. 22, 2019, 04:30
ファーウェイは、アメリカ政府が同社を貿易に関するブラックリストに載せたことを受けて、グーグルのモバイルOS「アンドロイド(Android)」の一部へのアクセスを禁じられた。
ファーウェイ製端末が全面的に禁止されたわけではないが、ブラックリストへの掲載は今後、ファーウェイ製端末に影響を及ぼす可能性があり、既存のファーウェイ製端末はアンドロイドのアップデートが提供されなくなる可能性がある。
「Business Insider」より
Androidはオープンソース版もあるハズだが、アップデートなどが提供されなくなるのはかなり深刻な問題となる。
そこで、ファーウェイが独自OSを出すという噂もあったが……、正直、問題はそこじゃ無いんだよね。
支那国内ではGoogle Play Storeにアクセスできないために、Google御禁制のアプリなども含めて使えない事に不満は無いのだろうが、外国に輸出する為にはかなりデメリットとなる。
更に売り上げは低下することはほぼ間違いがないだろう。
ロシアからもラブコール
ここにロシアが登場してきたのが興味深い。
ファーウェイにロシア政府が助け船? Android代替スマホOSの提供を打診か
2019年6月16日, 午後03:39
米中貿易戦争により窮地に追い込まれるファーウェイ。同社に対しロシア政府が支援を打診したと伝えられています。
~~略~~
ロシア国営のイタルタス通信は、ロシア政府がファーウェイ対し、Androidの代替OSとして「Aurora」の採用を提案したと伝えています。
このAuroraの別名は「Sailfish Mobile OS Rus」。Sailfish OSはNokiaからスピンアウトしたフィンランド企業のJollaが開発するモバイルOS。AuroraはSailfish OSの正式ライセンスを受け、ロシア企業がロシア国内向けに開発している”独自OS”に相当します。
「engadget」より
ロシアのOSというのがなかなか凄いチョイスではあるが、採用されればロシアとしては大喜びなのだろうが、果たしてロシア国内でも売れるかどうかは微妙だ。
結局、スマホでアプリが動かなかったら、タダの電話の方が良いくらいだ。ローカルでは売れても世界的に売る事を考えるのは難しいだろう。ファーウェイにとってみればロシアだけでも販路拡大に繋がる事はメリットになる可能性はあるが……、もう少し仲間を増やさないと厳しいだろうね。
ファーウェイの技術力は世界一いぃぃ
冗談っぽく書いているが、割と「ガチ」ではある。
技術力だけで言うのであれば、巨大な投資をして世界中から技術者をかき集めているのである。
支那の製造力という足を引っ張られる要素はあるものの、技術力だけで言えば世界トップレベルだろう。日本企業ではどう逆立ちしたって追いつけないレベルを走っているのがファーウェイなのだ。
ただ、それだけではどうにもならないのが、世の常である。
EU企業の5Gコスト、ファーウェイとZTE排除で6.7兆円増に
2019年6月8日 10:47
モバイル通信事業者の国際業界団体「GSMアソシエーション(GSMA)」は、欧州の第5世代(5G)移動通信網から中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、Huawei)と中興通訊(ZTE)を排除した場合、欧州連合(EU)域内の携帯電話事業者が5Gネットワークの展開で負担するコストは最大550億ユーロ(約6兆7000億円)増加するとの報告を作成した。
報告は2社の排除の影響に関する内部評価を記したもので、AFPが7日に内容を確認した。
「AFP通信」より
一方で、ヨーロッパを中心にファーウェイは洒落にならない影響力を与えているので、アメリカとしてもそう簡単にファーウェイの影響力を排除出来ないでいる。
巨大な経済力を持ち、影響力を持っている企業をアメリカが本気で潰しにかかっているというのが現在の「貿易戦争」と呼ばれるものの正体だ。
アメリカにとって貿易赤字などわりと拘るべき点ではなく、口実に過ぎない。やるのであれば、徹底的にやらねばならないだろう。
新開発のスマホが売れるかどうか、も含めてファーウェイは危ない橋を渡ることになるだろうが、大打撃を受けても企業の体力は支那共産党に保障されているので、生半可な事では揺らがないだろう。
……ただ、ファーウェイよりも寧ろ習近平氏の方がヤバイ。流石に政権崩壊という事にはならないだろうが、香港で起こっているようなことが各地で起こると、いよいよ習近平氏の指導力が問われる展開になる。
支那皇帝となった今、ある程度の事は力で押さえ込むと思うが、それが何時まで続けられるかは怪しいところである。持久戦といわれているが、案外短期決戦でケリが付きそうな気がしている。EUが再び支那につくような展開となれば、また違うのだろうけれど。
コメント
別ネタです
現代ビジネスweb ドイツの各州が続々「移民ギャング摘発」に乗り出す深刻な事情
予想釣り過ぎて苦笑も出ない。
紹介頂いた記事は「川口 マーン 惠美」さんの記事なんですよねぇ。
色々と興味深い記事をお見かけはするんだけれども、内容が割と主観的なことがあって、この話を信用できるのか?という点は悩ましいです。
別ネタです
韓国海軍の3000t級潜水艦は英国のBabcock Internationa設計、装備品も欧州製かライセンス生産。
バブコックがチャン ボゴⅢの潜水艦兵器システム契約を獲得したという話ですね。
ドイツからの技術供与でうまくいかなかったので今度はイギリスにお願いみたいですね。
2017年9月のバブコックのサイトのアナウンスを見る限りはどこが自主開発の国産潜水艦という契約内容ですね。
https://www.babcockinternational.com/ja/News/Babcock-wins-South-Korea-Jangbogo-III-submarine-weapons-system-contract
韓国の潜水艦建造技術と英国面のマリアージュ、素材レベルでやらかしていそうなのが怖いなー。
情報ありがとうございました。
別記事にしちゃいました。
ファーウェイ、さすが支那国家戦略の企業で成長度も凄いですが、売り上げ減も半端じゃない額の様ですね。(それもたった数か月の短期間)
新OSの話は速攻で出ていましたが支那国内とロシアのローカル需要だけでは、いくら技術力があっても挽回とはいかないと予想します。
ただ、基幹インフラ(基地局・中継局そしてソフト)はご指摘通り欧州を席巻していますので、ファーウェイ抜きの莫大な再インフラ整備に欧州各国は苦しい立場でしょうね。
支那共産党の強力なバック支援があったとしても、アメリカが手を緩めないのだけは確かじゃないかな?
>……ただ、ファーウェイよりも寧ろ習近平氏の方がヤバイ。流石に政権崩壊という事にはならないだろうが、香港で起こっているようなことが各地で起こると、いよいよ習近平氏の指導力が問われる展開になる。
キンペー君が追い詰められ国内が乱れ始めれば、支那の邪な覇権野望を一時的にくい止めれる可能性がありますから、日本にとっては願ったり叶ったりと思います。
ただ、天安門虐殺事件の時の様に、「いの一番に支援の手を差し出す事」だけは絶対にやめて欲しいもんです。
もし支那が甘い言葉で誘ってきたら、香港・台湾への野望&ウィグル・チベットの少数民族弾圧&キリスト教徒等への宗教弾圧を理由にし、「人権問題」で断固たる一線を引いて突っぱねて欲しいですね。
「人権問題」で国際世論をリードできれば追従する国はたくさんあるでしょうし、日本の存在感を示すチャンスでもありますからね。
ファーウェイ、凄い企業なんですけど、支那共産党ありきでアノ企業ですし、支那共産党のトップが習近平氏だからこそヤバイという。
人権問題で西側諸国に訴えるのは、支那を追い詰める上では必要な事ですが、それを脇に置いても、ヤバイですね、あれは。放置すべきでは無いでしょう。
>そこで、ファーウェイが独自OSを出すという噂もあったが……、正直、問題はそこじゃ無いんだよね。
そうですね、独自OSなんかコアはlinuxベースであとはスマホのハードウェアとのインターフェイスを作るだけですから独自OSの開発自体は問題ないでしょうね。
問題はアンドロイドOSでグーグルに支配されるのを嫌ってサムスンやインテルやNTTドコモとかで連合を組んで開発したTizenも、マイクロソフトがiOSやアンドロイドOSに何度も挑んでは失敗しているのはエコシステムの部分なんですよね。
はたしてファーウェイがこれを克服できるかと言うと難しいでしょうね。
*エコシステム:環境ではなくITにおける用語で(https://ec-orange.jp/ec-media/?p=23780)が詳しいです。
エコシステムのお話、なかなか分かり易かったです。
このエコシステムの話をファーウェイを克服出来るかというと……、環境次第ですかねぇ。
案外やっちゃうような気もしますが、それでGoogleが座視するのかといえば、そうはしないでしょうねぇ。
木霊さん、おはようございます。
>同社は昨年(2018年)、約2億台のスマートフォンを出荷した。そのうち中国以外の市場に向けた製品は半数の1億台。つまり、今年は国外向けスマートフォンの台数が40%~60%減少すると考えられる。
台数にして4000~6000万くらいが減少するのですから、売り上げ打撃は計り知れないでしょう。
そしてやはり決定的なのがこれでしょうね、今年だけでなく今後も世界市場から跳ね出されるわけなんで。
↓
>米グーグルは、ファーウェイとの事業取引を一部停止したと発表。これによりファーウェイ製スマートフォンの次期モデルでは、商業ライセンス版Androidを採用できなくなり、グーグルとのライセンス契約が必要な「Google Play」「Gmail」「YouTube」なども搭載できなくなる。
支那国内の需要と支援表明したロシアでは稼げるのでしょうけど、Rodneyさんご指摘の様に新OSで対抗してもガラパゴス化の運命なのか...?
>また米フェイスブックも6月7日、米政府の方針に基づく措置とし、ファーウェイ製スマートフォンへのアプリの事前搭載をやめることを明らかにした。SNSアプリのほか、写真共有アプリ「インスタグラム」や対話アプリ「ワッツアップ」なども供給を停止するという。
さらに、次々と容赦なく矢が飛んできていますから、支那共産党がどこまでフォローし続けるのか見物です。
支那が国内でガラパゴス化を狙っても、システムが成熟化すれば国外に持ち出せるだけのシェアを狙えると思うのです。
エコシステムを拡大できれば、やれると思うのですよ。
かつて日本国内でPC-98全盛期があって、アレはアレで使えるシステムで、外国勢を喰えるだけの力があれば、或いは、という事だったと思います。まあ、それがハードルが高いのですが。
支那は人口が多いですし、南アフリカなどシェアを伸ばせる伸びしろがありますから、中東辺りにまで食い込めれば、やれると思います。
そこまで技術を育てないのが、支那なんですけどね……。
「独自OS」が何を意味するかですね。完全スクラッチはあり得ないと思います。
Rodney氏が言われるように、linuxベースのOSでしょうね。
実はAndroid自体もlinuxベースのOpenソースOSなんですよね。だから、ファーウェイがAndroidを使い続けるのは、違法ではありません。
それよりも、Google Playが使えない(=野良アプリしか入れられない=Google Mapなどのアプリが使えない)というほうが影響がデカいと思います。
この辺りが解決できるかどうかが見所だと思います。
(話が脱線します。昔話です)
自分は、25年ほど前、某大手IT企業の子会社に派遣されてました。
その部署では、ある特殊なコンピュータ用のOS(UNIXベース)のメンテナンスを行なってました(過去には開発を行なっていたそうです)
※それには自分は直接タッチしていません。
そのとき、上司が言っていた言葉です。
「多分、日本で開発される新規開発OSは、これが最後」
まあ、B-TRON(PC用TRON OS)が潰された後だったので、出た言葉だと思いますが。
なお、B-TRONは潰されましたが、組み込み用としては、I-TRONが6割程度のシェアを持っているようで、さらにIEEE(米国電気電子学会)が2018年5月11日、組み込み用TRONの最新版『マイクロTカーネル2・0』を標準規格として認定したそうです。
I-TRONやμITRON、T-Kernelあたりがシェア拡大すれば、日本としては嬉しいところですね。
しかし、これもハードウェアに依存しすぎるところが問題になるようで、そのさじ加減は難しそうです。
Androidベースの組み込みアイテムは不安定なことが多いので、その辺りを克服するツールになってくれると良いですね。
今晩は
独自OS・・・スクラッチビルドはあり得ませんね。新規にOSを作る動機は、商売上の理由(売ってもらえない、「独自OSをウリにする」など)以外には、新しい機能が必用とか、圧倒的高性能にできるなどですが、linux などの既存OSでは不足という理由が見当たりません。そもそも、ユーザーが求めているのはOSではなくアプリ、そのアプリが提供するサービスなんですよね。ウチのPCは Windows ですが、Mac にしない理由は○○(アプリの名前)の Mac 版がないからなんです。(最近 Mac 版が出てきたようですが、今さら変更するのも面倒くさい)
ファーウェイの「独自」OSがいかなる物かは分かりませんが、いかにアプリを充実、流通させるか・・・前途多難だと思います。今までの「失敗したOS」の殆どは(私の知る限りでは全部は)魅力的なアプリしてくれるアプリ屋を仲間に引き込めなかったからだと思っています。そうでなかったら、某 Microsoft が市場を制覇できた事が説明できない。
さてさて、ファーウェイにはそれが出来るでしょうか
おまけ
「上に表示された文字を入力してください。」を入力しようとしたら、判読困難。画像だけをダウンロートして何とかビューアで表示、思いっきり拡大して「多分・・・だろう」で投稿したらOKだったんですが、ちょいと「やりすぎ」ではないかな。
ご指摘の所は結局のところエコシステムの構築って話しで整理できるのでしょうけれど、ファーウェイが頑張ればやれる、という感じが僕はしています。
それまで支那が保たないかも知れませんが(支那共産党の支援体制が保たないという意味で)。
この判読困難な文字には、僕自身も苦心しておりまして。
何とかしたいとは思っていますが、今ちょっと弄れないので、少し時間を下さい。判読しにくいということはセキュリティレベルが高いという話に繋がるのでしょうけれど、痛し痒し、ということですね。
せめて、別の候補に変えられれば良いんですけどね。