本日は、少々用事があってお昼の更新が出来なかったので、記事はこれ1本である。
ところで大丈夫か?ドイツ。
ドイツ、50年にCO2実質ゼロ 首相が意欲
2019/5/15 5:50
ドイツのメルケル首相は14日、ベルリンで開いた国際環境会議で、2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにするための議論を始めると表明した。「目標を達成できるかどうかではなく、どう達成できるかを話し合う」と語った。50年の実質ゼロの目標はすでにフランスのマクロン大統領が表明しており、独仏の足並みがそろいつつある。
「日本経済新聞」より
言っていることもなかなか味わい深い。
「目標を達成できるかどうかではなく、どう達成できるかを話し合う」んだって。
えーっと、努力目標って事?
自動車立国のドイツ
電気自動車化を目指すドイツ自動車メーカー
ドイツと言えばBMWかフォルクスワーゲンか、それともオペルかメルセデス・ベンツか。世界ランキングトップを誇るドイツの自動車輸出産業だから、ドイツの屋台骨を支えている産業と言っても良いだろう。
結構な数の自動車メーカーがあるドイツだが、そのメーカーがこぞってEVを作ろうとしているようだね。
VW、EV用電池をドイツで自社生産 約1200億円投資
2019/5/14 5:39
【フランクフルト=深尾幸生】独フォルクスワーゲン(VW)は13日、電気自動車(EV)用の電池の自社生産に乗り出すと発表した。10億ユーロ(約1220億円)弱を投資し独西部のザルツギッターで生産する。VWは2030年にEV比率を世界販売の4割にする計画を掲げており、EVの肝となる電池を安定的に確保するために自社生産が必要と判断した。
「日本経済新聞」より
もう、欧州ではEV無しでは生き残れないような気がする。
BMWの第4世代のPHV、EVモードの航続は最大80km…2019年内に発売へ
2019年5月11日(土)13時00分
BMWグループ(BMW Group)は、ドイツで開催した2019年第1四半期(1~3月)決算発表において、2019年内に第4世代の電動パワートレインを搭載するプラグインハイブリッド車(PHV)を、BMWブランドから発売すると発表した。
BMWブランドでは現在、『2シリーズ アクティブ ツアラー』、『3シリーズ』、『5シリーズ』、『7シリーズ』、『X5』、『X3』などに、PHVを用意している。
「Response」より
今や、自動車産業は日本でもEVへのシフトが加速していて、一番力を入れているのは支那だと言われている。支那は国を挙げてEV開発に傾注しているから。
ただ、EVへのシフトというのは自動車業界の緩やかな自殺と言われてもいる。これは、自動車部品の点数が1/2~1/3になるとさえ言われるからだ。更に、必要となる制御機構は電子部品で、従来の自動車メーカーが得意とするところではない。自動車業界は、相当な産業構造の転換を迫られるのである。
また、EVとはいえ、電力を何処かから調達しなくてはならない。
工場にはボイラーなども必要なので、二酸化炭素排出を止めるというのは凡そ現実的では無い。
脱原発を目指すドイツ
さて、ドイツは原発も止めようという動きになっている。
脱原発へと突き進む、ドイツ
2016-11-10 11:00
ドイツは脱原発に向かって突き進んでいる。それに伴い、エネルギー供給の完全な変革も行われており、その影響はスイスにも少なからず及んでいる。だがスイスは、迅速な脱原発を行う準備がまだ整っていない。
2011年の福島第一原発事故を受け、ドイツ政府は22年末までにすべての原発の稼働を停止するという野心的で果敢な路線に舵を切った。最後の原発が運転を止めるまでに残された時間はあと6年だ。
「SWI」より
これが英断だったかどうかは、評価の分かれるところだろう。だが、ドイツは脱原発を目指す一方で、火力発電所に仕事をさせるような姿勢を見せた。
特に、石炭火力発電所で電力を作るような方針だったのだが、二酸化炭素を出さないとなると、この火力発電所も絶望的である。
脱原発を進めるドイツがさらに脱石炭にも踏み切る理由
2019年5月9日
ドイツ連邦政府の諮問委員会は2019年1月26日、最終報告書の中で遅くとも2038年末までに褐炭・石炭による火力発電所を全廃すべきだと提言した。この国の褐炭・石炭火力発電所の設備容量は2017年末の時点で42.7ギガワット(GW)だった。これを、2022年までに12.7GW減らして30GWにする。これは褐炭・石炭発電施設24基の停止に相当する。その後15年間をかけて、容量をゼロにする。
2032年の時点で電力市場や雇用への悪影響が少ないと判断されれば、2035年に前倒しして、褐炭・石炭火力発電所を完全に停止させる。
「日経ビジネス」より
何というか、狂人の妄想か?と、その様にすら感じるのだが、しかし、二酸化炭素排出量を減らそうという方向に、全世界で向いているのは事実なのだろう。
だからといってゼロにするのは違うと思うんだけどさ。
カーボンニュートラルは実現可能か?
メルケル氏は「どうやって実現するか」と言うことを議論するんだとはいっているが、でも、どうやってやんのよ、それ。
メルケル氏は5月末に開く関係閣僚による会議で議論に着手する見通しだ。目指すのは「カーボンニュートラル」と呼ばれる状態。CO2の排出量を大幅に削減するとともに、排出してしまう分については貯蔵や植林などによって相殺する仕組みを検討していくことになる。
「貯蔵」や「植林」で「相殺」するんだってさ。
貯蔵というのがいまいちよく分からないのだけれど、二酸化炭素の固定化技術のことを指しているんだろうか。
植林の方は欺瞞なんだけれども、まあ、概算で面積当たりの森林の二酸化炭素吸収量というのが出せるから、それで換算するってことなんだろう。
でも、それだとドイツ国内で賄える話では無いから、世界各国と二酸化炭素排出量取引でもするんだろうね。
CO2排出量取引、復活の兆し クレジットへの需要 カギ
2018/6/25 6:30
二酸化炭素(CO2)の排出量取引に復活の兆しがでてきた。欧州連合(EU)の排出量取引制度では、排出枠価格が1年前の5ユーロ(約640円)前後から16ユーロ以上へと急速に回復。韓国排出量取引制度でも21ドル(約2200円)相当以上と、取引が開始された2015年の2倍の価格となった。
「日本経済新聞」より
そして、こうした方法だと、全世界で見た二酸化炭素排出量の削減には繋がらない、意味の無い話なんだよね。
強硬派ドイツに引き摺られるEU
こうしたドイツの方針に同調しているのがEUである。
EUが迫る電気自動車シフト 乗用車CO2 37.5%削減
2018/12/18 21:12
【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)は17日、2030年の自動車の二酸化炭素(CO2)の排出量を21年比で37.5%減らす規制案をまとめた。今後自動車メーカーごとに具体的な削減幅を決める方針だが、ガソリン車やハイブリッド車の燃費改善では達成は困難とみられる。各メーカーは新車の3分の1程度を電気自動車(EV)などに代替する必要があるとの見方もある。
「日本経済新聞」より
EUの取り組みも凄いとは思うんだけど、これが意味があるかというと、自己満足に近いのだと僕は思う。
何故かと言えば……。

この図を見たら言いたい事が分かると思う。
ドイツが二酸化炭素排出量を削減していくことは、「勝手にすれば」とは思うのだが、本気で削減できるのかと。
お手並み拝見という感じだろうか。
コメント
安い泥炭だか粉炭だかを発電に持いて森を切り崩し、それで自然保護団体に実力行使されてます。
もともと原子力問題で、そっち側に媚を売ってきましたからねメルケルは。
んで、フランスの原発から電力を買うと(笑)、それチェルノブイリみたいな事故が起きた時に巻き添えになると思いますけれどね(笑)
フランスの原発は国境地帯に少なくない配置のはずですから。
要するに、どこまでも政治的ポーズで、環境や事故の危険を解決する気なんかハナからなのでは??
石油がいつまでもつのか知りませんが、そっちに頼ると面倒な中東やロシアと手を切れないと佐藤優氏が申していました。そういう意図があるなら、
こんな事は言わないような気がしますが……メルケルは死に体なのかなぁ?
支持層が何処なのか?というのがメルケルおばちゃんのこの発言の根拠になっているのかと。
人権派の弁護士に会ったとかニュースになっていましたが、そういう路線じゃないと維持出来ない状況になっているのかも知れません。
CDUの支持が落ちていますから、苦しい所ですね。
うーん、正直、二酸化炭素ゼロ政策にそれほど噛みつく必要はないのかなと思っています。
欧州では成功例もあるビジネスモデルなので、いわゆる左翼的なお花畑政策扱いするのは、どうかなと思います。
ええまあ、生暖かく見守るつもりではあります。
でも、こういう話を鵜呑みにして「日本も真似をしろ」と活動される方もでてくるでしょうから、こんな話もありますよー、くらいのご紹介であります。
ちょっと面白い(そして個人的には疑問が解決した)話があるので、紹介します。
>特に、石炭火力発電所で電力を作るような方針だったのだが、二酸化炭素を
>出さないとなると、この火力発電所も絶望的である。
石炭は古代の植物が完全に腐敗分解される前に地中に埋もれ、地熱・地圧の影響により変質したものとされています。
でも、なぜ近代~現代は、ほとんど石炭が生成されないのでしょうか?
無論、期間が短いというのはあると思います。しかし、他の理由はないのでしょうか?
先日、ツイッターで「キノコがリグニンを分解する酵素を備えたために、もう二度と石炭紀はやってこない、という論文を昔みかけた。そういうキノコが生えない地域では新規に(泥炭などが)作られるがそうでない場所では木が枯れたらすべて分解されてしまうようになってもう何億年か経つらしい。」というのを見かけました。
関係する論文?もあるようです。
東京大学 農学生命科学研究科 研究成果「リグニン分解酵素の進化が石炭紀の終焉を引き起こした-担子菌ゲノム解析コンソーシアムの共同研究成果がScience誌に掲載」
>木材は,セルロース,ヘミセルロースおよびリグニンからなる難分解性の
>バイオマスですが,多くのきのこが含まれている担子菌門に分類される
>白色腐朽菌は,地球上で唯一木材を完全分解できる生物です。その性質が,
>植物性のプラスチックともいえるリグニンを分解するために必須の酵素で
>ある「ペルオキシダーゼ」の進化とともに獲得されたことが,31種類の
>真菌のゲノム配列を比較解析した結果から明らかになりました。さらに
>ペルオキシダーゼのアミノ酸配列を分子時計解析した結果,白色腐朽菌が
>リグニン分解能を獲得したのは古生代石炭紀末期頃であると推定された
>ことから,石炭紀からペルム紀にかけて起こったと考えられている有機炭素
>貯蔵量の急激な減少に,きのこによるリグニン分解能力の獲得が関与して
>いると考えられました。
>植林の方は欺瞞なんだけれども、まあ、概算で面積当たりの森林の二酸化炭素
>吸収量というのが出せるから、それで換算するってことなんだろう。
森林(樹木)として存在している間は炭素固定効果が期待できますが、それを最終的に材木(家具・家屋など)として使用して、腐敗しないようにしなければ最終的にはCO2に戻ってしまいそうですね。
日本人が森林のノーベル賞ともいわれる、マルクスヴァレンベリ賞を受賞した理由に最も関心を寄せている国がドイツです。