人民元暴落リスクと、貿易戦争の行方

北米ニュース

さて、アメリカの強硬な姿勢に対して、支那が突っぱねたニュースを取り上げたが、少々雲行きが怪しくなるニュースがあったので、とりあげておこう。

円上昇、米中通商協議の先行き不透明感続く-オフショア人民元下落

2019年5月13日 6:01 JST

米中貿易関係の先行き不透明感が続く中、アジア太平洋地域13日早朝の取引で円は対ドルで上昇した一方、オフショア人民元は対ドルで下落した。


「Bloomberg」より

円が対ドルで上昇したニュースも問題ではあるが、ここで取り上げたいのは人民元が対ドルで下落した点だ。

スポンサーリンク

人民元は固定相場制

管理フロート制はまやかし

人民元をハードカレンシーにしたがった支那は、人民元改革(2005年7月)を行っている。支那は同時に通貨バスケット制を導入しているので、「管理フロート制」(管理変動相場制)に移行したとはいえ、その実は複数の外貨に連動したレートにする固定相場制を使っている。そして、その判断を支那共産党がするのだから、固定相場制と何が違うんだという話。

一応、「複数の通貨と連動する」と支那共産党は発表しているが、その構成比率などは開示していないので、意味がない。

なお、通貨バスケット制そのものが悪いという話ではないのはご注意願いたい。

外貨準備高は積み上がっていると報道されているが

さて、では支那経済がヤバいのかというと、ここで気になるのが外貨準備高の話である。

中国の3月末外貨準備高、5カ月連続で増加-3兆988億ドル

2019年4月7日 23:34 JST

中国の外貨準備高は3月末時点で3兆988億ドル(約346兆円)と、前月末比85億8000万ドル増えた。中国人民銀行(中央銀行)が7日発表した。先進国市場での国債利回り低下に伴い、保有する外国国債の評価額が膨らみ、5カ月連続での外貨準備高増加となった。

ブルームバーグのエコノミスト調査での予想中央値は3兆900億ドル。2月末時点の実績も3兆900億ドルだった。

「Bloomberg」より

約4兆ドルの外貨準備高があるという、恐ろしい数字がニュースになっている。

なお、外貨準備高を国際的に比較してみると、支那がトップで、2位は日本の1兆2593億ドル、その次がEUで8579億ドルとスイスの8000億ドルという(EUは国ではないので、参考までに)。

参考までに韓国だが、4040億ドル程度と減少傾向にあるが、まだ高い水準にあると言われている。

ただ、これがまやかしである可能性があることは、IMFのデータなどを見ると分かる。

えーっと、何が言いたいかは、こちらのサイトが参考になる。

数字で見る外貨準備 韓国の外貨準備高の8割はウソなのか? | 新宿会計士の政治経済評論
韓国の外貨準備高は4000億ドルを大きく上回り、過去最高となったのだそうです。しかし、米国財務省が発表する統計などと突き合わせれば、「4000億ドル」はウソではないかとの疑いを抱かざるを得ないのです。 また出た「外貨準備高」報道 「韓国の外貨準備高が過去最高」 金曜日の韓国メディア『中央日報』(日本語版)に、またして...

簡単に言うと、IMFのデータと支那や韓国の公表しているデータに齟齬があるという話だ。

見立て違いという事もあるだろうから、これらの指摘を全面的に信用する必要は無いのだが、どうにも辻褄が合わないという主張自体は理解しておく必要がある。

データで嘘をつく国

数字は嘘をつかないと言うが、実際は数字は幾らでも加工が可能である。支那の経済に関しては支那の首相である李克強氏が詳しいと言うが、彼は支那が公式に発表しているGDPなども信用していないという。

中国経済に依然下向き圧力、減税などで対応=李克強首相

2019年4月25日01時47分

中国の李克強首相は、国内経済は引き続き下向き圧力を受けているとした上で、政府として減税などの対策を講じるほか改革を深化させる考えを示した。国営テレビが24日報じた。

「朝日新聞」より

李克強氏は支那経済が弱ってきていていることを指摘しているが、支那のGDPは相変わらず好調である。

李克強総理、IMFラガルド専務理事と会談

2019-04-25 14:19

李克強総理は24日、北京の釣魚台国賓館で、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事と会談しました。

李総理は会談で、今年1月から3月までの中国経済について「おおむね安定推移し、予想を上回るいい滑り出しだった」と述べました。

「CRI online」より

別の所では、「いや、経済は好調だよ」とその様に言っているわけだが、まあ、IMFも支那の息がかかっている状況にあるから、信用して良いのかどうか。下押し圧力はあっても経済は「予想を上回る良い滑り出し」って、ものは言い様だね。

対外的な話はともかく、 李克強氏は李克強指数などという独自の指数を利用して支那経済の実態を把握しなければならない程度には、自国の出す数字を信用していない。

データが嘘をついていることを知っているのである。

支那は防衛線を越えたときに、再び投資規制に踏み切るか?

過去に起きた投資規制

さて、そんな訳で経済的にぐらついている支那ではあるが、防衛線を踏み越えたときにどうするのだろうか?

過去を振り返ってみると、2015年6月12日に始まった支那の株の大暴落は、同年8月には目を覆うような状況を迎えた。

チャイニーズ・ブラック・マンデーというヤツである。数10億元の価値が国際市場から失われ、空売り規制から株式公開の停止、更には45%の株式の取引停止を実施した。

意図的に株価の調整介入をしたのは、「教科書的な対応」などと評価する人もいるが、かなりリスキーな話でもあったと思う。

市場が支那を信用しなくなってしまえば、外資は逃げだし、支那経済が立ちゆかなくおそれがあるからだ。今は、支那共産党がコントロールしているという「信用」があるからこそ、投機の対象となってはいるが、そうで無くなれば直ぐにでも市場は反応するだろう。

既に株価の操作を始めている

支那は慢性的に株価の操作をしていると言われている。しかし、露骨にそうしたメッセージを出したのが2月のこと。

中国証券規制当局、異常な株式取引への監視強化を要請

2019年2月26日 / 04:52

[上海 25日 ロイター] – 中国証券監督管理委員会(CSRC、証監会)は25日、証券会社に対し、顧客にとってどのような取引が適切であるかについて見直し、異常な取引への監視を強化するよう要請した。

「ロイター」より

実際に何が異常なのかはよく分からないが、株式取引を監視し始めているという。2月の話なので、アメリカとの貿易交渉の期限を睨んだ対策だったとは思うが、今もなお、監視は続けられている。もちろん、介入もやっているだろう。

今や聞かなくなったが、支那では一時期「理財商品」と呼ばれる投機性の高い金融商品が取り扱われていた。それがどうなったかは知らないが、2017年時点で 約481兆7,000億円相当の商品が出回っていると言われていた。

アレはどうなってしまったのやら。

アジア株下落、中国は5.6%安 対中関税上げ方針

2019/5/6 11:22 (2019/5/6 18:24更新)

【上海=張勇祥、香港=木原雄士】トランプ米大統領が5日に対中関税の引き上げを表明したことを受け、6日の中国本土や香港の株式市場は急落した。上海総合指数の下落率は5.6%と2016年2月以来、3年ぶりの大きさになった。香港ハンセン指数や他のアジア株、人民元の対ドル相場も値を下げた。

「日本経済新聞」より

トランプ氏のtweet1つでこの騒ぎだが、支那は市場に潜在的にリスクを抱えている。これをアメリカがつつけばどうなるか?

想像するだに恐ろしいね。

支那の反撃は無力か

アメリカと支那は貿易では相互依存

で、アメリカに対して支那が防戦一方かというと、反撃すればそれなりの効果は上げられるようだ。

中国の報復関税で米ハイテク株が軒並み下落

2019年5月14日

米中の間で進行中の貿易戦争の新たな局面として、中国が米国に報復の総攻撃をかけたことにより、米ハイテク企業の株価は大打撃を受けた。

S&P 500指数は、金額にして約1.1兆ドル(約120兆円)ぶんも下げ、ダウ工業株平均とナスダック総合指数も、それぞれ2.38%と3.41%下落した。

「techcrunch」より

特にハイテク関係株ではアメリカも流血を覚悟しなければならない事態にはなっている。

ただ、アメリカがそこまでして支那を叩かなければならない理由は、技術盗用によってアメリカの利益が遺失しており、このままだと支那に経済的な覇権を握られかねないからである。

そうなれば、アメリカにとっては取り返しの付かない事態となる。今は、血を流してでも徹底的にやる、それがアメリカの覚悟だと思う。

そうだとすると、支那がいつまで耐えられるのか?という話になってしまう。

コラム:防衛線に迫る中国人民元、資本規制再び強化も

2019年5月14日 / 16:39

[香港 14日 ロイター BREAKINGVIEWS] – 中国人民元が関税の痛みを感じている。米中両国が繰り広げる輸入関税の引き上げ合戦に押し下げられ、元相場は1ドル=7元に近づきつつある。

「ロイター」より

国内市場の不安が増し、資本規制の札を支那が切らざるを得ない状況を迎えれば、支那にとっての経済危機は更に高まってしまうリスクもある。

習近平氏は、綱渡りの状況を続けていかねばならないだろう。

貿易戦争の影響を受けるのは

で、まあ、アメリカと支那との間だけで殴り合いをやってくれると、どうなるかというと、周辺国に影響が避けられないのである。

米中貿易摩擦 日本企業にも影響 生産の切り替え対応相次ぐ

2019年5月14日 18時33分

米中の貿易摩擦が激化する中、日本企業の間では中国で生産してアメリカに輸出してきた製品の生産を日本での生産に切り替えるといった動きが相次いでいます。追加の関税負担や、製品の値上がりを避けるためです。

自動車関連では「パナソニック」がカーステレオなどを中国の工場で生産し、アメリカにある自動車メーカーの工場向けに輸出してきましたが、生産の一部を一時的にタイやマレーシアなどに切り替えています。

「クラリオン」もカーナビとカーオーディオの生産の一部を中国から日本に移しています。

「NHKニュース」より

……あれ、でもこのニュースはイイニュースなんじゃね?

さておき、製造拠点を日本に移すことそのものは歓迎したいところだけれど、製造技術力の低下が著しい日本で、上手くやっていけるかどうかはまた別問題である。

また、支那に直接、部品が売れにくくなるというデメリットもある。

こうした貿易戦争の影響も踏まえて、日本国内の賃金が上がってくれれば良いのだけれど、人手不足を外国人労働者で補おうというのは……。

日本は上手いこと立ち回らないとね。

あれ?消費税挙げている場合じゃないんじゃ??

コメント

  1. マスメディア反乱軍 より:

    支那リスクに関しては古くて新しい話が山ほど出てきますし、経済崩壊直前なんて煽る評論家もたくさんいましたが、現実的にそうはなっていない訳で...。
    共産党独裁が続く限り人民元操作・国営企業赤字隠し・インフラ建設による人民の不満解消...等々、やりたい放題何でもアリなんですからタチが悪い。

    今回違うのはアメリカが仕掛けた貿易戦争があるって事で、これがどれだけ支那を追い詰めるか=習金平の権威失墜に繋がるかなんでしょうかね。
    トランプ大統領もアメリカ議会も支那の覇権狙いの台頭を阻止する為なら、多少の返り血を浴びても痛みは覚悟している節がありますが、世界経済にリーマン級のショックが走ると想定して、日本はしっかりと対策を練っておかねばなりません。

    一部の日本企業では支那から撤退の動きも出てる様ですが、まだまだズブズブのおバカな大手がたくさん残っています。(しかも経団連の重要幹部企業だらけ)
    いつも政府に泣きついてオムツ替えてもらうのはいい加減に恥ずかしいと自覚して、一度くらい自己責任でカタつけろよな!!

    • 木霊 より:

      まあ、支那のリスクは昔からですからね。
      ただ、最近は隠さなくなってきているということかも知れません。
      オリンピックのジンクスとして、経済が悪化するというヤツは、見事に乗り切ったという見方をしている人もいますが、何でもアリですから経済破綻というのは相当のことがない限りないのでしょう。
      大手企業は危機感がないのか、既に侵略が完了しているのか。トヨタも相当リスキーな事をやっている気がしますよ。

  2. 今夜は晩酌 より:

     アメリカは経済覇権を守るために、アメリカの経済規模の70%に迫る国を許さない方針を取るとの話もありますし、(1930年代ナチスドイツ・1980年代日本など)手を緩めることは無いのでは・・と考えます。
     残念ながら、我が日本はアメリカの覇権無くしては、経済的な繁栄が難しい国になってしまっているので、トランプにオッズを積み上げるしかないのでしょうね。
     しかし共産独裁国家が覇権を握ったデストピアなどは見たくもないので、個人的にはトランプには再選してもらい、もうしばらく赤支那国を弱体化してもらいたいものです。

    • 木霊 より:

      アメリカは止めないでしょうね。
      そういえば、今日の記事もそんな内容になってしまいましたが、まあ、日本も立場をハッキリさせないとダメでしょう。
      トランプにオッズを積み上げるしかないというのは、二者択一なんですから、分かり易い話なんですが、駆け引きもありますから、ベッタリというわけにも行かないのかも知れません。現政権はどう考えているんでしょうかね。アメリカ側につくことはハッキリしている気がしますけれど、イマイチ態度が明確じゃない印象があるのですよ。メディアのせいかもしれませんが。

  3. マスメディア反乱軍 より:

    木霊さん、おはようございます。

    ついにファーウィエイに取引禁止が始まりますね、そして「国家安全保障を理由に米国の通信ネットワークから同社の製品を事実上排除する措置を発表。」とか...。

    貿易戦争が単なる支那の覇権台頭の頭を打つだけでなく、国家の安全保障まで含まれているのだけは確かなんでしょう。
    そういえば、孔子学院排除の動きも加速されてきた様で、浸食されてきたアメリカの大学は今後こぞって政府に従わないと色んな不利益が生じるので、これも一気に加速する流れなのかなァ~?

    僕は通信媒体にはそれほど興味はなく(PCは早くないと嫌ですが)、5G技術の恩恵があると言われるスマホの速度もそれほど気になりませんので、今後の「5G」の動向(シェア争い)にもトンとイマイチ感=理解不足があるんですけど(苦笑)、本当のところはどうなるんでしょうね。

    ただ「何とも言いようのない漠然とした不安...。」が残るのは、アメリカと支那の覇権争いが一過性の延命治療に思えてしまう事。
    経済は生き物ですから今は好調で強気に出れるアメリカだって、一旦経済的危機が迫れば支那とどう対応したり妥協するのか予想不能です。

    僕は根本的に解決すべきは支那(=共産党)の独裁がもたらす厄災と考えていますんで、度を越した言論統制と弾圧・少数民族への人権問題・一路一帯で支配されそうな弱小国家の自主存続問題・日本にとっては死活問題の西太平洋への野望...、これらを一括して断念させる国際的な包囲網構築こそ本筋でしょう。

    不屈の復活を繰り返し僕が近代の指導者の中で突出していると思う、今の支那の隆盛を実現した「鄧小平」ですら、共産党独裁の呪縛からは逃れられなかった...。
    古来、支那は「王道」ではなく「覇道」に芯まで染まり切った、日本&日本人とは全く異質な国家・民族と理解していますから、今のアメリカ優勢を楽観視できないんですよね。

    日本は「言論統制や人権侵害」という国際的にも共有可能な支那批判だけは、アメリカなんかの顔色をうかがっている必要はなく、正々堂々ともっと強くそして粘り強く発信していくべきと考えています。

    • 木霊 より:

      きましたねー、ファーウェイの取引禁止が。
      アレでファーウェイが潰せるかどうかは怪しいところですが、アメリカの姿勢を明確にするという意味では、分かり易くて好感が持てますね。
      しかし、あの理屈で行くと、日本企業も相当注意しないとダメだと思います。アメリカで商売できなくなる可能性が高いですからね。