ロシアを訪問する北朝鮮の金正恩氏、歓迎されず

ロシアニュース

ロシアのプーチン氏の事だから、格下の北朝鮮を歓待するなどということは無いとは思っていたけれども、やっぱり現状では歓迎されていないようだ。

金正恩氏、会談での表情硬く ロシア側の対応に不満?

4/25(木) 16:10配信

 【ウラジオストク=小野田雄一】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は25日に露極東ウラジオストクで行われたロシアのプーチン大統領との会談で「私たちの会談が、深いルーツを持つ両国の伝統的な友好関係の発展と強化に役立つことを願っている。温かい歓待に感謝している」と話したが、表情は硬いままだった。プーチン氏との初会談への緊張のほか、予想よりも歓迎の度合いが低かったことへの不満が表れた可能性がある。

「産経新聞」より

しかしこのロシアと北朝鮮のトップ会談は、もう少し大きな視点で見る必要があるように思う。

金正恩氏はロシア初訪問

過去の北朝鮮の指導者とロシア

そもそも、北朝鮮の指導者として歴史上に登場した金日成は、ソ連(現在のロシア)からやってきた。

「抗日の勇者」という触れ込みで北朝鮮の地に降り立った金日成だが、どんな歴戦の豪傑が出てくるかと思ったら、30代の若者だったと言うから(公式に出された年齢で計算すると33歳だという計算になる)驚かれたという。

公式にも抗日活動をした挙げ句に日本軍による掃討作戦で壊滅状態になり、ソ連に逃げた事になっている。……抗日の英雄?

ともあれ、金日成はソ連によって仕立て上げられた朝鮮民族の指導者であり、その後継者に指名したのはソ連生まれのユーラ君だった。

金正恩氏、金日成の家を訪れる

さて、現代に話を戻すが、今回、金正恩氏がロシアを訪問にするにあたって、「金日成の家」を訪れていると報じられている。

金正恩氏、ロシア入り…「金日成の家」訪問も

2019/04/24 12:02

 【ウラジオストク=畑武尊、ソウル=岡部雄二郎】タス通信によると、北朝鮮の金正恩キムジョンウン朝鮮労働党委員長は24日午前、ロシアのプーチン大統領との初めての首脳会談に出席するため、専用列車でロシアに入った。会談が行われる極東ウラジオストクには24日午後に到着する見通しだ。

 正恩氏はロシア側国境のハサン駅で下車し、花束などを受け取って地元の歓迎を受け、「金日成の家」と呼ばれる露朝友好の施設を訪れた。

「読売新聞」より

この金日成の家というのは、露朝友好の施設だという位置づけである。

この友好の施設がなぜロシア側国境のロシア極東沿海地方ハサン地区にあるかというと、この付近に金日成の逃亡先であり、かつ金正日の出生の地があるからである。

なお、北朝鮮の公式発表では、金正日は白頭山で産まれたことになっているが、そうであれば幼名がユーリィまたはユーラだという話が出てくるはずも無く。

つまり、金正恩氏にとってもロシアは自分のルーツを求める上でも非常に重要な場所であるという事が伺える。彼にそんな積もりがあるかどうかは分からないが。

ロシアではあまり歓迎されなかった

少なくとも思い入れはあるだろう、金正恩氏がロシアを初めて訪れたが、ロシア側はあまり歓迎しなかった。

ペスコフ露大統領報道官は24日、会談は「午後1時か午後2時に開始される」と説明していた。しかしプーチン氏は25日、金正恩氏との会談に先立ち、東シベリアのザバイカル地方で発生している大規模な山林火災の対策会議に出席するため同地方の都市チタに立ち寄り。そのため、ウラジオストクの空港に到着したのは午後1時前となり、会談開始は午後2時すぎとなった。金正恩氏は会談会場であるルースキー島の極東連邦大学で、プーチン氏の到着を待つ形になった。

「産経新聞」より

何しろ、大規模な山林火災が発生していて、忙しかったのである。

 しかしトルトネフ氏はプーチン氏とともにチタでの会議に出席。金正恩氏を出迎えたのはトルトネフ氏より閣僚順位の低いコズロフ極東・北極圏発展相や沿海地方のコジェミャコ知事らだった。現時点で24日に夕食会が開かれたとの情報も出ていない。

まあ、仕方が無いね。

ザバイカル地方での火種

そして、この極東地域では別の懸案も燻っている。

【世界を読む】「奪われた領土」極東ロシアに流れ込む中国人…“スーツケースで侵略”は危険な火ダネ

2016.10.4 11:00

 人口が希薄なロシア極東に中国人が流入し、ロシア人を心理的に圧迫している。ロシアの調査機関は今世紀半ばを待たず、中国人がロシア人を抜いて極東地域で最大の民族になると予測する。中国人には19世紀の不平等条約でウラジオストクなど極東の一部を奪われたとの思いがあり、ロシア人には不気味だ。欧米に対抗して蜜月ぶりを演出する両国首脳の足元で、紛争の火だねが広がっている。

「産経新聞」より

じつは、支那からの人民流入が問題になっているのだ。

米ABCニュースは7月、ロシア専門家による分析記事を電子版に掲載した。露メディアによると、国境管理を担当する政府高官の話として、過去1年半で150万人の中国人が極東に違法流入したという。数字は誇張ぎみだとしつつも、「国境を越える大きな流れがあることは確かだ」と記す。

ロシアとしては支那との関係にも神経を尖らせなければならないのだが、この地域はロシアと支那とで領土を奪い合った歴史もあって、かなり複雑な状況となっている。

アジアの若造が来る、という事になって、果たしてその地域のロシア人達が歓迎するか?というと、心配になる感じのネタが揃っている。

モスクワまで行けば良かったのに、金正恩氏側の都合でプーチン氏を極東地域まで呼びつけた恰好になることが、更に印象を悪くしたかも知れない。少なくとも、ロシア国内で「歓迎」のスタイルをとることは難しい材料が揃っている。

歓迎夕食会も無し

更に冷遇されたエピソードとしてこんなニュースもある。

プーチン大統領は別の日程、副首相は山火事対応…金正恩委員長の歓迎夕食会もなく

4/25(木) 8:54配信

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が24日、露朝首脳会談が開催されるロシアのウラジオストクにプーチン大統領より先に到着した。金委員長はこの日午後6時(日本時間午後5時)、専用列車を利用して現地に到着した。一方、プーチン大統領はこの日、サンクトペテルブルクで海軍艦艇の進水式に出席し、上院議員と定例会議を開いた。これに先立ちロシアメディアはプーチン大統領が25日にウラジオストクに向かう予定と報じた。クレムリン(大統領府)担当記者団は24日、ペスコフ大統領報道官が記者団に「25日の首脳会談は午後1、2時ごろ始まる」と述べた、と伝えた。

金委員長が24日に最初の主要公式日程としてプーチン大統領が主宰する歓迎夕食会に出席するという見方もあったが、これも実現しなかった。これを受け、当初1泊2日と予想されていた首脳会談日程も当日会談になる見込みだ。

「中央日報」より

なにかこう、朝鮮半島の指導者は冷遇される定めにあるのだろうか?と勘ぐってしまう話だな。

ただ、地政学的なアドバンテージがあるだけで、所詮朝鮮半島である。こうした扱いは、歴史的にも仕方が無いことなのかも知れない。

コメント

  1. マスメディア反乱軍 より:

    >なにかこう、朝鮮半島の指導者は冷遇される定めにあるのだろうか?と勘ぐってしまう話だな。
    >ただ、地政学的なアドバンテージがあるだけで、所詮朝鮮半島である。こうした扱いは、歴史的にも仕方が無いことなのかも知れない。

    さすがに文クンの2分間冷遇の記録更新とはいかなかった様ですが、南北共に古来朝鮮人は信用ならない劣等民族としかロシアも見ていないんでしょうかね。
    地政学的有利な緩衝地帯として利用し適当に影響力だけ残して置けばいい...、ロシアだけでなくアメリカも支那もそれが本音なのが、ここに来て露骨なまでに出てきた単にそれだけかも知れません。

    3大国の誤算は核と弾道ミサイル保有が思った以上に大規模化した事(標的は欧州を含めた全世界)、さらにロシアと支那にとっては日本統治時代のインフラで鉱工業で見込めた産業が老朽化でガタガタになり(メンテや技術革新に回す金がないから当たり前)、核へ特化し異常な執着心から国際的な経済活動から弾かれた事。

    トランプ大統領は「朝鮮半島には大きなポテンシャルがある」と、一応北との対話の動機とミエミエでリップサービスしますが、それには莫大な資本投入が不可欠な訳でアメリカだって率先するつもりはないでしょうし、経済が苦しいロシアがなおさら本気になるとは思えません。

    >対アメリカのカードとなれば未だ使い様はあるのだろうが、それも覚束ないのが現状である。
    >ロシアを訪問する事そのものが、金正恩氏にとっての「後ろ盾」というアピールの意味になることは事実だろうし、今後もそれなりの支援というのは続けられる可能性は高い。
    >ただ、北朝鮮のためにアメリカと政治力を駆使した駆け引きをするという余力は、今のロシアには無い。

    NATO諸国との緊張が高まりとそれへの対処・何とか中東で影響力を強化し、ウクライナ問題でのアドバンテージを取るのが、プーチン氏の最優先事項でしょうから今は朝鮮半島に本腰は入れれないでしょうね。
    ただ、いつも狡猾にチャチャを入れてかき回してきた油断ならない国ですから、北朝鮮カードは「ゲーム次第で使えるかも?使えなければ早めに捨てればいい。」的なジョーカーと考えていそうです。

    >ロシアにとって、アメリカの妨害工作に寄るところが大きい経済の冷え込みや、頑張れど技術力の蓄積が覚束ない工業製品の製造、内需の拡大という辺りがかなり不振であるため、経済は常に原油や天然ガスに頼らざるを得ない状況にある。
    >そうなるとロシア国民は暮らし向きが良くならず不満が蓄積する。経済悪化に伴って年金支給年齢を上げざるを得ない。更に国民の不満が高まる。

    ロシアが半島情勢の趨勢が決まった段階で狙うとすれば、日本も朝鮮統治時代に着目した鉱山資源じゃないでしょうか?
    レアアースは無いようですがレアメタル(コバルト・タングステン等)を含む資源は300兆円とかの資産評価もあります。(発掘と加工が難しいそうです)
    鉱山開発とウラジオストックまでの鉄道インフラ整備ならロシアでも投資する可能性はありますし、確か北朝鮮とロシア&支那国境沿いの狭い地域にある羅津港(正確に覚えていませんが)は、輸出入には最適の良港だと聞いていますので、ここを拠点にする腹積もりならロシアにとってはプラスじゃないかな?

    その際、当然支那もこれへの権益には強く拘るはず...。
    特に今でも支那最強と噂され清の起源でもある「北部戦区」を管轄する瀋陽軍区が、この港湾に執着しているとかいう記事も見かけました。
    共産党中央とも一線を画している軍事体であり、ロシアと思惑が一致すればどんな事態に発展するか...?

    >プーチン氏の支持率低下はまさにそういった悪循環の上に成り立っており、そんな余裕の無い状況で、北朝鮮に支援したところで見返りはほぼ見込めない。

    プーチン氏は南北朝鮮崩壊後を見据え、アメリカ・支那本国or支那北部戦区との駆け引きを考えているかも?
    いずれにせよ北朝鮮を中心に3大国の動きから、一瞬も目が離せない状況なのは間違いないんじゃないでしょうか。

    • 木霊 より:

      ロシアにどんな利益があるのか?ということに関しては、追記という感じで書かせて頂きました。
      ロシア経済を支えるのは地下資源ではなく技術力でなければならないため、北朝鮮に過度に肩入れすることは可能性として薄いのでは無いかという気がしますよ。
      ロシアは今、北朝鮮情勢に介入している暇は無いので、アメリカを怒らせたくは無いハズです。
      それで無くとも色々な案件を抱えています。
      何も無いのが一番だ、と、そう思っているんじゃ無いですかね?プーチン氏は。

  2. まり より:

    2008年露北で北は露に、羅先港第3埠頭の権益を49年租借。
    露は北に、港湾整備、羅先ーハサン間54kmの鉄路復興を合意した。
    2013年9月22日に鉄路完成。2ケ月後に建設最高責任者の
    張成沢が惨たらしい処刑となった。

    将軍のいざという時の逃亡ルートの、
    南浦ー山東省威海の中国北海艦隊基地までは300kmあり、海路・
    空路のどちらも危険性がある。

    今回、ハサンでのイベント立ち寄り含め、避難場所と鉄路の確認が
    目的だった可能性有りとの事。

    ・キンぺーとは仲が良くない。 ・ぷーの側近混ぜ会談で、ロシア
    鉄道のオレグ・ベロゼロフ社長が参席している。 

    想像以上に、国内が揺らいでいるかもしれない。ハノイの責任は
    金英哲が取らされたとの噂。ぷーは将軍と会った後、すぐに北京へ
    向かってる。 将軍は強力な背後霊を獲得できなかった??

    • 木霊 より:

      今回の訪露は、逃亡ルートの確認だったという話は色々と囁かれていますね。
      確かに、習近平氏との間が上手くいっていないことや、プーチン氏を頼ることによる国際的なアピールの意味はあるのでしょうけれど。
      しかし、北朝鮮の国内情勢はあまり上手くいっていないのでしょう。
      思った以上に制裁が効いているということかもしれませんが。