大阪W選挙で自民・共産党連合が大敗

選挙

嫌らしいタイトルつけてしまったが、今回の大阪自民党には心底ガッカリした。

安倍政権、維新勝利に安堵 大阪都構想「公明は大変だ」

2019年4月8日05時55分

大阪都構想が争点となった大阪府知事・大阪市長のダブル選は、大阪維新の会が再びツートップを奪った。維新は結果を「民意」と位置づけ、都構想を前に進める方針だ。選挙戦で維新と批判合戦を繰り広げた公明党は、協議再開も示唆した。一方、自民党は推薦候補2人が敗れたが、国政政党・日本維新の会との結びつきが強い首相官邸には、今後の政権運営を見据えて安堵(あんど)感も広がる。

「朝日新聞」より

この話、取り敢えずは「大阪都構想」の辺りから整理していきたい。

大阪都構想って何?

大阪府と大阪市の行政範囲

まずはビジュアル的にお示ししよう。

大阪府の中心位置にある大阪市。

面積的には大阪府に対して大阪市の大きさというのは、さほど大きくはない。ただ、大阪市の2016年のGDPは約20兆円と、1つの道府県の県内総生産を上回る規模である。

人口密度は全国の市で5位。政令指定都市中では1位という混雑っぷり。

ただ、東京都のGDPは94兆円、愛知県の県内総生産39兆5593億円(名古屋市は22.5兆円)、大阪府の府内総生産39兆1069億円と、府の規模で考えると全国で3位となっている。

大阪都構想で共闘する自民党と日本共産党

愛知県ー名古屋の関係も大概ではあるが(中京都構想というものは存在したが、頓挫したようだ)、大阪府ー大阪市の関係もかなり歪な形になっている。

一部地域にお金が集中しているというのが、そもそもの問題ではあるのだが、大阪市の権限が大阪府の中で強すぎる上に、大阪府と大阪市で別々に議員がいて、別々の行政が行われている、いわゆる二重行政が問題なのである。

一時期は大阪都構想が実現すれば4000億円の効果が得られるとか言う話もあったが、現実的には1500億円程費用がかかると言われている。

ただ、これもかなり恣意的な話ではある。こういった説明をしているのがこちらのサイト。

今さら聞けない「大阪都構想」
大阪都構想2018年度版|これまでの経緯から現状の認識まで、メリットとデメリットを国民の皆様へ分かりやすく正しく解説します。

検索するとこんなサイトが出てくるのだが、このサイトの何処を探してもどんな団体がこの解説をしているのかさっぱり分からない。既にこの時点でかなり怪しい。

「大阪都」構想に終止符を

2019年3月25日(月)

 4年前、大阪市での住民投票で否決された「大阪都」構想を、大阪維新の会が大阪府知事・大阪市長のダブル選(4月7日)で再び前面に掲げています。「都」構想とは何か。「戦後最大の詐欺」とも言われた「異質の悪政」の正体が選挙戦で改めて問われています。小西ただかず知事候補、柳本あきら市長候補の勝利で「都」構想議論に終止符を打つことがいよいよ重要になっています。(藤原直)

~~略~~

 さらに小西氏は「維新は都構想をやれば行政の効率化が進むというが、そんなことはない。1500億円のコストがかかる」と指摘しています。

 市を廃止して四つの特別区に分割すると、当局の試算でも庁舎整備・システム改修費など初期コストで558億円、運営コストで年41億円、組織体制の影響額(歳出増)で年21億~26億円がかかるといいます。15年間で計1523億円がかかる計算です。

「しんぶん赤旗」より

そして、同じ内容を説明しているのが日本共産党である。

ただ、似たような事を大阪自民党もやっていたので、日本共産党だけを悪者にしても仕方があるまい。

統一地方選 自民党は慢心を戒めよ 

4/8(月) 0:32配信

「安倍1強」が続き、自民党に慢心が広がっているのではないか。

~~略~~

 慌てた自民党府連は「共産党とは一切の関係はありません」とホームページ(HP)で釈明したが、共産党は機関紙「しんぶん赤旗」1面に自民党推薦候補の写真を掲載して「非維新」共闘を呼びかけているだけに説得力に欠ける。

 自民党府連は、安倍晋三首相(党総裁)の顔写真をあしらい、「自共共闘? 維共共闘の間違いでしょ!」と呼びかけるネット用ポスターを無断作成し、官邸を激怒させた。すでにHPから削除したが、お粗末としか言いようがない。

「産経新聞」より

抱き付きだったにせよ、本当に共闘していたにせよ、大阪自民党は日本共産党の協力を断ったり否定したりはしなかった。

結局、日本共産党も大阪自民党も、大阪市の市議としての議席を失うのが怖いだけの保身で共闘していたことが明らかになってしまった。

大阪都構想の実現で変わること

簡単に言うと、大阪市ではなく大阪府の権限で大阪の行政を進められるように仕様というのが、大阪都構想の中身である。

そのために、大阪市は5つの特別区に分けて、大阪のその他の市町村を1つの区として扱って、大阪府のトップダウンで行政をしようという事になっている。

大阪府でやりたいことが、大阪市の反対によって実現しない、大阪市でやりたいことを大阪府で反対する。そんな状態で大阪行政が前に進まないのが、大阪の問題である。

ただ、これは構造的な問題と言うよりは中に巣喰っている人々の既得権益打破が現状の形では難しい、ただそれだけなのである。

大阪都構想について|都構想のQ&A
大阪都構想は「豊かな大阪」実現に向けた未来への基板作りです。お金のムダ。時間のムダ。ひとのムダ。そんな二重行政のムダをなくそう。豊かな大阪を取り戻そう。

こちらがおおさか維新の会による都構想の説明である。

この説明にも欺瞞はある様に感じるが、しかし、己の身も明かさずに他人の政策を説明するサイトよりは信用して良いだろう。

少なくとも、おおさか維新の会はこれを信じて政策を進めていると、そういう事なのだと思う。

「欺瞞」というか気になる部分は、お金に関わる話ではあるが、例えばこの辺りの説明だろう。

Q.大阪市の権限・財源が、大阪府に奪われるの?

大阪府と大阪市がともに担っていた大学、病院、広域インフラなどの事務を大阪都に一元化します。当然、これに必要な財源は大阪都に移転されます。つまり都に移る仕事の分だけ財源も移るという当たり前のことであり、市民が損をするわけではありません。このことを歪曲しているだけで、批判は的外れです。 そもそも、大阪市民は大阪府民でもあり、広域行政サービスの実施主体が大阪市から大阪都に移ったとしても、実施主体が異なるだけで、同様のサービスを受けられる限り市民に不利益はありません。「奪われる」のは、市会議員や役所の抵抗勢力の既得権なのです。

「大阪都構想:おおさか維新の会」より

反対派が主張する「大阪市」の富、2200億円が市外に流出するという主張と真逆に感じるのだが、実は見る方向が異なるだけで同じ話である。

もちろん、反対派の言っている事も間違いでは無い。

大阪は決断した

そして、選挙結果はご存じの通りである。

 柳本氏は、選挙戦で市の存続を訴え「1500億円以上もかかる市の廃止・分割をするくらいなら、いま喫緊の課題である子育てや教育、防災や減災、中小企業支援にもっとお金を使っていくべきだというのが私たちの対案だ」と強調しています。

 小西氏も「大阪の土台である中小企業・商業者はまだまだしんどい状態。子どもの貧困・虐待問題も深刻だ」と指摘。「都」構想議論に終止符を打ち、目の前にある課題に全力で取り組む必要があると、中小企業支援や学校給食の無償化に取り組む決意を訴えています。

「しんぶん赤旗」より

赤旗はこのように締めくくっているが、大阪のグランドデザインを否定して目の前のことしか見ないという話に「NO」を突きつけたのが大阪の市民、府民なのである。

7日午後8時半すぎ、大阪市中央区の維新本部。市長選に出た維新代表で前大阪府知事の松井一郎氏(55)は、「身の引き締まる思い。重責で緊張感の方が高い」と厳しい表情を崩さなかった。都構想について、「反対の声があったのも事実。そうした意見も聞きながら丁寧に進めたい」と強調し、都構想に反対する他党に秋波を送りつつ、長期戦の可能性にも含みを持たせた。

「朝日新聞」より

そして、おおさか維新の会側も「完全勝利」という事にはならなかったし、修正すべき点はあると認めつつ、都構想を進める事を明言した。

都構想の是非

良いんじゃ無いですかね?

色々調べてみたが、現状、僕の理解では都構想が正解とも正解で無いとも言い難い感じだ。

だから、大阪都構想について、なかなか「こうあるべき」という話をすることは難しいのだけれども、今まで問題となっている点を改めるのだ、という姿勢が大阪の市民から評価されたと言うことなのだから。

そして、おおさか維新の会が、その「改革」の路線、実績について評価されたと言う事でもあるのだろう。

大阪自民党の為体は、見ていて哀しくなるものがあった。新しいものばかりが良いとは言わないが、主義主張の異なる日本共産党と手を結べてしまうような節操の無さ、その事こそが批判された選挙であったと、そう思う。

追記

常勝関西での敗北

ついつい、見落としてしまった話だが、この結果も大阪の選挙としては見逃せない話だ。

4票差、6票差… 公明候補「常勝関西」で落選相次ぐ

2019年4月8日01時40分

 関西では大阪市議選と京都市議選で、公明党の公認候補の落選が相次いだ。
 4人が立候補した大阪市議選の東成区選挙区(定数3)では、現職の則清ナヲミ氏(58)が大阪維新の会の新顔と最後までもつれ、4票差で落選。6人が立候補した京都市議選の下京区選挙区(定数4)では、現職の西山信昌氏(46)が6票差で落選。再選を果たせず、支持者に「このような結果になり、申し訳ない」と深々と頭を下げた。

「朝日新聞」より

この「常勝関西」とは一体何なのか?というのが、この記事の最後に書かれているんだけれど、説明が足りないね。

公明は、関西では支持母体の創価学会が「常勝関西」と呼ばれる組織力を背景に衆院で小選挙区を複数維持するなど、選挙戦の強さを誇ってきた。

公明との支持母体は、創価学会というカルト教団である事は皆さんご存じの通りである。え?カルトじゃなくてセクトだ?……まあ、そうかも知れない。

このブログでも宗教の話題はご遠慮頂きたく思っているのだが、これは特定の宗教を攻撃したくないという話ではなく、宗教に基づいた話だと議論の余地が無くなるからである。

信じるところからスタートする宗教と、事象を疑ってかかる議論は、相性が非常に悪いのだ。

さておき、この創価学会の会長だった池田氏(死亡説は流れているが、今のところ死亡とは発表されていない)が、かつて選挙活動を精力的に行い、勝利をもぎ取ったのが関西の選挙区だったことが「常勝関西」の由来である。

なお、この選挙の後に池田氏は選挙で違法行為をしたとして逮捕され、勾留されているようだ。

そこを落としたのだから、公明党としては非常に不味い状況にあるといって良いだろう。おおさか維新の会は公明党との連係を画策しているようだが、そこに手を伸ばすのは不味いと思うよ。

コメント

  1. あるけむ(R.K.M)@fwbc1965_3 より:

    まず、佐藤ゆかり衆議院議員(自民)のFacebookでの発言を引用します。
    (一部伏せ字にします)

    >3月30日【大阪府議会議員選挙】府議選2日目、○○市選挙区自民党公認
    >○○○○○○候補の個人演説会を○○で行いました。○○候補は、自民党から
    >多くの府議会議員が離脱し維新の会に移って行った時、たった一人自民党に残り、
    >自民党として頑張った議員でした。

    実は、維新に多くの議員が移動したあとの残骸が、現在の大阪自民と言われています。
    逆に言えば、現在の大阪自民は、維新に移動出来なかった議員しかいないという状況のようです。

    • 木霊木霊 より:

      大阪の実情まではなかなか理解出来ていないところはあります。
      ただ、大阪自民党の動きがおかしいのは、そもそもおおさか維新の会に多くの議員が引き抜かれた遺恨なども関わっているのでしょうね。
      そういった個人的な恨みで政局を作り出すのは止めて欲しいものですが。

  2. マスメディア反乱軍 より:

    木霊さん、おはようごうざいます。

    地方自治が重んじられる訳なんでしっかりとした政策と争点を掲げて競うのは、多選が問題になっている一部の首長(与野党相乗り)よりマシだと思いますが、共産党と連合するのはいくらなんでも拙いでしょう。
    でも、ご指摘の様に安倍ちゃんは憲法改正で大阪維新に配慮しているから、表面的には傍観を決め込んだ訳で、地方自治と国政(というより都合)が連動するのは嫌な感じがしますね。

    まあ、太郎ちゃん(麻生)みたく個人的恩讐から対立候補を擁立し、国会議員と県自民党分裂まで引き起こしたのに、見事なまでの惨敗でメンツをつぶすよりマシでしょう。

    吉村氏も松井氏も実力者のようなんで、後ろにいる「橋下氏の傀儡」とまで言えないかもだけど、橋下氏の揚げる予算削減の指標や、時々勇ましく持論を展開する情報が大間違いだったりするんで信頼できず、僕は「維新」自体を胡散臭く感じています。

    僕は最初から橋下氏は「抵抗勢力を作り世論を誘導」という、ミニ小泉版としか思っていませんが、最初に仕訳され自民党に残らざる得なかった議員達も、逆襲のパワーすら未だに見えないのは情けないもんですね。

    • 木霊木霊 より:

      この話、個人的な好き嫌いで行くと、おおさか維新の会が提唱する大阪都構想って、あまり好きになれないんですよね。
      吉村氏も松井氏もその熱意は分かりますが、割と胡散臭い部分も(汗
      ああ、橋下氏もそうなんですけどね。

      しかし、それと大阪市民の決断を支持するのは別の話です。
      少なくとも、現状のままでは不味いんだという、そう考えている人は多そうですから、今回の結果に繋がったんじゃ無いのかと。

  3. 匿名 より:

    複数のコメントを書き込むのは、あまりよろしくないと考えていますが、一件目とは無関係な内容なので、書き込みます。

    「大阪都構想」ですが、個人的には「大阪市の分割」だと考えてます。

    住民投票の結果を見て、所得水準と賛成割合が関連有りそうだと感じました。
    これは、所得水準が高い層が、低い層に対する住民サービスに不満を持っているのではないかと考えました。
    逆に、所得水準の低い層は住民サービスの低下を危惧しているので、そのような結果になった気がします。

    所得水準が高い層は、大阪市の分割により、住民サービスの改善を期待している気がします。

    個人的には、大阪府(大阪市)の復権には、大阪都構想を実現させて、インフラ投資など企業を呼ぶ対策を打つための予算を確保することが必要ではないかと考えています。
    (最終的には大阪府民の判断ですが)

    • 木霊木霊 より:

      そうですね、大阪の分割、というご指摘は正しいと思いますよ。
      おおさか維新の会もその様に説明していますし、分割してそれぞれの地区にサービスの拠点を置くような話も出ています。

      そういう意味で金銭的メリットが出るかどうかは怪しい部分もありますが、それは住民サービス向上という意味では、寧ろ望ましい結果になるのかなと。