アメリカ、トルコへのF-35A戦闘機の関連機器輸出を中止

欧州ニュース

アメリカの嫌がらせ、という理解も出来るが、防衛戦略的には当然の措置とも言える。この話はコメントでも幾つか頂いていたけれども、本格的に決断したらしいね。

米、F35関連機器のトルコ納入を停止 ロシア製ミサイル導入受け

2019.04.02 Tue posted at 19:33 JST

(CNN) 米国防総省は2日までに、同国製の次世代戦闘機「F35」に関連する機器のトルコへの納入を停止した。トルコ政府がロシア製のミサイル防衛システムの購入を決断したことを受けての措置だという。

「CNN」より

このニュースを取り上げた背景には、「お笑い韓国軍」にも関連するからなんだけどね。

F-35A戦闘機は何故トルコに輸出されないのか

F-35A戦闘機はステルス戦闘機

分かりにくいニュースかもしれないが、先ずはF-35A戦闘機を紹介しておこう。

従来の機体と何が違うかというと、ご存じの通りF-35戦闘機はF-22戦闘機同様にステルス性を重視されて設計された機体であると言う点だ。

電波の反射角度を、入射した方向に反射しないような工夫によって、レーダーに映りにくいように工夫されているのである。

S-400防衛ミサイル

一方で、トルコが導入しようとしているのがロシア製の防衛ミサイルである。

かなり優れた防空防衛システムだと宣伝されており、S-400を導入を決めた国はトルコ以外にも多数ある様だ。

S-400「トリウームフ」について知っておくべきこと

2018年10月11日

 10月初め、ロシアは防空システムS-400「トリウームフ」をインドに配備するという内容で50億ドル規模の契約を結んだ。新システムによって、ロシアの同盟国はいかなる脅威をも無力化する突破不可能な丸天井を自国周辺の空に築くことが可能となる。

 だが果して、S-400はインドや中国、さらにトルコ(NATO加盟国)までもが米国の経済制裁の恐れを顧みずに購入を検討するほど優れた兵器なのだろうか。

「Russia Beyond」より

この記事を参考にするならば、かなり高性能な防空防衛システムだと言えるだろう。アメリカが有するパトリオットミサイルの2倍の射程距離、というだけでも脅威を覚えるには十分であるが、高次元の対ステルス戦能力も備えているとされている。

S-400とF-35Aを一緒に運用するとどうなるのか?

さて、そろそろお気づきの方もいるだろう。

トルコは長期にわたりF35の開発に関わってきたが、米軍幹部や国防当局者らはかねてトルコがS400の購入に前向きであるとしてその影響に対する警戒感を表明していた。S400は北大西洋条約機構(NATO)の運用するシステムと互換性がなく、配備されればF35に関する情報がロシア側に漏れるリスクもあるという。

「CNN」より

この様に書かれているが、要はS-400迎撃ミサイルによってF-35A戦闘機が撃ち落とせるかどうか、ということを確認出来てしまうのである。

果たして、S-400でF-35Aが迎撃できるかどうかはアメリカ軍も知りたいところではあろう。ただ、万が一それが明らかになる、或いは対処出来るようなデータを提供する事にでもなれば、F-35A戦闘機の有効性に関わる話になるのである。

ロシアがトルコに販売するS-400ミサイルの生産を開始

2018年4月25日15時11分21秒

ロシアはトルコのS-400防空システムの生産を開始した、と製造会社RosoboronexportのゼネラルディレクターAlexandre Miheevは4月25日に述べた。

「私達は契約を実行し始めました。S-400の納入については話していません」
国営通信社のRIA Novostiによると、Miheevはトルコ南部のAntalya州で述べた。

「Daily News」より

ロシアは既に生産を始めたと言っているわけで、そりゃ、アメリカとしてはこれを輸出するのを躊躇するだろう。

懲罰的な決定

もちろん、S-400を購入するならF-35A戦闘機の関連機器は売らない、という懲罰的な意味もあるとは思う。

トルコも共同開発のF35、米が機器の出荷停止

2019/04/02 11:08

米国防総省は1日、トルコへの最新鋭ステルス戦闘機F35の関連機器の出荷を停止したと発表した。トルコが導入予定のF35の運用を妨げるのが狙いだ。

「読売新聞」より

読売新聞は、懲罰的な意味合いが大きいような報道っぷりになっているが、これも誤りというわけではない。

米、F35生産からトルコ排除も シリア情勢に波及懸念

2019/4/2 16:37

【ワシントン=中村亮】トランプ米政権がロシアとの軍事協力を深めるトルコに対して対抗措置に乗り出した。1日に米国の最新鋭ステルス戦闘機「F35」の生産からトルコ企業を排除したり、同機の引き渡しを凍結したりする構えを見せた。トルコが反発するのは必至で、シリアなどでの軍事協力に亀裂が生じるリスクをはらむ。

米国防総省は1日の声明で、トルコがロシア製の地対空ミサイルシステム「S400」を配備することについて「受け入れられない」と批判。対抗策として「トルコが担う(F35の)部品生産の代替供給元を探している」と明らかにした。トルコ企業は機体の胴体や着陸装置の一部の生産を担うが、供給網から締め出す考えを示したものだ。米国はトルコに対してF35の運用能力構築に必要な機器の提供も停止した。

「日本経済新聞」より

日経新聞はもう少し詳しく報じているね。

トルコがF-35A戦闘機の部品生産をしている話はご存じな方も多いと思うが、アメリカはこの点も代替供給元を探していると、言う話になっている。

もちろん、日経がこの記事を報じているのは、「日本企業にもチャンスがあるぜ」というそういう話なのだが。

戦慄する韓国軍

さて、この先は、僕の勝手な予想ではあるが、折角買ったF-35A戦闘機なのだが、部品が供給されずに運用できないリスクが!!!

なお、何故そんな事を言っているかというと、韓国軍が導入しようとしている迎撃ミサイル「天弓」がどうやらS-400の技術を流用する疑いがあるからだ。

「天弓」が整備中に誤発射事故
一発だけだから誤射(笑)だな。韓国軍の地対空ミサイル、整備中に誤発射事故記事入力 : 2019/03/18 13:49 18日午前10時38分ごろ、江原道・春川の韓国空軍部隊で整備中の中距離地対空ミサイル「天弓」が誤作動で発射され...

さー、どうする?

え?戦慄していない?いやー、それはそれで危機管理能力が低いとしか言わざるを得ない。

コメント

  1. マスメディア反乱軍 より:

    中東で唯一のNATO加盟国であり日本との親交も長い歴史があるトルコなんですが、アメリカとのもめ事はエスカレートするばかりで心配しています。

    数年前に「海難1890」という映画で、イラン・イラク戦争でテヘランに取り残された日本人の為に、自国民退去用の旅客機を提供したエピソードが有名ですよね。
    なんと当事国の国策企業であるJALは、労働組合の反対やら安全じゃないとかの理由で避難活動を拒否したとか噴飯ものでした。
    ただ、最初から毅然と機長を志願したのは、同じ年の直後に起こった大悲劇あの「御巣鷹山」で殉死される人物だったようです。

    話が逸れましたが、イランもシリアのアサド政権もアメリカとトルコにとっては共通の敵のはず...、独立を狙うクルド人なんかも絡んでいるようなんで利害の対立もあるんでしょうけど、何とか穏便に済ませられないのかなァ~。
    お互いに損だけしか残らないような気がしますが。

    ロシアのS-400は戦闘機乗りも恐れる優秀な地対空迎撃ミサイルとかで、それはソフトを含めたシステムの完成度の高さ故でしょう。
    F-35の識別と迎撃能力を敵国ロシアがテストできるのですから、いくら共同開発に金を出したからといって天敵となる兵器を買うのは非常識過ぎで、アメリカが怒るのは当然でしょうね。

    ご指摘の通り南朝鮮の「天弓」もS-400ベースの様なんで、一方には関連機器輸出停止、もう一方にはすんなりと配備を許す...、この差(というか矛盾)の持つ意味とアメリカの意図が判りません。
    しかも、F-35購入数ではイギリス・日本に次ぐ100機を予定しているトルコです、お金ファーストのアメリカなのに、南朝鮮の倍以上になるビジネスとの整合性も理解するのが難しい。

    何かもっと大きな隠された裏がありそうと僕は想像しています。
    EUのゴタゴタに嫌気がさしNATOから脱退する目論見があるとか、その代わり支那の一帯一路に参加する意思が強いとか(支那が裏で切り崩しの暗躍)...。

    何卒、穏便に収まるよう願っています。

    • 木霊 より:

      今回の記事はあまり深掘りしていないので、もうちょっと深い部分がありそうと言うのは、ご指摘の通りだと思いますし、下でkujiraさんが指摘されるような話もあるのでしょう。

      トルコもアメリカの言いなりというのは面白くないでしょうし、利益を最大化出来ないと言うこともあって、ロシアを巧く利用している感はありますよね。

      ただ……、F-35Aの話を持ち出されると、これまでかけてきた費用との相談もあって、なかなか突っ張りきれないように思えます。

      穏便には行かないのでしょう。

  2. kujira より:

     補足も兼ねて、もう少し視点を広げて見ます。

     S-400を運用予定国として、現在トルコとインドがあります。
     米国通商代表部は先月(3月)、この2カ国に対し、GSPプログラム(新興国に対する輸出優遇策)からの除外を発表しています。これまで認めていた関税免除などの優遇措置を打ち切ると発表したことで、S400を導入予定の両国を狙い撃ちにした制裁では?という見方もあります。(一応表向きの除外理由は、トルコは新興国から卒業、インドはアマゾンやウォルマートに対する電子商取引に新たな制限を課したことに対しての純粋な経済制裁(市場アクセスの不整備)としています。)
     
     こうしたS-400へのけん制とも見える動きがある一方で、米国は2017年インドにF-16の自国生産許可及び第三国への輸出を認めるなど、強力な支援を行っています。またトルコに対しても米国製最新ヘリコプターの納入は続いているなど、軍事的な繋がりは保ったままです。

     トランプと米政府(特に軍)との間には、相当考え方に隔たりがあることも踏まえ、
    ・F35はもともと輸出を前提として開発されたものであること(ラプターとは違う)
    ・F35とS400の共存が望ましくないという理屈は、ロシア側にも当てはまること
    ・中国包囲網としてのインド、クリミア制圧したロシア封じ込めに不可欠なトルコ
    などから考えて、今回のトルコに対するF35関連の問題は、安保問題ではなく貿易問題としての見方が正しいのかなと思っています。
     雑な言い方をすれば、
    「S400買う金あるならパトリオット買え!、じゃないとドラクエ(F35)売らないぞ」
    という抱き合わせ販売要求に過ぎないと見ています。
     特にトランプの強調したい点は「F35を売らない」ではなく、「パトリオット買え!」の方だと見ています。

     日本だと、この程度の米国のジャブを貰うと問答無用で従いますが、トルコなどは米国の意図を見透かして交渉することには長けており、どういう対処をするのか楽しみですし、日本外交もこのあたりの動きは、いい加減覚えてほしい。

    • 木霊 より:

      そうですねぇ、インドもS400を購入するという話がありましたね。
      そして、アメリカはF-16を売るとか言う話になっていたはずです。
      そういう意味では、この記事の一面だけ切り取って論じるのは危険なのかもしれませんね。

      ご指摘の様に「安保関連」での脅しより「経済的側面」が強かった可能性は高いのですが、寧ろ、外交的な駆け引きに使われた政治的側面の方が強い気はしています。
      まあ、経済も軍事も外交のツールですから、同根といえばそうなのかもしれませんけど、アメリカはパトリオットを売りたかった、という話では無い気がしますよ。まあ、これはあくまで勘なので、具体的な根拠はありませんが。

      ともあれ、ご指摘の通り更に大きな枠に広げてみないと、という点はまことにごもっとも、であります。
      もうちょっと考えて見たいと思います。

    • マスメディア反乱軍 より:

      kujiraさん、「視野を広げて」との事ですが何か違和感あり過ぎで、失礼ながら「逆に視野が狭まった=本質を矮小化した」イメージが強過ぎると感じました。

      「貿易戦争の一環」と仰いますが、そもそも関税攻撃を仕掛けたのは、公知の事実であるトランプ大統領とエルドアン大統領確執から始まっていますよね。
      胡散臭い宗教関係者の拘束を「人権問題」とした是非はどうかと思いますから、首脳同士の子供並喧嘩に近くアメリカ関係者も頭を痛めているでしょう。

      いくつか論拠を挙げらていますので僕の感じた違和感を書きます。

      >S-400を運用予定国として、現在トルコとインドがあります。

      インドの事も知っています、既に支那は配備済みの様ですからね。

      >米国通商代表部は先月(3月)、この2カ国に対し、GSPプログラム(新興国に対する輸出優遇策)からの除外を発表しています。これまで認めていた関税免除などの優遇措置を打ち切ると発表したことで、S400を導入予定の両国を狙い撃ちにした制裁では?という見方もあります。(一応表向きの除外理由は、トルコは新興国から卒業、インドはアマゾンやウォルマートに対する電子商取引に新たな制限を課したことに対しての純粋な経済制裁(市場アクセスの不整備)としています。)

      ちょっと無理があるんじゃないかな? そもそも「関税免除などの優遇措置を打ち切ると発表したことで、S-400を導入予定の両国を狙い撃ちにした制裁では?という見方」の出典を明示頂きたいもんです。

      >こうしたS-400へのけん制とも見える動きがある一方で、米国は2017年インドにF-16の自国生産許可及び第三国への輸出を認めるなど、強力な支援を行っています。またトルコに対しても米国製最新ヘリコプターの納入は続いているなど
      >軍事的な繋がりは保ったままです。

      両国を取り巻く敵の違いとアメリカとの関係変化の観点が抜け落ちていると思いますねェ~。
      それにインドに対しては特に露骨な経済制裁はしていませんよね、当然な話でLM社とインド最大財閥でF-16Vを生産する大プロジェトなんですから、トルコとは事情が全く違います。(兵器産業資産の合意の意味は大きい)

      インドとはインド太平洋同盟(支那包囲網)が進んでいますし、長くアメリカも支援してきたインドの敵パキスタンとの関係は悪化中。(パキスタンはイラン包囲網の為に神経を使ってきたけど、支那・ロシア頼りへすでに軸足を移しそうな雰囲気。)
      トルコはイラン・シリアはアメリカと共通の敵、さらに悩ましい好戦的でアメリカが絶対に切れない今でも仮想敵国イスラエルがありますから、元々アメリカオンリーは安全保障的にあり得ない。

      >トランプと米政府(特に軍)との間には、相当考え方に隔たりがあることも踏まえ、

      これは想像の域ですが僕もあり得ると思っています。

      >・F35はもともと輸出を前提として開発されたものであること(ラプターとは違う)

      開発協力国のレベル3とはいえトルコも貢献したのに、敵国イスラエルは最優先の顧客指定で当初50機から75機まで増やす計画もありますから、トルコとしては面白くないでしょう。
      未だに最強の戦闘機であるF-22(ラプター)とは、運用目的が全く違うので余計な蛇足だったんじゃないですか。

      >F35とS400の共存が望ましくないという理屈は、ロシア側にも当てはまること

      この比較が一番まったく理解不能ですね、1発1億円以下の迎撃ミサイルで被る損失は、機体価格で100倍以上ですし、精鋭の戦闘機乗りを育成する費用と命を考える以前の話でしょう。
      S-400の性能把握と引き換えにして臨時るには、余りにも迂闊で大きすぎるリスクじゃないですか?

      > ・中国包囲網としてのインド、クリミア制圧したロシア封じ込めに不可欠なトルコ
      >などから考えて、今回のトルコに対するF35関連の問題は、安保問題ではなく貿易問題としての見方が正しいのかなと思っています。

      アメリカにとっては支那・ロシア包囲網にトルコが欠かせないはずで、トルコにとってもリラ暴落をいつまでも放置できないはず。
      しかし、経済政策の失敗で苦しいエルドアン大統領は、ある意味アメリカのせいにして世論の支持を回復する目論見があるとしたら、「貿易問題」ではなく「国内経済問題」じゃないでしょうか?
      一歩間違えばヤバい橋を渡っている訳で、どこでアメリカと手打ちをするか探っているという見方もできますけどね。
      安保を賭金に使っているのですから危ない火遊びなのは間違いないと思いますよ。

      >雑な言い方をすれば、
      >「S400買う金あるならパトリオット買え!、じゃないとドラクエ(F35)売らないぞ」

      ご自覚の通り「雑」だと思いますね。(失礼)

      中東はもとよりアジア諸国も大半が東西折衷で武器を調達してきた歴史があります、PAC-2/3はイスラエルも装備しているのですから、それより長距離で(短中距離)弾道ミサイル・航空機まで標的にできるS-400をチョイスは当然で、アメリカだっていまさら承知でしょう。
      *但し、PCA-2/3~イージスシステムorTHAADを含めたMD体制を目指すアメリカ・ヨーロッパ・日本と、S-400でプチMDを構築するロシアとは発想が全く違いますから、一概にPAC-2/3が劣っていると短絡は禁物でしょう。

      トルコとしてイラン・イスラエルの短中距離ミサイル&航空機を迎撃できればいい訳で、遥かに高額になるアメリカ型MDvsS-400とのコスト比較だけの結果とシンプルに考えた方が、僕にはスッキリしますねェ~。
      それより、スタンドアローンでも多彩な任務をこなせる、マルチロール機のF-35の販売停止の方が痛いはず。

      アメリカは3選が禁止されたトルコとはいえ、ロシアどころか支那にも近づく油断ならない「全方位外交」の、次期エルドアン傀儡政権を阻止したいんじゃないかなァ~。