ブレグジットとメイ首相

欧州ニュース

もはや、「ぐだぐだ」としか言いようが無い。

離脱協定案可決へ“進退”引き換えに賭け

3/28(木) 6:53配信

EU(=ヨーロッパ連合)からの離脱が難航する中、イギリスのメイ首相が27日、離脱協定案の可決と引き換えに辞任する考えを表明した。ロンドンから亀甲博行記者が伝える。

「日テレニュース」より

イギリスの首相になる前には、メイ氏は離脱反対派だった。

それを、首相になってからは離脱を目指して努力するというような職務をこなしている。そういう意味では生真面目な方だなと言う印象ではある。気の毒だよ。

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キャメロン氏の失策と国民投票の結果

国民投票が行われる

2016年6月23日に行われたイギリスの国民投票は、イギリスのEU離脱を問うものであった。

EU離脱派勝利が示す国民投票の怖さとキャメロンの罪

2016年06月24日(金)17時29分

欧州連合(EU)残留・離脱を問う英国の国民投票は衝撃的な「離脱」を選択した。離脱派の英国独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ党首はいったん敗北を認めたが、6月24日未明、「夜が明けたら英国はEUから独立する」と宣言した。

「Newsweek」より

当時、イギリスの首相を務めていたキャメロン氏としては、この国民投票を行った結果、EU残留が選択されると信じていたようだ。

で、責任をとって辞任する流れなのだが、何とも無責任な話である。ちなみに、キャメロン氏も残留を望んでいたと言われている。短期的には残留した方が利益が大きいから、当然の判断と言えるかも知れない。

国民投票のリスク

そもそもだが、国民投票というのは非常にリスクの高い投票方法である。

選挙は往々にして報道に左右されやすく、その時の感情に左右されやすい。

キャメロン氏が国民投票をした経緯は、2010年代にイギリス独立党の人気が高まった為に、イギリス国内でその勢力を伸ばした。キャメロン氏はイギリス保守党として2015年の総選挙を戦った際に、「EU加盟継続の是非を国民に問う国民投票」を約束した。

そして、約束通り2016年に選挙を行うにいたるわけだが、ここで離脱派が多数となり、離脱するに至る。

しかし……、離脱派多数とはいえ、51.89%の脱退支持、48.11%の残留支持という状況であり、割と意見が拮抗していた。この結果をもって「離脱」を選んでしまうと言うのが、国民投票の一番のリスクだろう。

「賛成」か「反対」かの二元論では無く、最大の利益を追求して話し合うというのが、議会制民主主義の良い点なのだが、国民投票でそれを潰してしまったのだから、バカバカしい。選挙で「議会制民主主義を否定する国民投票をやります」といった政党に投票するのが間違いなんだよね。

なお、票の分析をするとこんな感じになって、「黄色が残留」で「青色が離脱」となっており、イングランドは離脱を望み、スコットランドは残留を望んだ、というような分析も出来る。

これは、経済的にスコットランド側にとって、残留の方がメリットが高かったからだと言われている。

ハードブレグジットかソフトブレグジットか

「ハードブレグジット」は、EUとの合意なしに離脱する場合の事を言い、「ソフトブレグジット」は、EUとの合意を得て離脱する方式のことを指している。

しかし、現状はハードブレグジットに至る可能性が極めて高いと言われている。

焦点:ハードブレグジットは起きるか、想定されるシナリオ

2018年8月8日 / 16:56

英国が合意なしで欧州連合(EU)を離脱する「ハードブレグジット」が起きる可能性が、じわじわと高まりつつあるように見える。先月、EUのバルニエ首席交渉官が、メイ英首相が示したEUとの新たな通商協定案の根幹部分について受け入れを拒否したからだ。

「ロイター」より

そうなると、EUとの関税や輸出手続の面で大きな混乱が起こると予想される。

特に、自動車や金融の面ではダメージを受ける可能性が高く、既に外国メーカーは動きがある。

日本のホンダやトヨタは、イギリスにある工場の在り方の見直しを発表している。ホンダは撤退を、トヨタも一部移転を検討するということを伝えている。

金融の分野も深刻だ。

焦点:「ブレグジット・プレミアム」、英企業襲う金利上乗せ

2018年12月8日 / 18:29

英企業は、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)がどのような形で進もうとも業績悪化が見込まれるとして、金融市場からの資金調達で欧州の同業他社よりも高い金利、つまり「ブレグジット・プレミアム」を求められる傾向が強まっている。

「ロイター」より

イギリスのロンドンは世界最大の金融街であり、金融業の拠点がシティとドックランズに集中している。

金融サービスに関してもEUの恩恵を受けているため、ここに税金などがかかってくるような話になってくると、大きなダメージを受ける可能性が高い。

つまり、イギリス経済の主柱2本に大きなダメージを受ける可能性が強くなってきているので、流石にこれは、としか。

メイ氏の決断

総選挙によって過半数を失う事態に

で、こんな状況は既に予想されていた話。ところが、メイ氏は失策を重ねてしまう。

与党過半数割れ、EU離脱に影響 首相続投へ

会員限定有料記事 毎日新聞2017年6月9日 21時24分(最終更新 6月10日 12時03分)

 【ロンドン三沢耕平】英総選挙(下院選、定数650)は9日午前(日本時間9日午後)までの開票の結果、メイ首相率いる保守党が改選前から議席を減らして、単独過半数を割り込み、どの政党も過半数に満たないハングパーラメント(宙づり国会)となった。メイ氏は続投の意向を示しており、連立政権樹立のため少数政党に協力を求める協議に入る。だが「強い政権基盤」を求めて解散に踏み切ったメイ氏の責任論は避けられず、欧州連合(EU)からの離脱交渉にも大きく影響しそうだ。

「毎日新聞」より

2017年の総選挙で負け、過半数を失ってしまうのだ。

その結果どうしたかというと、政権を維持するために民主統一党の支持を受けることになるのだが……、この政党は、ゴリゴリの右派で保守の立場を表明している。つまり、メイ氏の所属する保守党とは親和性が高いものの、主義主張はかなり違う。

これによって、メイ氏は政策の自由度を失っていくことになる。

EUにブレグジット疲れ 英に「次の一手」明示要求

2019/3/23 4:04

【ブリュッセル=森本学】英国の欧州連合(EU)からの離脱延期を決めたEU首脳会議が22日、閉幕した。

~~略~~

メイ政権に閣外協力する民主統一党(DUP)は「メイ首相のEUへの提案の失敗は明らかに分断や議論を招き、残念で許せないものだ」と強く批判。強硬離脱派やDUPは過去2回の英議会採決でメイ首相が提示した離脱案に反対しており、週明けの3度目の採決で一転して可決させるのは難しい情勢だ。

「日本経済新聞」より

民主統一党が事ある毎に口を挟んでくる事態になっているからだ。

まあ、自業自得ではあろう。

背水の陣を

そこで、冒頭のニュースに繋がる。

こうした中、メイ首相は27日、保守党議員との会合で「離脱協定案が可決すれば、離脱交渉が次の段階に入る前に辞任する」との考えを伝えた。自らの進退と引き換えに支持を取りつけ、今週にも行われる3回目の採決で離脱協定案を可決させることを狙ったもの。

「日テレニュース」より

辞任は無責任だと思うのだけれども、他に手が無いのも事実なのだろう。興味深いのは、「可決すれば辞任」と言っている点だ。「私が嫌いなら可決しろ」と迫った訳だ。

何しろ、EUとの交渉でメイ氏は奔走しているのだが、第1ラウンドのEUの交渉から第3ラウンドの交渉まで、EUとの利益が対立する中、何とか合意に漕ぎ着け内容は、かなりの割合で議会に否決されている。何でも反対の野党は質が悪いねぇ。

およそ順調な状況とは言い難い。

今年に入ってから、イギリス議会がアレも否決した、これも否決したというニュースが流れていた。

英首相、ブレグジット協定可決なら辞任意向 代替8案の「示唆的投票」は否決

2019/3/28

イギリスの欧州連合(EU)からの離脱をめぐり紛糾する英下院(定数650)は27日、ブレグジット(イギリスのEU離脱)の期限を延長するための法的手続きを可決した。下院はさらに、テリーザ・メイ英首相がEUとまとめた離脱協定に代わる議員提出案8案について、「示唆的投票」を行ったが、2度目の国民投票案を含むいずれの案も否決された。メイ首相は、離脱協定を可決すれば首相を辞任する用意があると与党・保守党の下院議員に伝えた。

~~略~~

2度目の国民投票案は、最大野党・労働党のデイム・マーガレット・ベケット議員が提出したもので、268票と最多の賛成票を得た。

「BBCニュース」より

その上で、「国民に信を問うべきだ」ですか。

やってられませんな。

議会政治の限界をここに見た気がする。

日本への影響

日本は内需主導型であるから、ブレグジットの影響は限定的だ、ということを言いたいところだが、特にハードブレグジットが選ばれれば政界経済は混乱するだろうし、ヨーロッパ方面への車の売れ行きの減退は、日本にとっても大きなダメージが予想される。

これで消費税を上げるんですか??

景気後退への懸念相次ぐ、追加緩和論も 日銀3月会合

湯地正裕 2019年3月26日19時49分

 日本銀行は26日、14~15日の金融政策決定会合の「主な意見」を公表した。この会合は景気全体についての判断は据え置いたが、政策委員からは景気が後退する懸念を指摘した意見が相次いでいた。「経済・物価情勢の局面変化に際しては、先制的に政策対応することが重要」など、追加緩和に積極的な意見もあった。

「朝日新聞」より

日銀が弱音を吐いているが、日本経済は去年の半ば頃から悪化し始めているようで、現段階で追加緩和の妥当性を検討するのは遅い。

安倍首相がタオル投げるしかない、日銀の異次元緩和出口-池尾教授

2019年3月28日 6:00 JST

池尾和人立正大学教授は、長期化する異次元緩和の出口に向かうには、2%物価目標実現のためにリングで戦う日本銀行に対し、安倍晋三政権がもはやその必要はないとタオルを投げてあげることが唯一の道だとの見方を示した。このまま出口が来なければ、団塊の世代が後期高齢者となる2020年代後半以降、国民はシートベルトを締めて危機に備えるしかないと語った。

~~略~~

池尾教授は東京証券取引所が進める市場改革の有識者会議の委員も務める。日銀は異次元緩和の一環としてTOPIX連動型の投資信託(ETF)を大量に買い入れているが、市場改革がこれに影響を与えることはないだろうとの見方を示した。市場再編により最上位の指数から外れる銘柄が出ることについても、「短期的に売られても中期的には経営実態を反映した値動きになるだろう」と述べた。

「ブルームバーグ」より

ブルームバーグが憤飯ものの記事を書いていたが、これは景気見通しを日銀が誤ったから招いた事態でもあるので、「タオルを投げろ」というのはちょっと無理がある。

「タオルを投げろ」とは試合を終了させて選手をリングから下ろせといっているに等しいので、あわよくば俺が日銀総裁にと言うスケベ心を感じる内容とも言える。

ただ、そもそも日銀に単独で戦わせていた事が問題で、日銀だけでは問題解決が出来ないのが、日本経済の実情なのである。

大幅な財政出動をしてハコモノを作れとかいう話をするつもりはないのだが、政府が緊縮財政を強いられる現状は良くない。特に、インフラへの投資は積極的にやるべきであったのに、これが渋い。

そうした状況で、政界経済の不安定化が進んでいるのだから、安倍氏にはタオルを投げるのでは無く、政府をリングの上に挙げて戦わせるくらいのことをしてもらうべきだろう。

ハードブレグジットの影響はデカいぜ。

コメント

  1. 暇人 より:

    こんばんわ

     「法的拘束力はない」とあれだけ喧伝した沖縄の辺野古埋め立てに関する投票でも、知事が望む結果が出たものだから、「これが民意だ、これでいくらでもひっくり返せる」と息巻いているのを見ても、二者択一を民衆に迫る投票がいかに危険なのかがわかります。
     英国では「もう1回国民投票を」といった声が出ているそうですが、ここでやって、もし離脱反対が多数になったらさらなる大混乱を招くでしょうし、再度離脱賛成が多数となってもやはり混乱は避けられず、もうもつれた糸はほどけそうも無いですね。何かいい手はあるのでしょうか?

     消費税増税は、軽減税率を勝ち取って静観というかスルーを決め込んでいた新聞も、そろそろ「延期もあるかも」と書くようになりました。個人的には軽減だのポイントだのややこしいことは一切やめリセットして、シンプルにした上で増税時期は再度検討するべきとは思いますが。

    • 木霊 より:

      もう一度国民投票をと云うのは否決されたようですよ。
      メイ氏は、もはや辞めるしか無いのかもしれません。

      消費税は、上げない公算が高くなってきましたねぇ。
      今は6:4位で上げない感じになっているみたいですよ。

  2. とくめい より:

    コメントテストもかねて。
    日本でもワンイシュー選挙なんてやらかした、党の定年後はせっせと売国に走る元首相がいますから、あまり他人事と思えないですねぇ

    もう少しまじめに言えば、国の根本的な在り方、憲法改正に等しい巨大な変化を生むEU離脱について国民投票を行ったこと自体は悪いとは思わない。
    ただ、「自分たちが決めたことだ」という意識の欠如は民主主義というより、直接投票制の限界でしょうね。
    イギリス政府がやるべきことは、しつこい位に先の国民投票の結果を公報して「お前らの決定だ」と言い続けることじゃないかなぁ
    反対派は勢いに乗るかもしれませんが、過半数をとれなかった。それで決まったのがイギリスの法だと言い続けるしかない。

    ただまぁ、ほぼ票が割れた上にその後の交渉で揉めに揉めてますからね。
    いまから「やっぱりやーめた」では国際的な信用を失う。かといってハードランディングになったら金融リスク……イギリス的には移民を抑制しつつEUとのFTAなりは締結しておいしいところは維持したい、なんでしょうけども。
    EU的にはリスクも負担も追わずにおいし所を持っていこうとするイギリスは許さん、となるし……EU内部で独り勝ち(と思われがち)なドイツを悪者にするのがいいんじゃないかな?イギリス的には。