3.11で原子力発電所は破壊されたのか?

原子力発電

2011年3月11日に起きた地震が切っ掛けで、福島原子力発電所の原子炉建屋は破壊された。

福島の不幸は一体何に起因していたのだろうか?

福島第一原発事故8年 2011年3月21日に何が起きたのか? 米エネルギー省のデータが示す事象とは?

3/11(月) 15:25

データは、その時々に起きた事象を映し出す。

 米国エネルギー省が、原発事故直後から、各地の放射線量を時々刻々と計測していたことは、前回の投稿(3.11から8年 “トモダチ作戦”で被曝した米兵23人が癌に 米連邦地裁は米兵の訴訟を却下)の中で触れた。

「yahooニュース」より

僕はこの様なデマを未だに流す人がいること、そのことこそが問題だと、その様に考えている。

福島第1原発は何が破壊したのか?

あのとき何が起こったのか

地震がトリガーになった、多分その事は間違い無いことだろう。

あの地震が無ければ、福島第1原発は今なお動いていたのだと、そう思う。また、原発安全神話もそのままだったかも知れない。

原発存続の是非に関しては、ここで議論するつもりは無い。良い面もあるが悪い面もあるのだ。そんな事は、何処の世界でも一緒である。

ただ、原子炉の破壊は非常に大きなインパクトをもたらすからこそ、あれだけの大騒ぎになった。そして、福島第1原発に起きた多くの問題は今なお解消されていない。その事は事実なのである。

しかし、「たら」「れば」を言っても詮無き事ではあるが、事実として福島第1原発の1号炉から4号炉まで(5号炉、6号炉は1号~4号炉とは離れた位置にある)は地震で建屋が、或いは原子炉が破壊されるようなことは無かった。

福島第1原子力発電所 航空写真

また、その後、福島第1原発を襲った津波でも原子炉建屋を破壊するようなことは無かった。

では何が原子炉建屋を破壊したのだろうか?

日時時刻出来事
 2011.03.11 14:46 東北地方太平洋沖地震発生(震度6強で被災)
  稼働中の1号~3号炉が自動停止
  鉄塔の倒壊、送電線断線により外部電源喪失
  非常用電源の起動
 15:27津波の第一波到達
  津波により非常用電源を喪失
  非常用バッテリーで電源を確保
 17:00東京電力より電源車が出発
2011.03.1200:06吉田所長、ベントの準備を指示
 03:00東電より官邸にベント作業実施の同意を求める
  官房長官よりベント作業待機指示
 07:11菅直人、福島第1原発に乗り込む
 14:30ベント作業の成功を確認
 15:361号炉原子力建屋、水素爆発により大破
2011.03.1411:013号炉原子力建屋、水素爆発により大破
2011.03.1506:144号炉原子力建屋、水素爆発により大破

3つのポイント

「全電源喪失」というのは確かに深刻な問題ではあった。

だが、ここで理解すべきは物事を素直に評価することであり、そのポイントは少なくとも3つあると思う。

1つ目のポイントは、津波による発電施設の水没で発電施設が使えなくなった事である。福島第1原発を守る為の防波堤が高ければ、こうした事故に繋がらなかった可能性はあるだろう。全電源喪失しなければ~、とはよく言われるね。

ここで補足しておかねばならない事実は、5号炉、6号炉、及び福島第2原発は、この地震による影響は無かった点である。また、津波による影響については軽微で、非常用電源は1基だけだが残ったことで、冷却を続けることができた。

なお、1号~4号炉は標高10m、5号、6号炉は標高13m、福島第2原発は標高12mという設置条件であり、この2mの高低差が悲劇を生んだという見方もできる。

2つ目のポイントは、東電から出発した電源車が渋滞で遅れて到着が遅れたことと接続出来なかったことである。東電が保有していた電源車62台のうち、原子炉の電圧と合う電源車は1台だけであり、出力が足りなかったことが問題だとされている(Wikipediaによる)が、これは事実と異なる。実際は、数mに及ぶ堆積した瓦礫などの影響で電源にケーブルが接続出来なかった。

電源車 ほとんど役に立たず

5月17日5時45分更新

東京電力福島第一原子力発電所には、3月11日の事故のあと、失った電源を復旧させるためにおよそ70台の電源車が向かいましたが、津波によるがれきの散乱などで作業が難航したうえ、水素爆発の被害も受けて、実際にはほとんど役に立たなかったことが東京電力の調査で分かりました。

~~略~~

この電源車がうまく機能したかを東京電力が調査したところ、発電所の敷地内に、津波によって車の進行の邪魔となるがれきが散乱していたり、ケーブルをつなぐ配電盤が水につかって故障したりしていたため、電気をうまく供給できなかったことが分かりました。 それでも、地震の発生からおよそ24時間がたった3月12日の午後3時ごろには、2号機の配電盤にケーブルをつなぎ、電気を供給する準備がいったんは整ったものの、その直後に起きた1号機の水素爆発によってケーブルが損傷し、電源車は自動的に停止したということです。

「NHK」より

結局、2011年3月12日15時にようやく電源車を接続出来たものの、水素爆発の影響でケーブルを破損。電源供給はできなかった。

電源確保ができたのは翌13日のことであり、火力電力発電所とケーブルで接続出来たということのようだ。

3つ目のポイントは、史上最悪の総理と呼ばれる(最低は鳩山由紀夫)菅直人が官邸に権力一極集中するという事を決断した事だ。

災害発生の翌3月12日に自衛隊の派遣規模を2万人から5万人に拡大するよう指示、更に翌13日には陸海空あわせて10万人規模の災害派遣を指示、18日には10万人を超える態勢を指示したとされている。

自衛隊は現員が22万4422人(2017年3月31日現在)という規模なので、これが如何に異常なことか分かると思う。現場に半数を投入というのは、有事発生や、補給を一切考慮しない数字である。

そして、一括して官邸から指示ができる体制に拘った為に、東電から自衛隊に支援要請など、連絡を禁止し、東電の指示での自衛隊の活動を禁止した。

この決断が自衛隊の活動に如何なる影響を及ぼしたかは、説明するまでも無いだろう。

ポイントから学ぶべき事

1つ目のポイントは分かり易い。

結局、津波が問題だったのだから、堤防を高くするとか、高台に電源施設を作ったり、或いは浸水を想定した発電設備を作ったりと言うことで対応できる事が分かるだろう。電源喪失しなければ、問題が無かったのは、福島第1原発5号炉、6号炉でも実証されているし、福島第2原発、女川原発でもそうだった。

2つ目のポイントは評価しにくい部分を含むので、「こうだ」ということが言い難いのだが、瓦礫の除去が問題であったのであれば、瓦礫の影響が出にくい場所に電源ケーブルを接続するための施設を作る必要があったのではないか。

また、電源車が現場に着くまでに、電源を接続するという前提で場所の確保ができていなかったと言う事を考えると、そもそもの作業指揮系統に問題があった可能性はある。

そして、そこに関わってくるのが3つ目のポイントである。現場の指揮系統が混乱しているにもかかわらず、更に現場を追い込むような無能な指揮系統を造り上げてしまったことが、非常に大きな問題である。

当時、政府にプロフェッショナルがいなかったことも問題だが、自分こそがプロフェッショナルだと信じて出しゃばったアホがいたことが日本の不幸であったと言えるだろう。

そうだとすると、1番目のポイントは自民党にも大いに反省してもらわねばならないが、2つ目、3つ目のポイントは、「人災である」という根拠を補強するだけの話になってしまう。

トモダチ作戦で被曝した人は?

さて、話は変わるが、トモダチ作戦で被曝した人について、である。そりゃいるだろうよ。

少なくとも、当時の原子力発電所の事故で、放射線物質が撒き散らされていたのは事実であるし、空間線量も高かったのは報じられている通りである。被曝した人がいない方がおかしい。

ただ、被曝は線量が問題なのだ。

環境省より 被爆「早見図」

ここに環境省が示した早見図があるが、放射線被曝は日常的に発生している。

健康被害に繋がるのは1000mSvを超える被曝をした人々に限られると言われ、この事は経験的にそう言われているだけで、1000mSvを超えたら即時問題が発生すると言う訳では無い。

3.11から8年 “トモダチ作戦”で被曝した米兵23人が癌に 米連邦地裁は米兵の訴訟を却下 

3/10(日) 10:42

東日本大震災と福島第一原発事故から、まもなく8年。

福島第一で汚染水処理問題が続く中、カリフォルニア州サンディエゴでは、2つの集団訴訟が却下の憂き目にあっていた。

「yahooニュース」より

大変ありがたいことではあるが、トモダチ作戦と称して米軍2万4000人が作戦に参加してくれた。

ここで、1年間に人口10万人あたりに何例癌と診断されるか?という調査報告を見てみよう。

3)部位別のがん罹患率(1年間に人口10万人あたり何例がんと診断されるか)

2014年のがんの罹患率(粗罹患率)は男性810.6、女性558.0(人口10万人あたり、全国合計値)。

多くの部位、特に、口腔・咽頭、食道、胃、肝臓、喉頭、肺、膀胱、腎臓などで男性が女性より罹患率が高い。

甲状腺では女性が男性より罹患率が高い。

「国立がん研究センター」より

意外に多いことが分かるが、20代の男性が10年後に癌を発症する確率は0.2%、30代の男性が10年後に癌を発症する確率は0.6%という数字があるので、これを参考にして0.4%程度は癌を発症する確率があるとしよう。

2万4000人の0.4%は一体何人だろうか?なんと、96人である。

確率論的に言えば、0.2%でも、48人は癌を発症しても不思議は無いという結果になる。

 米兵の子供や胎児にも影響が見られるようだ。ある米兵の子供は、生後26ヶ月の時、脳腫瘍と脊椎癌で亡くなり、ある女性米兵は妊娠中に先天性欠損症のある胎児を宿していることがわかり堕胎を選んだという。

「yahooニュース」より

また、放射性欠陥は遺伝しない。

こうした話が如何に荒唐無稽なものであるかは理解頂けると思う。

もちろん、福島第1原発の事故による影響で被曝し、癌の発症をした人はいるだろう。だが、確率的な事を考えれば、その因果関係は無いといえる。作戦に従事しなかった人でも癌を発症するリスクはあるのだ。

今、本当にするべき事は何ですか?

今なお、仮設堤防の福島第1原発

今年の1月にこんなニュースが流れた。

設防潮堤の高さ11メートルに 福島第1原発の津波対策

2019.1.12 16:30

 東京電力は、福島県の海沿いにある福島第1原発で増設する防潮堤について、海からの高さを11メートル、全長約600メートルの規模とすることを決めた。平成31年度上期に本体工事に着手し、32年度中の完成を目指す。津波による重要設備の被害も軽減でき、廃炉作業の遅延も防ぐ狙いがある。

「産経新聞」より

このニュースを読んで違和感を感じられた方はどの程度いるだろうか?

福島第1原発、仮設防潮堤を建設 東電が余震・津波対策

2011/4/30付

東京電力は30日、福島第1原子力発電所で、今後の大規模な余震と津波を想定した対策に着手すると発表した。発電所南東側に仮設防潮堤を建設する。

~~略~~

仮設防潮堤は3、4号機タービン建屋の東側から南側にかけて建設する。石を詰めた金属製のかごを積み重ね、間に遮水シートを挟んで水の浸入を防ぐ。津波の高さは最大10メートルを想定。タービン建屋は標高10メートルの場所にあり、1、2メートルの防潮堤を築けば、浸水が防げるとみている。6月中旬までに工事を終える。

「日経新聞」より
福島第1原子力発電所の減所

実は、福島第1原発の堤防は今なおこんな状態なのである。

この状態で同じ規模の津波が来たらどうなるのか?説明しなくても分かる話である。

増え続ける「汚染水」

この他にも問題はある。

トリチウム水の放出に反対相次ぐ

2018/8/30 12:3112/7 10:08updated

東京電力福島第1原発で汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含んだ水の処分を議論する政府の小委員会は30日、国民から意見を聞く初めての公聴会を福島県富岡町で開いた。最も現実的な選択肢とされる海洋放出など現在検討中の処分方法を説明。公募で選ばれた14人が意見を述べ「結論ありきで話が進んでいる」など海洋放出に反対の意見が相次いだ。

「共同通信」より

このニュースにもどの程度の方が違和感を感じられただろうか?

福島第1原子力発電所の現状その2

「仮置き」の積もりで作られたタンクは日々増え続けているが、これを減らす目処は立っていない。

汚染水100万トンに、トリチウム1000兆ベクレル-経済産業省が海洋放出を計画。福島県の漁業関係者・市民は反対

2018/10/20

福島第一原発の事故処理で発生している汚染水の量はこれまでで約100万トンにおよぶ。経済産業省はこれを薄めて海へ流してしまう計画について、8月30日に福島県富岡町で、31日に同県郡山市と東京で公聴会を開催、応募に当選した漁業関係者や市民ら計44人が意見を述べた。うち42人が海洋放出に強く反対、多くは貯蔵の継続を訴えた。

~~略~~

たとえば、東電が定めた目標値はトリチウム1リットルあたり1500ベクレル。これは複数の放射能がある場合に法令が求めている条件をもとにして定めたものである。汚染水をこの条件以下に稀釈し、1日あたりの放出量上限を500㎥とすると、すべての汚染水の放出にはなんと500年以上かかることになる。その前に500年も経てば、半減期12・3年のトリチウムはほとんどがヘリウムに変わってしまう。

「THE BIG ISSUE ONLINE」より

これなどは笑ってしまうのだが、記事の中に結論が書かれているのに、「汚染水」と名付けられた処理済み水は、未だに処理の目処が立っていない。

福島を大きな地震が襲えば、一気に汚染水を溜めている容器は破損して海洋にその中身をぶちまけることになるのだが、それは気にならないらしい。

そして、半減期が12年~13年程度と自分で書いておきながら、放出上限が変化していない(論理的には12年経てば放出上限量は倍になるはず)のである。

災害に学べ

8年経って、「風化させない」と誓っている方も大勢いるが、思い出は風化するものである。

風化させて問題になるのは教訓であり、現状を考えると何も教訓から学んでいない事が分かる。

原発に至っては、震災後にできた新しい基準をクリアした(本来であれば遡及法にあたるので望ましくない)ものであっても、再稼働は世論によって阻まれている状況である。

新しい原発を作る事の是非は考えるべきだが、再稼働を阻む意味は殆ど無い。寧ろ、放置されている「アブナイ部分」に早々に対策を講じるべきなのである。

大東亜戦争の事もそうだが、いい加減、日本人は過去に起こった出来事をきちんと評価することを誠実に評価しなければならないのでは無いだろうか。

福島第1原発の事故に関して言えば、あれは被害規模と小さくできる事故であったと評価出来る。起こってしまった事故はどうにもできないが、これから起こる可能性のある事故は被害を抑える事が可能なのである。

人災だったということは、認めるべきだと思うんだ。

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