衛星の独自打ち上げは事実上不可能と嘆く中央日報

迷走韓国宇宙開発史

ダメだヨ、韓国人の夢に水を差しては。

韓国、ヌリ号打ち上げ成功しても衛星独自打ち上げは事実上“不可能”

2021.03.30 06:49

「来年に月軌道船を打ち上げて、2030年までに韓国の発射体を利用した月着陸の夢をかなえる。われわれも、われわれの衛星を、われわれが作った発射体に載せて宇宙に打ち上げることができるようになった。また民間が革新的な宇宙産業を主導する『ニュースペース』競争にも本格的に参入することになった」

25日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が全羅南道高興(チョルラナムド・コフン)の羅老(ナロ)宇宙センターで開かれた「ヌリ号総合燃焼試験参観および大韓民国宇宙戦略報告会」で明らかにした言葉だ。大統領の発言は事実なのだろうか、希望なのだろうか。

「中央日報」より

突っ込みどころの多いムン君の演説を、真っ当に評価しようとして失敗している印象の記事だが、そもそも韓国大統領の発言に真実味を求めてはいけない。大抵は口から出任せだ。

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ホルホル宇宙開発史

何故「事実上不可能」なのか

さて、何故、韓国はロケットの打ち上げが可能となっても人工衛星が打ち上げられないのか?

今年10月に予定された韓国型発射体(KSLV-2)ヌリ号の打ち上げが成功したとしても、米国の輸出統制政策が変化しない限り、韓国は実用人工衛星はもちろん、月着陸船の打ち上げもできないことが明らかになった。

「中央日報”韓国、ヌリ号打ち上げ成功しても衛星独自打ち上げは事実上“不可能””」より

打ち上げ成功が前提というのが、何とも苦笑いするしかない話なのだが、韓国には人工衛星の打ち上げも出来ないし、月着陸船の打ち上げも出来ないとしている。

ふむ、それは何故?

科学技術系のある関係者は29日、「米国は国際武器取引規定(ITAR)等を通して、自国の技術が入った人工衛星や宇宙探査船を韓国宇宙ロケットに載せて打ち上げることを許諾しないでいる」とし「大陸間弾道ミサイル(ICBM)への転用が可能な宇宙ロケット技術が拡散することを防ぐための装置」と話した。また「米国は今も韓国の宇宙発射体開発が国防用途に転用される可能性があると疑っている」とし「韓国の宇宙発射体開発を認めた場合、ブラジルなど第三国の同じような要求を拒否するのが難しくなるという論理も展開している」と付け加えた。米国・日本・フランスなど1987年ミサイル技術管理レジーム(MTCR)が作られる以前に宇宙ロケット技術を確保した8カ国は例外だ。

「中央日報”韓国、ヌリ号打ち上げ成功しても衛星独自打ち上げは事実上“不可能””」より

アメリカのITARが問題だ、ということらしい。

??

国際武器取引規制(ITAR)とは、武器輸出規制法に基づき、宇宙機器や人工衛星など軍事利用につながるハイテク製品の輸出について定めた米国の法令。国防総省が定める軍需品リストに掲載された製品を輸出するには国務省が発行する免許と審査が必要になる。

つまり……、アメリカは、アメリカの技術が他国に流出することを禁じているので、韓国がロケットを打ち上げる時にその技術が手に入らないということのようだ。あれ?韓国さん、自国で研究開発したのでは?

アメリカの武器輸出規制

アメリカは、最先端の技術の流出に懸念するようになったのは、支那で多くのコピー兵器が出回るようになったから。

で、EAR(Export Administration Regulations)と呼ばれるルールを作った。

Export Administration Regulations (EAR)

コチラにそれについての説明があるので説明は省略する。そのルールの1つが国際武器取引規制(ITAR)というものである。

もともとはソ連との冷戦の時代に制定されたルールで、西側諸国の技術が東側諸国に流出することを懸念して作られたもので、1976年に制定されているようだ。

ITARに定められるルールは、(a)物理的な商品に関するものと(b)技術データに関するものの2つに分類されている。

このうち韓国が懸念している技術は、「IV:ロケット、誘導ミサイル、弾道ミサイル、ロケット、魚雷、爆弾、地雷」、「XV:宇宙船システムおよび関連機器」、「XVII:他に列挙されていない分類された物品、技術データおよび防衛サービス」のカテゴリーに分類されるものだろうか。

この分類に属する技術がアメリカから輸出されることは規制されるし、アメリカに輸入される場合にも制限がかかる。ただ、2013年に防衛認可法が可決されているので、アメリカの国際的なパートナーには商用衛星の輸出やら衛星技術の輸出が許可されるような態勢になっているようだ。

まあ、このご時世で当然の配慮ではあるが、アメリカしか出来ない芸当でもある。日本だって重要技術が流出しないように手当てする必要があるのだが、残念な事にアメリカの真似は出来ない。アメリカに比べて世界への影響力は随分小さいので、域外にまで日本の力を及ばせるようなことは出来ないんだよね。

さておき、宇宙開発に関わるアメリカの技術は持ち出すのも使うのも難しいってことだね。

……だから自主開発をしているのでは?

米国・日本・フランスなど1987年ミサイル技術管理レジーム(MTCR)が作られる以前に宇宙ロケット技術を確保した8カ国は例外だ。

「中央日報”韓国、ヌリ号打ち上げ成功しても衛星独自打ち上げは事実上“不可能””」より

法律が出来る前に技術を獲得した諸国が除外されるのは当たり前であるが、コレもおかしな話だ。ルール的に遡及できない、と、それだけの事なんだから。流石OINKの国は違うな!

(注:Only in Korea、韓国でしか起こりえないことの意味で、韓国国内では法の遡及が概念的に認められるので、後から出来た法律で過去の事実を罰するケースがある)

完全な独立

どうにも中央日報のロジックが理解できないのだが、次の文脈を読んでいこう。

結局、文大統領の「月着陸船」発言が現実化するためには、人工衛星技術の完全な独立が優先されなければならない。さらに、核心技術の国産化が可能だったとしても米国の輸出統制政策が緩和されない以上、国産衛星の打ち上げだけしかできない。米国スペースXや日本H2ロケットのように海外の人工衛星を打ち上げる発射サービスも行うことができない。

「中央日報”韓国、ヌリ号打ち上げ成功しても衛星独自打ち上げは事実上“不可能””」より

うーん、既にスペースX社で人工衛星を打ち上げたり、ロシアのロケットで打ち上げたり、ギアナ宇宙センターからロケットを打ち上げたりしたじゃ無いか。何を言っているんだ??

……はっ。

そうか!

この話、韓国のロケット開発が成就して外国の人工衛星を打ち上げるサービスをする前提なのか。凄いな!まだ成功していないロケットで、「発射サービス」とか、凄すぎる。

うーんとどうやら、中央日報が心配しているのは、自国のロケットの打ち上げが失敗することとか、その後の人工衛星打ち上げも、月軌道への衛星投入も、月着陸する発射体を打ち上げることも、失敗することは欠片も考えていないようだ。

それよりも、宇宙開発を続けても「商売になる見込みが無い」ことを心配しているらしい。とんだ取らぬ狸の皮算用だな。

宇宙探査推進ロードマップ

同じ悩み?

さて、さらにこの文章は続く。

韓国型発射体はすでに開発完了段階に近づいているが、月着陸船用部品の需給や先行技術の確保は米国との交渉なくしては容易ではない。科学技術情報通信部がこれまで「着手条件」が揃えば、2030年ごろに月着陸船を打ち上げるというあいまいな計画に固執した理由がここにある。

「中央日報”韓国、ヌリ号打ち上げ成功しても衛星独自打ち上げは事実上“不可能””」より

意味が分からないのだが、どうやらこちらもおかしなロジックを組み立てているようだ。

ロードマップには月着陸船の自力打ち上げの「着手条件」として▼韓国型発射体の安定性確保▼支障のない部品需給▼先行技術確保--の3つを規定している。

「中央日報”韓国、ヌリ号打ち上げ成功しても衛星独自打ち上げは事実上“不可能””」より

この記事は、韓国型発射体、つまりヌリ号の事をさす中央日報の言い回しらしいのだが、コレが完成に近づいているのにかかわらず、「支障のない部品需給」や「先行技術確保」が必須としている。

コレの意味するところは、韓国のヌリ号がAndroidスマホと同じだということ、或いは韓国型潜水艦と同じだということである。

つまり、多くの部品を外国製に頼っている、お笑い韓国軍と同じ構図になっているという話なのだ。

そう考えるとこの話も何となく理解ができる。だからこそ、アメリカのITARに引っかかるのだ。

2040年までに100基の民間衛星打ち上げ計画があるようだが、そもそもこういった問題が残っている状況で計画をぶち上げるというのは、なかなか韓国らしい話。

そうすると、同じ悩みというのは理解が出来てくる。

結局、借り物の技術と、裏切る不信を持たれている

アメリカにとって韓国は同盟国であり、軍事作戦を連携して行う事が想定されている。

それどころか朝鮮半島にて何らかの有事が勃発した場合に、アメリカ軍側が判断すれば、いつでも米韓連合軍が行動するという事になる。

味方を信頼できないというのは、「常に疑うべき」という原則論ではなく、単純な不信感を保たれている状況が今なお続いているのは、そもそも米韓同盟は「対等な関係」ではないことを意味する。

ところが、この様な韓国に対してもミサイルやロケットを持ってもらうのは困ると考えて作られたのが、米韓ミサイル指針である。

韓米ミサイル指針が改正 衛星ロケット制限なく研究開発へ

Write: 2020-07-28 17:32:07/Update: 2020-07-28 17:39:00

韓国で衛星打ち上げ用ロケットの研究開発をする際に設けられていた制限が廃止され、今後は宇宙ロケットの研究開発や生産が制限なくできることになりました。

大統領府青瓦台が28日、発表したところによりますと、衛星打ち上げ用ロケットについて、これまで液体燃料のみを使用し、固体燃料の使用を制限していた韓米ミサイル指針が28日を以って改正され、今後は、民間の企業や研究所でも様々な目的の衛星打上げ用ロケットの研究開発や生産・保有が制限なくできるようになりました。

~~略~~

文在寅大統領は2017年の3回目の改正で、アメリカのトランプ大統領との会談で、韓国が開発し配備可能なミサイルの弾頭重量に関する制限を廃止することで合意しています。

「KBS WORLD」より

最近まで、「勝手に宇宙開発してくれるな」というルールのようだったが、それも制限が徐々に緩められて、去年の段階で民間における研究開発、生産までが許可されるようになったようだ。

アメリカにとって韓国を縛る事の意義が失われてきたことを意味するが、それは韓国が信頼に足る存在だということではなく、開発を縛る事の意味がなくなったということだ。

「コイツは裏切り者になるのでは?」という不信から、「完全に裏切りやがった」という状態だと、僕は考えている。そして、アメリカが規制しても北朝鮮や支那に技術が流出する心配が失われたので、「開発しても良いよ」ということになった。

だからこそ、2040年までに100基の人工衛星を民間で打ち上げられるほど技術開発を推進しようという計画をぶち上げたのである。ただ、それが実現可能か?というと、現実的にはアメリカから技術を貰わないと立ちゆかないのが韓国の現状だと嘆くのが中央日報の本音なのだ。

でもさ、ヌリ号打ち上げの成功を先ずは祈念しようぜ。先のことはそれから考えれば良いではないか。

コメント

  1. 木霊さん、おはようございます。

    僕も記事を読みましたが何だかよく判らない内容でした。

    まずはヌリ号の発射実験成功があっての話でしょうに、商業ベース参入の為には独自(=国産)技術を開発する必要があるって事なら、今さら細かな弱点を心配したところでどうにもならんでしょう。
    逆に言えばヌリ号の肝の技術は国産なんか嘘っぱちだったと告白したも同然ですね。

    >コレの意味するところは、韓国のヌリ号がAndroidスマホと同じだということ、或いは韓国型潜水艦と同じだということである。
    >つまり、多くの部品を外国製に頼っている、お笑い韓国軍と同じ構図になっているという話なのだ。

    文クンの月面着陸2030年宣言は政権末期のいつもの無責任な妄言というオチの見えた笑い話でしょう。

    >「コイツは裏切り者になるのでは?」という不信から、「完全に裏切りやがった」という状態だと、僕は考えている。そして、アメリカが規制しても北朝鮮や支那に技術が流出する心配が失われたので、「開発しても良いよ」ということになった。

    F-35やRQ-4の輸出許可なんかも含めて、もし技術が支那に流失したところで問題なし(それに備えてセーフガードを構築している)、そして南朝鮮がやっと運用できる時には時代遅れという読みもアメリカにあるんでしょうかねェ~。

    • アメリカがどんな積もりで様々な近代兵器を韓国に売りつけているのかはよく分かりません。
      ただ、高価なオモチャを次々と壊す子供、のような構図になりつつありますので、その辺りが狙いなのかも知れませんね。

      そしてロケットの話にもどると、やっぱり地道に積み重ねてこそです。
      まずは10月頃に打ち上げられる予定のロケットに期待したいですね!