この話は、意外に重要なポイントが幾つがあると思ったので取り上げてみた。
韓国・迎撃システムTHAAD近くで「未確認飛行物体」騒動
2023年1月18日 10:32
韓国慶尚北道星州で17日、在韓米軍の最新鋭迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)ミサイル」基地周辺に未確認飛行物体が現れ、韓国軍が対応作戦を進めた。
AFPより
韓国に配備されたTHAADミサイルだが、イロイロとトラブルがあって有効に機能している状態とは言い難い。アメリカもこの決定に後悔しているんじゃないだろうか。
基地がドローンに襲撃される?!
米兵が対応
ところで、AFP通信の記事では「韓国軍が対応作戦を進めた」と書かれていて、ドローンの迎撃も韓国軍がやったような印象ではあるが、別の記事では在韓米軍が墜落させたと書かれていた。
韓国のTHAAD基地に接近したドローン、在韓米軍の妨害電波で墜落
1/19(木) 7:49配信
慶尚北道星州にある在韓米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)基地に接近した飛行体が、在韓米軍のジャミングガン(電波妨害装置)によって墜落したことが分かった。韓国軍当局は、北朝鮮が同機を送った可能性は低いと判断し、墜落した機体を探している。
yahooニュースより
何が気にかかったか?というと、前回ドローンを撃墜できなかった騒ぎがあって、韓国軍は今回は撃墜できたのか?ということである。
年末に北朝鮮から飛来したと思われるドローンに、韓国軍は右往左往した訳だが、今回は迎撃したらしい。韓国軍が迎撃出来たのであれば、一体、どうして可能だったのか?ということは、気になったわけだ。
実際は、どうやら在韓米軍のジャミングガンによって撃墜したというのが答えのようだ。
陸軍第2作戦司令部によると、17日午後1時ごろ、THAAD基地の哨兵が、基地の外郭で小型民間商用ドローンと推定される未確認飛行物体が接近するのを見つけた。同司令部はドローン防御システムを使って対応作戦を実施。電波撹乱(ジャミング)装備でこの飛行物体を墜落させたという。
AFP「韓国・迎撃システムTHAAD近くで「未確認飛行物体」騒動」より
ちなみに、発見したのも米兵のようだね。
何処から飛来したのか
さて、THAAD基地に飛来したドローンだが、「恐らくは韓国国内から」という風に分析されているようだ。
これまで北朝鮮が送った偵察用無人機は2~3メートルの大きさで、国内の商用ドローンよりは機体が大きい。また、これらの無人機はドローンのように遠隔操縦方式ではなく、GPS信号を受けて事前入力された経路を飛行した。軍当局はこのような点から、同機が北朝鮮から送られた可能性は低いとみている。警察は、誰がドローンをTHAAD基地の近くで飛ばしたのかを調べている。
yahooニュース「韓国のTHAAD基地に接近したドローン、在韓米軍の妨害電波で墜落」より
確かにコレまで北朝鮮が運用してきた無人偵察機とは違うのかもしれない。


コレが過去に飛来してきた機体で、残念ながら2022年末に飛来した機体は撃墜できなかったので写真にも残っていない。
この手の無人機がかなりの高度で飛行して、情報収集するというのが北朝鮮のパターンなので、ジャミングガンの有効射程距離に入って来る程度の高度に飛行している点で、これまでとTHAAD基地の一件とは違う印象は受ける。
韓国のTHAADは未だに運用出来ていない
ところで、THAAD配備の話は、2016年7月に出てきた話だった。が、未だに配備は完了できていない。
住民の反発の中、深夜の星州THAAD基地に軍装備搬入
登録:2022-09-05 06:40 修正:2022-09-05 07:25
韓国政府が慶尚北道星州のTHAAD(高高度防衛ミサイル)基地に、週7日いつでも地上接近を可能にする措置に入った。「THAAD基地の正常化」は尹錫悦大統領の大統領選挙公約だった。THAAD反対団体は「深夜を狙って不意打ちをした」と反発した。
ハンギョレ「住民の反発の中、深夜の星州THAAD基地に軍装備搬入」より
おかしいな、2017年には全てのシステムが揃って、運用開始できるというニュースが流れていたのに。
THAAD基地の正常稼動までに残った段階は、THAAD基地内の米軍施設が占有している韓国軍所有敷地を米軍側に供与する手続きなどだ。国防部は敷地供与手続きを今月中旬頃に完了する計画だ。THAAD基地の環境影響評価も速度を上げている。基地稼動のための必須関門である環境影響評価協議会は住民代表委員を選定できず空転していたが、先月19日、星州郡が郡民1人を推薦し、協議会の構成が終わった。しかし対策委は、政府が住民代表の身元を公開しておらず、住民からの意見収集自体が不可能であるため、評価協議会の構成が無効だと主張している。
ハンギョレ「住民の反発の中、深夜の星州THAAD基地に軍装備搬入」より
まーだ、「正常稼働」がどうとか言っている段階なのだから、不思議というべきか。何がどうなってそうなっているのかがよく分からない。
こっちの記事なんかを読むと、問題になっているのは「追加配備」だという風に読めるので、既に稼働している可能性もあるにはあるんだけど。
いずれにせよ、THAADの配備は韓国の防衛にメリットがあるかどうか不明であり、韓国国内で反対派が激しく活動しているものであることは事実である。そうした問題を抱えているので、今回の様な騒ぎには韓国政府も神経を尖らせていることだろう。
ドローン、行方不明
ところが、この墜落したはずのドローン、幾ら探しても見つからないらしい。
韓国THAAD基地に接近したドローンが行方不明…「離陸を見た」目撃者も登場
2023.01.18 15:00
軍と警察が慶尚北道星州(ソンジュ)の在韓米軍高高度防衛ミサイル(THAAD)基地に接近して消えたドローンの行方を追跡している。
軍当局によると、17午後12時54分ごろ、THAAD基地に近づくドローン1機が警戒勤務中の米軍兵に発見された。このドローンはプロペラ4つが付いた形態で、大きさは数十センチにすぎないという。低高度で飛行し、米軍兵が裸眼で確認した。
在韓米軍は発見後、直ちにジャミングガンで対応した。ジャミングガンの妨害電波を受けたドローンは高度を急激に低めて視野から消えた。軍と警察は約260人を投入し、ドローンが墜落した可能性があるとみて前日から捜索を続けている。軍関係者は「ドローンと受信機の間の電波かく乱を受けた後(ドローンが)一時的に方向を失い、また飛んで行った可能性も排除できない」と述べた。
中央日報より
いいの?コレ。
かなりの不祥事なんだが。
追記
対ドローン兵器というのが、どんなものか気になって調べていたんだけど。
米国、ウクライナ軍へドローン迎撃システム提供:ジャミングでロシア軍ドローンを機能停止へ
2022/8/27(土) 10:32
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。
yahooニュースより
コレが去年の夏のニュース。
動画もあるのだけれど、……うーん。未だ恐らくこのレベルなんだろうね。
ウクライナで運用されているらしいのだけれど、恐らく似たようなタイプを使っていた可能性は高そうだ。目視して、これを照射したという感じなのだろうか。そして、ソフトキルタイプだったので、再び飛び立った……、ダメじゃん。
2km離れた標的を操作不能に 対ドローン新兵器の威力
2016/12/6 10:51
ドローンがますます一般的するのと同時に、犯罪やテロへのドローン利用が懸念されることから、ドローン対策技術の開発も進んでいる。2km離れた場所から妨害電波によってドローンを飛行不能にさせる銃「ドローンガン」を紹介。
産経新聞より
2016年には似たような運用のドローン眼が開発されたという報道があって、この時は2kmまでが射程だということだった。

……この時よりは進化した、同社の2021年の製品がこちら。

うん、まあ、使いやすくなったのだろうか??
コメント
こんにちわ。在韓米軍のジャミングガンというのが気になります。細い事は忘れましたが、アサルトライフルの先端に何やら圧力が加わると電磁波だか何かを発する金属筒をつけて、空砲を発射すると
ドローン等に電磁波攻撃できる仕組みがある話を以前ネットで読みましたが。
えらいシンプルな構造で、ソケットを銃口につけて、空砲で撃つだけ。
直接照準で近場しか撃てないのでしょうけれども。その類いのものなのかなぁ?
あれ? 携行用の写真が乗ってます。
私が読んだ時には無かった?
見落とし? 最近、少しボケてきたか?
ええと、このSF兵器みたいのではなく、
M4小銃に付けるサプレッサーみたいなのでしたね。私が見たのは。
正直、チープ過ぎね?と思うたくらいで。ただサプレッサー型なら携行に便利ですね。ドローンそのものは小型なら速度は遅いですから、飛鳥を落とすよりは撃墜率が高いでしょうが、風船でも宙にあるものを点で撃つのは難しいです。
飛ぶ鳥を落とすという諺とおりに。
ただ実弾と違い風力や重力の影響を受けないでしょうから、レーザー照準とダットサイトを利用すれば結構にイケるかも。弾のように放物線を描かないと思うので。私は散弾銃でのスラッグ(一発弾)もライフルも狩猟で使いましたけれど、弾道と風、重力によるゼロインは動く物を撃つ時にかなりなストレスになります。物理的に弾を飛ばすのでなければ、そこは度外視できそうですね。
木霊さま 山童様 こんにちは
対ドローン銃、ジャミング型は実戦でも苦労してるみたいですね。射程2kmてのはあくまでカタログ上最高性能で、かつ効果のあるのは「スパイ・ピーピング用小型ドローン止まり」
また木霊さんや航空万能さんリンクの動画でもわかりますが、しばらく当て続けないと、なので実射程500~700m 飛行機型ドローンだと操縦不能に追い込んでも無人グライダー状態になるだけで落ちるわけじゃないし。
すなわちヒット&アウェイが出来ないと。「反撃」に備える必要のある「戦場」だと、なかなか使い難い。
逆に「殺傷能力」は低そうなので、「平時・街中」で「スパイ・ピーピング用ドローン」用に警察官・ガードマンが持つなら有用そう。
今回は平時だけど、軍事施設THHD狙い、ドローン、、、とどうすれば、まだまだシチュエーション別の対ドローン戦術ってトライ&エラーの時期なのでしょうね。
>M4小銃に付けるサプレッサーみたいなのでしたね。
もともとドローン専用じゃないけど、まさに山童様が仰るような、
「照準アシスト、ロックオン後は銃口の向きをアクチュエーターが自動補正してくれる、SMASH(イスラエル製)」
がドローン対策として非常に有用と実証されてるそうです。 (航空万能さんへのリンク)
https://grandfleet.info/european-region/smash-effectiveness-demonstrated-by-the-royal-netherlands-army/
この延長線が、歩兵がF35パイロットの用ARヘルメットみたいなのつけて、部隊展開から照準まで、これハッキング戦にもなりそう
https://www.youtube.com/watch?v=XTV13SDWB-g
いきなりSFチック過ぎ?とも思うけど、戦場カメラマン横田さんレポートだと、ウクライナ前線兵ってみんな特殊部隊みたい
https://news.yahoo.co.jp/articles/e03c2042c7bdd721a9f1ebb14a215474f81383ad
と言うのが、どこまでのことなのか?
いやいや、コメント頂いてから「追記」という形で載せさせて頂きました。
興味ありましたしね。
M4小銃につけるサプレッサー的なアイテムですか。出力的に微妙な気はしますが、携行には確かに便利かも知れません。
動画を見ると、「使えるのこれ?」という感想になるんですが、実績があるとなると、それなりに有用なんでしょうな。
ジャミングガンが効いたという事は、事前入力に従って予定通りに飛んできて。な、スタンドアロン型じゃなく、電波遠隔操縦型だった。って事になるんでしょうかね。要するにラジコン。
電波というのは結局のところ可視光外電磁波でしかないので、レーダーとかを転用しての高出力照射の目潰し(うわっまぶしっ!)とか、シンプルな手も効くでしょうな。
どうでしょうか。
機能を見る限り、ジャミングガンでもスタンドアロン型にも使えそうな気はします。
こんにちは。
>まーだ、「正常稼働」がどうとか言っている段階なのだから、
これ、前々から「THAADのお守りしなきゃいけない米軍さん」が一番の貧乏くじなんじゃ、って思ってます。
同じ基地入り口の搬入阻止の反対運動にしても、例えば辺野古なら、そもそも工事現場だし、地域としても相当広いでしょうけれど、THAAD拠点はそこまで広くないだろうし、なんならギャーギャー言う声が聞こえて来ちゃうかも……遊びに行くのも一苦労、下手すりゃメシもまともに運び込めないかも、と思って。
日本に配置が決まると「当たりくじ」だって聞いたことありますが、韓国はどうなんでしょうね?
貧乏くじですよね。
沖縄の米兵も割を食っている状況ではありますが、韓国のここもかなり田舎らしく遊びに出るには不便でしょう。
それでいて、物資搬入すら妨害されるのですから。
BOOK様〉ご丁寧な解説を頂きながら、返コメできずすみません。先に米国の麻薬禍と、アイヌ問題についてコメしてますが。片方は私は医療人でもあるので一言あり、片や過去に誤った知識によるコメをしているので、優先しました。
妻の実家の農場の離れで暮らしながら、
農業と医療の2足の草鞋である事を前に告白しましたが、確定申告の用意をしてますと、去年の全収入の17%は、youtuberやVチューバーの構成脚本や編集下請けになってました。本業が何だか解らなくなってます。そしてウクライナ紛争により、最近、未来戦争動画での注文が増えていて、貴兄のコメがとても参考になりました。御礼を申し上げます。
私は医療(看護師&鍼灸マッサージ師)で専門学校に入るまでは全くの文系でさたので、木霊様と貴兄の理系頭脳な発想はとても貴重な勉強になります。御礼かたがた今後も宜しくお願いいたします。
山童様 木霊様>
コメント位置がなんで、&あれ、勘違いを誘発? ごめんなさい
私が紹介したいと思いましたのは、サプレッサー型ですが、ジャミング兵器じゃない。
色々な銃に取り付け可能で、照準を補助して銃の命中率を上げる
「たった10万円で、新兵をベテランスナイパーにする」とい装置ですね。そのものは
https://www.youtube.com/watch?v=C41CAAMgnoo
で、航空万能さんへのリンクは、これが対ドローンにも有効とオランダ軍で証明され、各国で採用加速、という記事でした。
—-
こちらこそ、今後ともよろしくお願い申し上げます。
山童様 木霊様
せっかくなので脱線ですが、驚きサイバーセキュリティーの話題?ネタ?提供
一般家庭にあるWi-Fiルーターで人間の3D画像を生成することが可能
https://gigazine.net/news/20230124-wi-fi-routers-produce-3d-images-humans/
しかしリンクのgigazine 記事ですがいまいち分かりにくいので解説
たどると文献はhttps://vpnoverview.com/wp-content/uploads/densepose-from-wifi.pdf
これの3ページ目、Figure 2 が味噌ですね。
WiFiルーターと、それにぶら下がるPCやスマホ、合計数台(実験Figure 2ではルーターあわせて6台)を乗っ取って、それぞれから電波発信・受信して、反射波のタイミングや強度から、、まあ要するに6素子アクティブ・フェーズドアレイ・レーダーをでっちあげる訳ですね。コロンブスの卵。それで周りの人間の映像を得る。
でもそのままじゃ映像あらすぎるのでAI手法を用いて鮮明化すると
https://i.gzn.jp/img/2023/01/24/wi-fi-routers-produce-3d-images-humans/s01.png
ぐらいの映像は得られる。
乗っ取られれば、どんなWiFiルーターでも可能そうですが、実験がTP-Linkの支那ルーターなところが、、、支那・半島製の無線機器は持ってたらなるべく早く処分しましょう(笑)
追記
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